Thursday, July 13, 2017

フリーの二点支持 vs 不安定な2点支持

■ グレード

私はいつも山の指導者を得ることが出来てあり難いことだなぁと感じています。

グレードの間違いについてご指摘いただきました!

以下は指導いただいた方の文面のコピーです。少しだけ手直ししています。

★RCCⅡグレード(≒UIAAグレード)
1級・・・1~2点支持で十分な、遊歩道や登山道
2級・・・一部3点支持が必要となってくる岩稜帯(一般登山道の岩場の難所など)
3級・・・3点支持を必要とし、かつロープを必要とする岩場
4級~6級 ・・・ 難易度が上がっていく

※すでに3級でロープが必要となり、3級からクライミングと表現します。4~6級は岩の難度が増すだけの基準。(6級より難しいのは暫定で7級と表現されたりもします。ちなみに『第七級』というメスナーの本があります。)
★デシマルグレード
1級・・・1点支持で十分な遊歩道や登山道
2級・・・2点支持が必要な岩稜帯(一般登山道の岩場の難所など)
3級・・・3点支持が必要な易しい岩場
3~5級は岩の難度が増すだけの基準で、明確にフリークライミングを対象としたもの
6級・・・人工登攀


※高難度の岩場をフリーでグレーディングする際、6級は人工という別のカテゴリー(デシマルという意味から、狭義には5級(5.○○)の少数部分のみを指すのでしょうが、広義には1~6級すべてを指すと認識しています。)

■ ハードフリー

「昔はフリークライミングのことをハードフリーって言っていたんだよ~」 

なんて山岳会の先輩たちが教えてくれました。昔は11クライマーであれば、皆から尊敬されたのだそうです。今では、イレブン、つまり、5.11が登れると言うことですが、それくらいの人は、掃いて捨てるくらいいます(笑)。

登山における登山道が、どんどんと傾斜を増し、これは手を使わないと登ること自体が不可能、というような傾斜になって行った時、一般的には、三点支持が必要になります。2点だと、1点が壊れたとき、残りの1点で体重を支持することは不可能だからです。これで体感的には4級くらいかと思います。

■アルパインの岩登りとフリーの岩登り

岩登りの”基礎”を知らない初心者に岩登りさせると、登るプロセスで、四肢のうち、一瞬2点のみとなったりすることがよくあります。これはアブナイ。

これは無駄な動きをしない感覚で考えれば初心者ならば自然の動作と言えますが、その2点となった瞬間、例えば手1、足1の時、足1がスリップしたとしたら、手1だけでは身体は支えられず、殆どはフォールします。

その時に注意・指導するのが、3点支持(3点確保)の概念で、その初心者は初めて四肢のうち何点という、支持に対する意識が生まれます。
(3点支持の3点は、『手2・足1』でも『手1・足2』でもOKです。)

ちなみに、支持に対する意識は、支点の作成でも同じです。かならず2点以上。カムの場合は、3点が確実です。
それと同時に指導するのが、静荷重静移動正対です。

≪まとめ アルパインのクライミング指導≫
・3点支持
・静荷重
・正対

これらは、フリークライミングのムーブ指導とは正反対の指導です。

なぜか?

目標とするのが、基本的にフォールを許さない、ためです。つまりは、支点の脆弱性が顕著なアルパインクライミング、を安全に行うことを目指すため、です。

■ クライミングでなくても、バランス維持はしている

バランスを何点でサポートしているか?ということに着眼すると、一般に

0点・・・ランニング(マラソン競技)
1点・・・通常の歩行(競歩)
2点・・・バランスを要する箇所、梯子等
3点以上・・・クライミング行為など

この0点~2点は日常どこにでもあるシーンと言えます。

ある人が山をやりだして、次第に岩場に行きだし、3点支持を教わります。しかし、スタティックに、かつ正対ではハングした難しいルートは登れない。

何をするか?

傾斜を殺すためにフリやダイヤゴナルを覚えると同時に、フリークライミングの課題では支点やホールドの信頼度がアップしているために、2点・1点、場合によってはランジで0点などが、クライミング行為においても可能になってきます。足を切るなど2点中心のムーヴが極めて有効になってくるわけです。
これがフリークライミングの2点支持と、絶滅しそうなアルパインクライミングとの差なです。

あるアルパインルートがフリー化されたとなると、2点支持やダイナミックムーヴが
ある程度可能になったのだろう、と考えたりします。

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■ アルパインに必要なフリークライミング能力 

・・・ということなのです。いわゆるアルパインクライマーは、アルパインのルートで出てくる被り以上の、高難易度なフリークライミング能力が必要なわけではありません。

ですから、アルパインクライマーに必要なフリークライミング能力は、フリークライミングのカテゴリーからすると、非常に基本的な、初級の能力です。

私の場合ですが、ボルダリングジムで、8級くらいの課題を、正対、ダイアゴナル、アウトサイドフラッギング、インサイドフラッギング、の4つのムーブで登ることができます。同じ課題です。

これ以上登攀力を上げようと思うと、デッド、ランジ、それから、保持力UP、となります。

そんなの、アルパインでは要らない。ただし、これは、アルパインでもクラシックルート限定です。前穂北尾根とか。

そうではなくて、世界のピオレドール賞を取っているようなアルパインクライマーを目指す若い男性に必要な能力・・・たとえば、今現在大学生の山ヤですが・・・は

最低でも、5.12を登る能力 が、セカンドであっても必要 だそうです。(ピオレドール賞取った人に聞きましたから、本当です)

どれだけ高難度アルパインが高難度化していることか・・・ 昔は、5.11ですごいと言われていたのに、今では、5.12を5本オンサイトしていることが、フリークライミングのインストラクターの最低限の要求試験です。

5.12をボルダリンググレードにすると、どれくらいなのでしょうか?2級くらいかなぁ。私はそこまで行こうと言う意思がないので、見てみたことがないですが、楽しくアルパインをするには、昔の基準、5.11で十分な安全マージンがあると思います。

アルパインクライミングには、フリークライミングと違って、長いアプローチを重たいザックを背負ってこなす体力が必要です。

例えば、前穂北尾根は、テントサイトにたどり着くだけで6時間かかります。その間ロープや登攀具、テント装備一式、寝具などが入った重たいザック・・・18~20kgくらいを背負って歩けなくてはなりません。

その後は、岩場の基部までのルートファインディングが大変です。踏み跡はないのが普通なので、読図力はもとより、たぶんここだろうと言う虫の知らせ的なものをかぎ分ける嗅覚が必要になります。人間の記憶はあいまいで、前に行っていても、間違うこともあるからです。

やっと登攀が始まったら、あっという間に終わってしまいます。普段、アプローチが10分で、岩場に付くクライミングに慣れていると、こんなに長い時間、苦労してアプローチしたのに、たったこれだけのご褒美?!と思いたくなるかもしれません(笑)。

しかも・・・まだ下山が待っていて、下山の方が、大変だったりします。登ったら、下りなきゃいけないんですよね~。

と、フリークライミングに慣れると、ご褒美が少なくてつらいクライミング、が、アルパインだったりもします。

山が当然の人にとっては、「6時間?短いね」って感覚ですが・・・だって、6時スタートで歩き出したら、12時には着いちゃうんですよ?もっと歩きたいですよね(笑)。

重さも、普段、重さにゆとりがあるので、瓶でお酒を持って行ったり、冷凍のカニを丸ごと持って行ったりしているような人たちなら、「18kgかぁ、もうちょっと大丈夫」とか感じると思います。

しかし、登攀しながら、18kgは絶対にありえません。ほとんど、歩きでしかない4級程度でも、重いと本当に大変です。

その大変さ度合いが分かりにくさの元凶にあります。

フリークライミングは困難ですが、安全度が高いのです。フリーしか日ごろ触っていないと、浮石を掴んで登るような登りに意図せず、なってしまったりして、アルパインでの危険認知力が落ちます。

歩きも弱くなるし・・・でも誰でも一時期はフリーへの傾倒が必要です。クライミングの基礎はフリークライミングにあるからです。

しかし、初歩の初歩で、用語的な部分でも混乱がある、というのは、このような理由からです。











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