Monday, April 6, 2015

山の選び方、行けるという判断の仕方

■ 行かないよ、四尾根(行けないよ)

このブログでは、ベテランさんの注目を集めて恐縮ですが、時系列順に読んでいただかないと分かりづらいかもしれません…単刀直入に言っておくと、バットレス第四尾根は、今年は行く予定はありません。ので心配無用です。あしからず。

元来、四尾根は私が行きたい山ではない点が一つにあります。師匠には“執着している”と誤解されるし、とばっちりだなぁ・・・。師匠は、私の師匠という立場上、私が行く予定になれば、アドバイスしたくなくても、しないといけなくなり、去年はちょっと迷惑をかけました。すいません。

前提として、私は実力以上のところに行く人ではありません。

四尾根研究は、”予想できるフォーストビバーク”をしなくてはいけない羽目に陥りそうだったから…という理由です。

まだ実力未満だ、と説得するには、合理的な説得材料が必要だと思ったから、数値で相方に説明できるように書いています。

その説得に対し、もっとも力になってくれたのは、太刀岡山に連れて行ってくれた先輩です。本当にあの時は、ありがとうございました。そのまま行かないといけない羽目に押し切られそうで、私は怖かったのです。

必死の説得ですが、研究は無駄だったとは思いません。知見が広がって良かったと思っています。

■ベテランだって大変ナノダ!

「今年は四尾根に行かない予定だ・・・」

と、御坂山岳会の先輩に話すと、うれしそう~に

「あ、そうなの~?」(←ちょっと肩の荷が下りてる …^^;)

と言っていました(^^;)。 会で行くとなると、いくらベテランの先輩であっても、兵站的に色々大変なのです。会の新人を一人連れて行くだけでもエライ苦労をしないといけません。が、一人だけを連れて行くと不公平で、不満がでるでしょうし、かといっていっぺんに連れて行くほどの実力はない当会・・・ 先輩たちも、色々と犠牲を払って、やっと一本の本チャンが実現するのです。

無論、それは新人の方も同じで、資料集めや概念図書きなどの机上の勉強に加え、足を引っ張らないための週二日のクライミング練習、毎朝の歩荷、ロープワークの確認、主婦にとっては残る家族に対するフォローと、万難を越えてのチャレンジ、になります。ただ登山口に集合すれば行けるわけじゃない。

先輩には去年、連れて行ってほしいとお願いしてありました。その時は、まだ”パートナー込々でのお願い”でしたが、今はパートナーはいないので、

今の力で行けるところに行けばいい

ので、行き先には困っていません。

行きたいところはいっぱいあるのですが、ここに書くと先に横取りして行く人がいるので書けません。大体フリー系の人は、気軽で、他の人の発見に対する敬意が薄いです。すでに2度経験済み。ですから、黙って行くに限ります。 相手の気持ちに配慮するという登山の伝統は、このエリアでは薄いです。

四尾根は行きたい人が行ってきてくれたらいいです。私は混雑するルートは好みではないので。

■ 行き先の決め方 ヒント

私は、行き先を決めるときは、まず心に残っているルートを探します。自分のこれまでの山行と関連があるルートが目標ルートになることが多いです。自分の登山の歴史から離れすぎないルートが良いルート。

その後、自分で軽く資料を見ます。ガイド集などです。

そして、師匠に相談し、快い感触があってから、ダブルチェックで、会の先輩に打診します。

基本は先輩を山行にお誘いします。先輩にも行きたい場所の好みがあるので、行き先はフリー寄りの先輩にはフリー寄りの場所をお願いし、アルパイン寄りの先輩にはアルパイン寄りのルートをお願いします。先輩は、”マジヤバい”と思ったら、”そこは無理では”と言うか、黙ってついてきます。クライミング系は2人でもいいですが、3人がよりベターです。

 1)日ごろから、アンテナを張って行きたいルートを収集しておく
 2)登山大系、ガイドブックなどでルートの性格を知る 
 3)ベテランに打診
 4)会に打診
 5)さらに詳細に計画(お天気などリスケあり)

です。

私はガイド登山の経験もあります。行ったことがある山に技術習得で行く予定の時ではなく、同じようなチャレンジ山行のときは

 1)ぼそっと「〇〇尾根行きたい」とつぶやく
 2)ガイドがルート提案
 3)登山大系、ガイドブックなどでルートの性格を知り、歩けると判断してから返事
 4)メンバー収集 (3,4は同時進行)
 5)詳細計画 (天候などでリスケあり)

食当も担当しますし、自分たちで運転して登山口に行き、ロープが必要な核心部以外は先頭を自分たちで歩きます。ガイドさんはラッセルしている私たちの後ろで、メンバーと世間話しているくらいです。(でも、私たちが担げないようなビールをがっつり担いできたりして、びっくりしましたが。)

先輩が鎌尾根を提案してきたときは、研究した結果を逐次報告していました。その登山者の理解度がどれくらいか?連れて行く側としては知りたいだろうと思ったし、私が用意した、周辺の概念図は、他のメンバーにも役立つだろうからです。資料など、それぞれが集めなくても、一人が集めて共有すればいいだけです。同じ知識を共有していることがリスクを下げます。

そういう意味では新人で、登攀力がなくても、色々な貢献の仕方はありますね。

と、このような山行の決め方をしていますので、ベテランさんの助言は、今の時点では、あまり必要としていません。

助言が必要となるような、困った羽目にまた陥ることがないよう、最新の注意を払おう、と思っています。

パートナーって出来るのはいいのですが、行きたい先の決め方が異なる人だと、精神的ストレス源になってしまいます。

大事なのは、山岳会を決めるときと同じで、山があっているかどうか、と言うことだと思います。

■ 判断の色々

こういう意思決定の決め方は、個性が出ます。

1)ある岩
あるとき、岩で私は「登れそう」と思った箇所がありました。岩場は渋滞しており、登ろうと思っていたルートが空くのに1時間も待っていました。その岩はちょっとしたスラブで私くらいの登攀力でも登れそうに見えたので、リードしようかな~と思ったのです。でも、相方が否定的反応でした。

それで、そこはあっさり辞めました。 

2)ジョウゴ沢

私は山行に不可欠の人員でなければ、なしで山行に行くこともあります。ジョウゴ沢では、他会の友人が「ビーコンがないと行かない」と言い出し、私の判断は

1)天候判断して、直近に大量の降雪や連日の気温上昇がなければ持参しない
2)例年3月に八ヶ岳に入る経験上、時期的に雪は安定していることが多い
3)危険を感じるときは敗退する
4)危険な地形に近づかない。そんなところあったかなぁ…

でした。「ないと行かない」と言うくらい保守的な人は、「安全志向で良い」と捉え方も出来れば、「判断していない」「無知」、「経験不足」という捉え方もできます。どちらなのか?はその人しか分かりません。

私にとっては、その人は最初から戦力期待はない山だったので、では一緒には行かないでもいいか、と思いました。すいませんね。

3)醤油樽の滝

会の月例山行は、広河原沢左股でしたが、これは会の先輩と判断を共有するための企画でした。会のメンバーではこのルートは、時期尚早でした。

それで、誰でも行ける醤油樽に変更しましたが、これもリーダークラスが一人欠け、他の人たちにとってはこのルートは時期尚早だったからです。

連れて行くという接待がテーマであれば(誤解がないよう行っておきますが、誰もが接待を受けます。私は本チャンの前穂北尾根は接待された側です)、このルート選択は正しくなく、よりその人のスキルレベルにあった山が良いということになります。

結果、易しい初級の地図読みの山になりました。私のした判断は、

・広河原沢左俣は時期尚早
・河原木場沢醤油樽は時期尚早
・地図読み力が必要

の3点です。先輩は私が私だけの力で主催できる机上講習から、山行へ格上げのヘルプをしてくれました。実際の山行では、なかよく変わりばんこに先頭を歩くことにしました。

4)厳冬期鳳凰三山

1回目の厳冬期鳳凰三山は、悪天候で、夫が嫌がっていました。が、わたしの方は悪天候は大丈夫だと言う自信があったので、行きました。これは押し切って行きました。夫の根拠が無知によるものだと分かっていたからです。

・8割樹林帯で風に晒されるのは一瞬
・悪天候も翌日は晴れ
・小屋が3件もある
・すでに雪山経験が豊富

です。夫は、”無知””不勉強”のしっぺ返しを受け、シュラフを持たないで行ったので、小屋で寒い思いをしたそうです。

私は悪天候に備えて、ツエルト以外にもダウンパンツやシュラフを持って行き、万が一のビバークくらいはできる体制で行ったので、寒いと評判の小屋でも問題なしです。

翌日は晴れたのに、トレースがないと言う理由で夫は尻込みしたので、私は夫を置いて一人で観音岳まで行きました。基本的に、無知にも基づく判断の時は、私は無視して一人で出かけます。

夫は妻を一人で行かせたらヤバいだろうなぁと思って後からついて来たのですが、一人で行かせたらヤバいのは彼のほうです(笑)。

厳冬期という厳しい季節を外した仙丈ヶ岳で、ガスが広がった時にホワイトアウトのリスクを予知できないうえ、天候リスクから逃げるために急いで降りることもできないのが彼だからです。

お天気との競争になったら、頑張る以外の選択肢はありません。頑張ると言う選択肢を取らない彼とは、残雪期仙丈ヶ岳クラスの山には行ってはいけません。以来、積雪期は小屋がある山限定です。

山行には判断がつきものですが、大体このような判断をしています。

2 comments:

  1. なるほど~って思いましたけど、夫さんが可哀そうな気もしちゃいました♪

    夫さん、負けるな~♪

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    1. 彼は一家の大黒柱ですからね~ 大事にしています☆ 私はあれです、農耕馬と同じ系列・・・ 彼の前を歩いて障害物をよけてあげる係りです・・・

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