Friday, March 11, 2016

トップロープは安全か?

■ トップロープと言えども安心してはならない

FBで、こちらの記事がシェアで回ってきた・・・

安全と思われるシステムに潜む危険

この記事では、

 ”トップロープと思っても安全ではないよ”

という警鈴になっているが、私は

 ”コールは重要”

と違う感じ方をした。 ビレイ解除した理由が、聞き違い だからだ。

■ コールが一定化されていない

昔は、みな山からアルパインに入ったそうなのだが、現代では、フリークライミングから外岩へと進化する人が多いそうだ(よく知らない)。

そのためか、現状、コールが一定化されていない こと。

アルパインから入った人はコール(=クライミングの手順)をきっちり習う。が、フリークライミングから入った人は、習っていないことが多いらしい。

しかも、フリークライミングから入った人のほうが当然なのだが、クライミング力が上なので、リードしてトップロープを掛けてくれることが多い。

その時に正しいコールをしないで、意思疎通が粗雑になると、ビレイされていると勘違いして、ノービレイで、ローワーダウンを開始したりすることが起ってしまうかもしれない。

コールのミスについては、ありうる、と言う認識でなくてはならない。

 知っているだろうという前提 → ×
 知らないだろう → 〇

■ コールはシンプルに

コールは突き詰めると、ON と OFF しかない。

≪基本≫  L:リード F:フォロー

1)L 登ります  ⇔ F どうぞ。     (ビレイしている状態) 
2)L ビレイ解除 ⇔ F 解除しました (ロープアップ中でビレイしてい ない状態) 
3)L 登っていいよ⇔ F 登ります。  (ビレイしている状態)

これの2)で、ビレイの解除作業していると、返事が遅いので、”聞こえていないらしい・・・”と思って、 何度も「ビレイ解除~」と叫ぶクライマーが多いです。

仕方ないので、「了解」とか 余計なことを言うことになりますが、必要がないです。しばらく待てばいいだけです。しばらく待ってから、「ビレイ解除」が聞こえてこなかったら、「ビレイ解除」ともう一度叫ぶことにしましょう。

コールは英語にすると、すごく単純になります。  

1)L Climbing! ⇔ F BeleyON! (Beley ON) 
2)L BeleyOFF  ⇔ F BeleyOFF!(Beley OFF)
3)L BeleyON! ⇔ F Climbing!(Beley ON)

大事なことは、

 ・クライミング中に余計なことを言わないこと 

です。

聞き違いの恐れが生まれてしまいます。

■ 文化の差

話はもとに戻りますが、フリーとアルパインの文化の差をあげておきます。

                 アルパインの人   フリーの人
最初のアンザイレン      する           しない
コールのルール         あり           なし
メインロープのセルフビレイ  当然          しない
2つめのセルフビレイ      する           しない
ぬんちゃくセルフ         簡易的なものと認識  いつもやっている
宙吊り登り返し          知っていて当然     知らない
懸垂下降             知っていて当然     知らない
タイオフ              知っていて当然     知らない
流動分散             知っていて当然     知らない
固定分散             知っていて当然     知らない

確保器のタイプ         ATC-XPガイド     バケツ型、もしくはグリグリなど

と、フリーの人のほうが、”知らない”オンパレードになってしまいましたが・・・、知らないというより、フリークライミングしかしなければ、”必要ない”というほうが大きいかと。

フリークライミングでは、普通はショートピッチで支点もあらかじめ作ってあります。

なので、一つの課題を登って、終了点にロープを掛け、ビレイヤーにローワーダウンしてもらって、降りるだけです。

例えば、ですが、コンペの選手であっても懸垂は知らないことがあります。あるとき、小川山に行ったら、外国人のコンペ選手がいました。

いいスラブを探しているというので、それなら、ダイヤモンドスラブがある屋根岩2峰がいいと教えたら、「でもねぇ・・・懸垂下降ができないんですよ・・・」という返事・・・。

当時は、山の世界に疎く、懸垂下降ができないクライマーが世の中にいるとは思いもよらなかったので、その返事を聞いて、きょとんとしてしまった。

アルパインの人にとっては懸垂下降は最初に習うことなのです。
       
■  どういうことが起りうるか

私の場合は、岩2回目で組んだ人に教えることになった。(当時の記事)・・・が、組んだ人はフリークライミングから入った人だったので、

 ・セルフビレイをしない
 ・セカンドの確保機能付きのビレイ器を持っていない
 ・メインロープでセルフを取らない

ので、最初はビックリ仰天。 

向こうは向こうで、私がその人のビレイをやたらめったら怖がるのにビックリ仰天。

スポーツクライミング(=人工壁)ではバンバン落ちるので、落ちることは日常で、ビレイヤーはトップロープだったら誰でもいいんですが、

 アルパインでは落ちれば死(もしくは九死に一生)を意味する

んですよ・・・

■ 命を預かっているんですよ!

とはいえ、誰かと組まないと登れないのがクライミング。

信頼できるビレイヤーでなければ、クライマーは登れるところも登れない。

安心できないビレイヤーとは、要するに、

  ”クライマーの命を預かっているのだ!”と分かっていないビレイヤー

のことである。

それさえ分かっていれば、きちんとしたビレイをしよう!と心がけてくれるはずだからだ。

■ ビレイをまずはマスターしましょう

ということを私は最初に教わったので、半年間、ビレイだけをテーマに人工壁に通った。

新人さんは自分が登れないことを苦にしがち・・・ でも、実は登れないことは別に問題ではない。

誰だって、5.6でスタートして、5.7、5.8、5.9と徐々にステップアップするのが当然だからだ。

何が問題か?と言うと、きちんとビレイをマスターしないまま、時間だけが経ち、「5年もクライミングしているなら、ビレイくらいちゃんとできるだろう・・・」と思われてしまうことである。

■ 事例: フリークライミング歴5年でも・・・

これは、私が前に見た人だが、「フリークライミング歴5年です」と言うし、腰にヌンチャクを一杯ぶら下げており(クイックドローはリードしない限りイラナイ)、当時クライミング元年の私よりは色々知っているのだろう・・・と想定した。

私がリードで、彼にビレイをしてもらおうとしたのだが・・・引っ張り落とされそうになった。この時は、隣のパーティの人がビレイを交代しましょうかと言って代わってくれた。ビレイについては理解していなかったようだ・・・不思議だなぁ・・・クライミング歴5年なのに。

その後、この方にリードしてもらったら、中間支点にヌンチャクを掛けて引っ張りながら登っていた(汗)。それでは全然、”フリー”クライミングではない・・・。エイドクライミングだ。しかも、それが当然だと思っている様子だった・・・。おかしいなぁ・・・フリークライミング歴5年なのに・・・。

後で聞いたら、5年と言っても、年に一回しかクライミングには行かなかったそうだ。

よく山の遭難でニュースに「遭難した〇〇さんは、登山歴10年のベテランで…」とあるが、よく聞いたら、”1年に一回登山していた”と言うのと似ている・・・登山歴は年数で聞くと、相手の実力を見誤る・・・回数で聞きましょう・・・山歴はマイレッジです(笑)。

■ 自分のケツが自分で拭けるようになる

汚い言い方だが、クライミングを始めた頃、先輩が言った言葉。

つまり、

 自分自身の安全管理は自分で出来るようになるのが大事

ということ。具体的には

1)セルフビレイを取る習慣がある  → 自分で自分を落として死んでしまわない
2)ビレイヤーの自己脱出ができる →  クライマーが墜落した時
3)宙吊り登り返しができる      → 登れない壁も自分でなんとかする。

ということだ。

まずは、それらが出来てから、クライミングに行くようにしましょう。



















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