Wednesday, June 7, 2017

アレックス・オノルドのフリーソロについて

アレックス・オノルドのフリーソロについて、パートナーと話をしています。
Freerider 含5.12D

■ ここに掲載する意図

昨今山の指導を得れる人は、あまり多くないと思いますので、思想に触れることがないことが、山をスリルの場と勘違いし、結果遭難する人が後を絶たない理由だと思います。

特に初心者の中高年の方は、注意してください。山歴40年で指導的立場にあった人でも、中高年と言われる年齢になったら、リスク管理の面から、単独では山に入らないのです。

また若い方も同様に、ニュースを聞いただけで、内容を吟味せず、結果だけをマネする人が出てこないかと心配しています。実際にそうしたことがヤマレコでかつて起こりました。

フリーソロが賛美されるような風潮を作り出すのはよいことではありません。ただでも無謀といえる登山が横行している現代です。

それがここに掲載する意図です。

http://www.supertopo.com/rock-climbing/Yosemite-Valley-El-Capitan-Freerider
より引用。

■ 師匠の感想

リードしたことのある人は知っていると思いますが、(リードという言葉が分からない方は、まったくの射程範囲外ですので、この記事は無視してください)、実のところ、60mロープは長いので、リード時は重いです…。正直な所、ロープの重ささえなければ、ラクラクで登れるところに、プロテクションを設置しながら登るのは面倒くさいです。

なので、プロテクションの面倒もなく、ただ登ったら気持ち良いだろうなぁ~と、クライマーなら誰しも考えると思います。

私の、”フリーソロだったら気持ちが良いだろうな~ プロテクション設置するの、面倒だもんね”への返事です。

ーーーーーーーーーーー返事ーーーーーーーーーーーー

フリーソロの醍醐味は面倒がないだけではありません。確かに面倒がる人もいますが。

ソロは一人ですから、完全な自己責任で、純粋に自然を堪能できるのです。自然との対峙ですね。

私も若い頃、程度はありますがフリーソロしてました。40歳までフリーソロしていましたが、ソロの友人が、大怪我したり亡くなったりして止めました。それもありますが、その頃、指導的立場にありソロは止める様に指導していて、命の尊厳に気づいたのです。

今から考えればフリーソロは若気だったと思います。

純粋なフリーソロと、ザイルやソロイストを使用するフリーソロがあると思います。

私は、若い頃前者、40歳から後者、今に至っては一人で山に行かないようにしています。
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アレックスオノルド君のフリーソロのニュースを聞いて、まさか俺もフリーソロしてやるぜ!と思った人はいないと思いますが…。

アレックス君のインタビューを見ると、確実性の積み上げの結果のフリーソロであり、一か八かのスリルを求めた結果ではないのは明らかでした。

■ 積み上げたら楽勝になる

積み上げた結果、山が来る、と言えば、私の阿弥陀北稜が、そのような山です。阿弥陀北稜が、テーブルに乗ってから、機会に恵まれず、3年も経ってから行きました。

もう、その頃には楽勝になっており、パートナーの必要すらなく(笑)、単独で行きました。ゆとりがあったので、ノーザイルで行きましたが、怖いこともなく、完全にいつもと同じリラックスでした。厳冬期の阿弥陀北稜だから、ロープが必要な山ですが、フリーソロで登っています。たかだか4級なので。

本来行くべきだった当時…北稜がまだチャレンジ!と感じられるような、ワクワクするような段階の頃…には、同行者を殺してしまいかねない人しか周囲におらず一緒に行くことはできませんでした。

その次の年のパートナーは、単純にまだルート自体を知らない段階でした。登山体系すらも読んだことがない段階だ(一般登山者の方の多くがその段階だと思われますが…)と、連れて行くにしても、そのルートにどんな意味があるのか自体も分からないですから、したがって行きたいのかどうかも分からない!という段階なので、セカンドでも、連れて行くことはできません…。

■ フリーソロしたかったころ

さて、話は戻りますが、岩との対峙…

私も、岩の初心者時代(注.フリークライミングの初心者ではなく)、どうしても一人で岩に取り組みたいと思い、一人で岩場に行ったことも…。十二ヶ岳の岩場には、ちょうど良い具合にフィックスが張ってあって、万が一登れないときは、フィックスを使えば、練習のためのトップロープが張れる、と感じていました。

どうしてかと言うと、どうしても、下のビレイヤーに遠慮してしまって、じっくり取り組めない、と感じていたのです。まずもって、そもそも信頼できないビレイでしたし、ビレイに甘えられるような人がいなかったのです。なので、完全に一人でないと登れるものも登れないと感じていました。

それで、ソロイストの使い方を研究したこともあります。この時は、5.12登る人が、自分がソロイストするときは、5.7レベルだと聞き、今5.8がギリギリグレードなのに、ソロイストするわけにはいかない、と納得して、あきらめました。

でも、今では、そんな焦燥の時代も終わり、登れるって見て分かるけど、ロープがない場合は、登らないです。

アレックス・オノルド君のエルキャピタン、フリーソロの詳細を読み、山も岩も、

確実性を積み上げる活動

だと、改めて実感中。

そうでない山は、あんまり好きになれません。

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