Monday, May 16, 2016

読図力が上がるといいことばかりでもない

■ コメント感謝

今日は、黒富士夕もや尾根に登った時の山行記録(2013年11月27日)に、コメントをいただきました。 ありがとうございました☆

 記事はこちら・・・思わぬ地図読み山行 夕もや尾根コース

記事の詳細さ具合に、記録を書いた本人も、「当時はよくやったもんだな~」と感じました。

■ 成長か見方の違いか

今の私は、3年前の2013年と比べると、地図読みには慣れてしまい、2013年当時、写真を取っておくべきだと感じた、鹿と人間の足の踏み跡の差、など、まったくスルーしてしまいます。

踏み跡を見て道を選ぶということをしなくなった上、地形図もざくっとしか見ておらず、「10分くらいで次のコル。次のコルはたぶん、なだらかだろう・・・」的に、次の地形特徴が出てくるまで、あんまり気にしないで歩いてしまいます。予想と違ったら地図を見る。

これは、読図する人には、共通の考え方です。

なので、成長したんですが・・・、ある意味、失ったものもあると感じました。

今同じところを歩いても、このような写真を撮って一般の人に伝えるニーズは感じないだろうと。

2013.11.27





より分かりやすくするため、画像に線を入れました。左の線は鹿道。右の太い線が本当は歩くべき場所ですが、私は左に行ってしまいました。

まぁ、左に行っても、結局は稜線上にでるので、あまり問題なく、尾根の終点のピークではなく、その隣のコルに出るだけです。地形的にも奥にV字状に開けて空が見えており、コルに出るのだ、とこの時点で予想ができます。

実際は下りで同じ個所を通って確認しています。当時は初心者なので、自分の疑問を自分で解決する活動がとても重要でした。

■ 道しか歩かないと道以外も歩けることを忘れる

一般登山の人は、道を歩くことに慣れています。道しか歩いていないと、道が大きな方に行く習慣が出来ています。

この習慣は、取り去るのが大変。 先入観を取り去るのが大変ということに似ています。

たぶん、読図において、もっとも困難なのは、道ではなく、地形そのものを見る習慣ではないでしょうか。

夫は読図大得意で、現在地とかかなり正確に指摘してくれますが、それでも、目の前に道があると、それが正解と自動思考してしまいます。

先入観を取り去ることは、読図スキルとは無関係のようです。

■ 最近の読図山行との比較

最近、曲り沢という沢に行ったのですが、帰りの尾根下山は、結構、本格的な地図読みになってしまいました。

でも、私が取った写真はこれです。

この写真は、尾根の下降点を見つけたところで、あきらかに踏まれています感がありますし、あきらかに、尾根の上に乗っています。

でも、ここに来れる人は、この写真イラナイ。

もっと手前は尾根の下降点が分かりにくく、少し試行錯誤して降りましたが、そういう部分の写真は取りませんでした。

 2013年  → 間違い安い分岐の写真を撮る
 2016年  → 下降点(正解)を撮る

ということで、どちらが初心者に親切かというと、前者。

うーん・・・。

間違い安いところは、もう気にならなくなってしまった・・・。

こういうことだから、プロであるガイドの人たちが書いたガイド本の写真は参考にならないのかもしれないですね・・・。

■ 冒険レベルが上がっている

今の私では、まったく夕もや尾根では、ドキドキせず、堂々と歩いてしまうでしょう(笑)。 

小さな場所で冒険と感じる度合いは、低くなってしまいました。今ではもう少し困難にしないと、愉しいとは感じないかもしれません。

チャレンジとスキルのバランスをCSバランスと言うのだそうです。 スキルが高いのにチャレンジが低いと退屈してしまいます。逆にスキルが低いのにチャレンジが大きいと不安に駆られます。

5.9しか登れない人が、5.9を登ると楽しいですが、5.12を登れる人が登ると退屈です(笑)。

読図でも同じようなことがある、ということですね。

■ 成長段階を記録することは、プランニングでの困難度設定に役立つ 

CSバランスが取れていることが、登山と言う冒険を楽しくするには大事です。

なので、登山者のスキルを知らないと、そのスキルに対して、ちょうど良い分量のチャレンジ(困難度の山)を与えられません。

こうした山行記録を書いておくと、ある登山者が今どのような成長段階に位置しているのか、とても分かりやすいです。

私自身、振り返って、よく記録を残しているな~と思いました。

自画自賛ですが、これが今ある私の土台になっている、と感じました。

■ 今回の発見のまとめ

・スキルが向上すると、ビギナーの頃、困難だった点に気付きにくくなる

・一般の人=道しか歩かないので、道しか歩けないという先入観がある

・大きい道が正しい道と言う先入観がある

・地形そのものを見て考える習慣は身に着けるのが難しい

・先入観は取り去るのが難しい

・自分の疑問を自分で解決する山行は、非常にスキルアップに有効

・先入観は、読図そのもののスキルとは無関係そうだ

・スキルに対して、チャレンジ性が低いと、退屈してしまう

・あるスキルの時には、そのスキルの時にしか残せない目線での記録がある

 




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