Wednesday, January 13, 2016

黒戸尾根 8時間

■ 年齢区分

私はBackpakerというアメリカのバックパッキングの雑誌を購読している。そこにあった年齢別のおススメエクササイズ・・・

その年齢別の区分が良いな~と思った。

Age 18-35

Age 35-50

Age 50-65

Age 65 & Up


これはとても現実的な区分ではないだろうか。 実感として、統計に使われる、40代以降を中高年とひとくくりにするには、体力差に非常に無理がある。40代と60代は倍くらい違う。

日本の統計は、10歳ずつを区切りにしているが、あまり現実に即しておらず、数字がゆがんで表現されてしまっているのではないか?と言う気がする。

自分を振り返っても、18~35歳の間は、バレエをしても、ヨガをしても、すんなり成長できた。35歳以下の時ほど、体を酷使したいとも思わないし、無理をすれば、体は抗議してくるようになったが、かといって、衰えを感じることはあまりない。

60代の人たちを見ていても、60代前半では、とても元気だ。しかし、70の声を聴くようになると、12時間行動どころか、10時間でさえ、たぶん、まともには歩けないだろう。

長時間行動を可能にするために、睡眠薬を取ったり、道中で運転は任せて寝たりして、体力温存に勤めなくてはいけない様子だ。

■ 黒戸尾根 8時間

先日、甲斐駒の黒戸尾根に登ってきた。特にコースタイムを気にせず、自分の脚が楽なように歩いて、トータル13時間だった。

行きは、登り一方で、5時間半、帰りは2時間程度の登りと5時間程度の下りで、7時間半だった。

これは周囲の様子を見ると、特に遅くないコースタイムのようだった。登りでも、下りでも、だいぶ追い越した。それは、見るからに山岳会の人たちも含んでいたし、テント泊者にはかぎらなかったようだった。

なので、このコースタイムは一般的なコースタイムだと思う。

ところが、この時、18才~35歳のメンバーで構成される若者部隊は、9時間半で、日帰りであるいたのだそうだ。

しかも、山ヤと言われる人たちは、8時間程度で歩くのだという。

この日黒戸尾根にいた人たちで、8時間、もしくは、9時間半で歩ける脚力の人がいたのか?というと、いなかったのではないか?と思われる。

過剰な快適性は、山そのものと反するような気がするが・・・たとえば、6cm厚のスリーピングマットが夏山で出てきたときは、夏だしそんなのいらないんじゃないかな~と思ったが・・・最低限の適切な装備と言うものがあると思う。

山は、どちらかというと、不要なものをそぎ落とす系の活動で、ミニマリスト的な価値観が似合う。

シンプルに、不要なものは持たず、必要な物だけを持つ。

そういう風にするのは異論はないが、必要なものを削らないと早く歩けないのであれば、単純にその場合は、早く歩く能力がない、ということなのかもしれない。

私は空荷にしても、黒戸尾根を8時間もしくは、9時間半で登りたいとは思えない・・・

■ ピークを高くしておくと長く登れる

とこれが、なんで年齢と言う話につながるか?というと、

おそらく、18-35歳という年齢は、黒戸尾根、8時間を目指す年齢なのではないか?と思うからだ。

若いときには、自分に制限を設けず、どんどん伸びるままに能力を伸ばしていくのが良い。

どこまで行けるか、やってみるのは大事なことだ。

私はまだ、65歳UPというような時代のカラダ感覚は分からないが、おそらく、若いときに8時間で歩けた人は、65歳になっても、16時間で歩ける。このコースタイムなら、1泊二日で黒戸尾根は、何歳になっても登れる。

倍のコースタイムがかかってくるようになっても、最初のピークが高いから、倍の値も違うのだ。

最初に13時間の標準コースタイムがかかる人だと、65歳UPになれば、26時間かかるようになり、それでは1泊二日では登れない。2泊するような施設はないので、黒戸尾根は登れないということになるだろう。

山の楽しみを長く続けたければ、若いときのピークを高くしておく、というのが良い、そういう理由で、若いときには無理をさせるのではないだろうか?

現在若さが手元にない人が、若い人と同じことをしようとするのは、大きな間違いに違いない。

体に無理を強い、パンクしたら医者に駆け込む、というような姿勢は、登山以外でも、どんな運動分野でも見られるが、運動の本当の目的は、健康の増進にある。

ヨガでも、ヨガをして整骨院に通うようになる人がいる。そういう風にならないように、ということが大人にとっての最大の課題であるように思う。

そう思うと、いかに長い期間、登山を楽しめる体を維持できたか?ということ、引退の遅さ、が、登山者の能力のもっともよくあらわれる数値なのかもしれない。

3 comments:

  1. 初めまして。
    いつも楽しく拝見させていただいております。
    3,4年前に黒戸尾根の日帰り8時間をやりましたが、ミニマムな装備とそれなりに強いフィジカル&経験&コンディションが整えば35+でも十分に実現可能だと思います。最近よんだ本("Training for the New Alpinism")によると、第一線でビッグマウンテンのアルパインをやってる人たちは空身で1,000m/30minが一つのベンチマークのようなので、黒戸尾根であれば4-5時間くらいでやっつけられる計算になるはず。タイムアタック的な登り方に執着しすぎると山が楽しめなくなる気がしますが、十分な体力とタクティックスで挑めばスピーディーかつ快適&楽しい登山を両立できると思っています。

    ちなみに、ブログ主さんとは2,3年前に本沢温泉の大部屋でお会いしているかもしれません。当時オーストラリア移住の調べ物をしていたら偶然出会ったブログに山登りネタが書いてあって、それ以来ブログを拝見しています。

    レポート: http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-418189.html

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    1. yamakeiさん、コメントありがとうございます! 

      いかに “New Alpinism"の人がすごいか?ってことですよね。標高差1000mを30分とは! 『マイペース登登能力テスト』によると、一般に健脚とは、標高500mを1時間の人のようです。(体重の10%を担いで)http://www.sangakusogocenter.com/topics/docs/201506mypace.pdf

      一般的には、標高差300mが一時間と言われていますので、なので、甲斐駒は標高差2200m登りだと7.3くらいになり、7時間半が普通かな~と思いますが、黒戸尾根ピストンの標準コースタイムって15時間30分なんですか?だとすると、だいぶ水増しされているのかなぁ(昨今の中高年初心者向けタイムなのかなぁ)

      お元気な皆さん(本当の意味での、真の健脚さん)が、中高年向け水増しコースタイムの半分で歩けるのは、納得です。

      さらに世界一流レベルのビッグマウンテンのアルパインクライマーって、健脚さんの4倍のスピードで登るんですね~ もう想像もつかない早回しですね!!! 

      その凄さの感覚が、山の世界では、共有されていないみたいですね。

      ご自身が一般平均よりも数段レベルで遅い方に「早いね~」と言われて、「???(いやそんなことないんですけど…)」となってしまいます(汗)。今回もなりました。(でもご高齢なのに登っていてそっちのほうがすごいな~と思ったりもしました。私は自分が60代を目前にしたとき黒戸尾根に登りたいと思わないかも)

      こうした世間の状況があるので、自分を客観的にとらえ、実力に合った山に登るのは、それだけ状況的に難しいことみたいです。

      本沢温泉ですが、たしか高所登山をされている会社の山岳会で登られている方たちとご一緒になりました。テルモスというかサーモスと言うかで盛り上がったような(笑)?その中にいらしたのかな?

      ヤマレコの記録、共感しました☆ しかし、ヒマラヤ遠征向けのトレーニングで来ていた若者さえも9時間半と言っていたので、8時間はすごいです!

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    2. そうそう、本沢温泉ではテルモスの呼び方談義をしましたね。会社の山岳部の雪山入門として天狗から下った時だと記憶しています。

      上昇速度ですが、1,000m/30minはあくまでオールアウト前提(2,000m/hにはならない)だと思うので、強いクライマーでも実際の登山活動では600-1,000m/hくらいが現実的な数値だと思います(富士登山競走のコースタイムが1,200m/h。Ueli Steckのアイガー北壁が710m/h)。日本の山はコースタイム&登山様式&文化がハイキング基準になっている気がするので、若くて元気な人はもっと挑戦して欲しいな~なんて思っています。

      パーティーで厳冬期の黒戸尾根9.5時間は凄いと思いますよ。それだけ足と規律が揃うのは遠征を前提とした強いパーティーじゃないと無理でしょう。手前味噌ですが、登山活動のデータ活動をやる開発プロジェクトをやっていたりするので、もし興味があれば御覧ください。個々人の過去の登山記録からパラメーターを抽出して、次に登る山のコースタイム予測をしたり…なんて考えていますが、まだまだ試行錯誤中です。

      このネタに関係するブログエントリー: http://yamakei.hatenadiary.jp/entry/2015/05/12/221844
      開発プロジェクトのブログ: http://trail-route-analytics.blogspot.jp/

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