Wednesday, April 29, 2015

何から教え、何から学ぶべきか?その2

■ アルパインの学び方 

まだしつこく、成長戦略を考えています。 

というのも、山岳会に入った新人にとって、教わる順番どおりには、教科書がそもそも作られていないような気がするんですよね・・・

アルパインを始めた頃、夢中で読んだ 『アルパインクライミング』 の目次・・・

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『アルパインクライミング』 保科雅則 より抜粋

 現代のアルパインクライミング
 アルパインクライミングを始めるには
 フリークライミングとアルパインクライミング

第一章 用具とウエア

第二章 基本技術
 ロープの結びと収納
 トップロープでの練習
 クラック
 確保
 懸垂下降
 リードフォロー
 リードフォローの確保
 支点の知識とセット方法

第三章 応用技術
 岩場の形状とルートファインディング
 人工登攀
 アメリカンエイド
 ビッグウォール
 ビバーク
 レスキュー

第四章 冬季クライミング
 用具とウエア
 コンティニュアス
 雪面での確保
 支点
 ピッケルでの登高
 アイゼン登攀

第五章 アイスクライミング
 現代のアイス
 用具とウエア
 シングルアックス
 ダブルアックス
 トップロープ
 アンカーセット
 リード
 ミックス
ーーーーーーーーーーー

今おもうと、なぜにクラックがそんなに早くに来るのか?という気がしないでもない、この流れ(笑)

が、クラックは、よく感じられるように一部の愛好家のものではなくて、実は一般縦走路で一番利用し甲斐がある支点が岩の割れ目のような気がしないでもない。だからカムを使うのは有効だ。

ーーーーー要約ーーーー
 トップロープ
 ↓
 クラック
 ↓
 確保
 ↓
 懸垂下降
 ↓
 リードフォロー
 ↓
 フォローの確保
 ↓
 支点の知識とセット方法
 ↓
 ルートファインディング
 ↓
 人工登攀
 ↓
 ビバーク
 ↓
 レスキュー
ーーーーーーーーー

レスキューやビバーク、懸垂下降が、クライミングの後。

しかし、これだと、つまり、一生トップロープで終る人が出てきてしまうかもしれない・・・。

山には、基本、トップロープはありません。

■ 体験的な岩講習は、ないほうがいいのか?

とはいえ、クライミングを少しでいいから、かじって見なくては、アルパインクライミング自体をそもそもやりたいのか?どうか、確認できない。

が、クライミングができないほど難しい場所を最初から考えるから、いけないのカモ???

縦走路がどんどん険しくなったものが、アルパインだとすると、登山をする人は、基本的には、難易度は低くても、アルパインには行くことに最初からなっている。

ただ、私も山岳総合センターのリーダーコースの受講を決めた時点では、何も分かっていなかった。

コースは2つあり

 縦走コース  ・・・ 積雪期八ヶ岳全山縦走 をリーダーとして連れて行くことができる
 アルパインコース ・・・無雪期 前穂北尾根、積雪期 爺ヶ岳東尾根 

の縦走コースを選んでいました。(3人しか応募者がいなくて無理くりアルパインコースになってしまったんですが)、

私がやりたいのは、基本的に雪稜だったので、アルパインではない、と思っていたのです。

たしかに分かるようになった今、縦走コースとアルパインコースの間には、確かな一線があります。
アルパインコースの人にとっては、前穂北尾根がスタート地点に過ぎないのに対し、縦走コースの人にとってはゴールです。

でもなぁ・・・スタートかゴールか?という違いはあっても、技術的に同内容のものを持つ必要がある。

質的に、アルパインコースの人のほうが高度な技術が求められ、より失敗が許されないです。

が、やることは同じ。理解も同じ理解が必要です。アルパインの人が挑む山が、安全マージンの少ない山になるだけですね。

縦走コースでいいや~と言う、私みたいな人も、もっとも易しいアルパインロッククライミングである、前穂北尾根くらいまでは知っておかないと、縦走でもリーダーを務められない。不測の事態で必要になる支点やレスキューの知識はクライミングシステムを基礎にしていて同じだからです。ロープを毛嫌いしてはダメで、ロープとはお友達にならないといけない。

でも、それが分かるようになったのは、アルパインを始めてからなので、一般登山者の時代に、もし体験岩講習を入れていれば、もしかしたら、私にはアルパインクライミングはないな~と結論して、ビレイを学ぶ気持ちにはならなかったかもしれませんね・・・。

山岳会の女性メンバーはそういう人が多いのではないか?と想像します。

■ ひとつの解

さて、リーダーコースのカリキュラムは、年々反省を反映して良くなって行っているようです。

これは、ベテラン山ヤさんたちが、角突き合わせて議論して、成り立っているカリキュラムと思いますので、今、アルパインをどう教えるべきか?についての、ひとつの解とみなすことができると思います。それもプロの。

≪大町山岳総合センターのHPから抜粋≫


講式
オリエンテーション
2015年
4/4(土)~5(日)
1泊2日
1泊2日の講習で、リーダーに必要なこと、救急法や運動生理学の知識を学び、登山の体力を測定する10,000円25 
F2残雪期登山Ⅰ
(基礎)
2015年
4/24(金)~26(日)
2泊3日
雪上でのテント泊(設営・生活)と雪上歩行(ワカン・アイゼン歩行、滑落停止技術)の基礎を学ぶ(講習予定場所:針ノ木雪渓、大沢小屋周辺)25,000円
F3残雪期登山Ⅱ
(応用)
2015年
5/16(土)~17(日)
1泊2日
危急時に備えた雪上でのツエルト泊と、雪上歩行応用技術(急な雪壁登攀、フィックスロープ設置と通過)を学ぶ(講習予定場所:針ノ木雪渓)16,000円
F4リーダーに必要な
知識と技術
2015年
6/20(土)~21(日)
1泊2日
リーダーに必要な知識(計画の立て方、気象、読図)を机上で学び、実際の計画書を作成する。危急時に備えて人工岩場でのクライミングを体験する12,000円
F5登山の危急時対策2015年
7/18(土)~20(月)
2泊3日
危険箇所を通過するために必要な、フィックスロープ設置・通過、懸垂下降とツェルト泊を体験する(講習予定場所:高瀬川七倉沢)22,000円
F6無雪期登山の
まとめ
2015年
9/5(土)~6(日)
1泊2日
F4で立てた登山計画にそって登山を行い、行動中の安全管理を実践する。危急時に備えたき火の方法を学ぶ(講習予定場所:大町近郊の山)16,000円
F7机上で学ぶ
登山の基礎
(冬山)
2015年
11/28(土)~29(日)
1泊2日
冬山登山に必要な基礎知識(冬の気象、雪崩対策、冬山の装備)を机上で学ぶ10,000円
F8冬山登山技術の
基礎と応用
2016年
2/11(木)~14(日)
3泊4日
1日目は、冬山登山の準備(食料、装備)、2日目から入山し、雪上のテント泊と雪洞泊を体験する(講習予定場所:黒沢尾根)35,000円
F9修了講習
閉講式
2016年
3/12(土)~13(日)
1泊2日
集大成として、危険箇所を安全に通過する総合技術を確認する。コース終了後の登山をどのように継続するか、講師を含めミーティングをする17,000円
F10クライミングの
基礎
2015年
9/26(土)~27(日)
1泊2日
リーダーコース参加者だけのオプション講習。ロープを使ったリードクライミングの基本的なシステムを学ぶ20,000円25
F11クライミングの
実践Ⅰ
2015年
10/17(土)~18(日)
1泊2日
リーダーコース参加者だけのオプション講習。人工岩場と実際の岩場でリードクライミングを実践する(講習予定場所:物見の岩)22,000円25
F12クライミングの
実践Ⅱ
2015年
11/7(土)~8(日)
1泊2日
リーダーコース参加者だけのオプション講習。人工岩場と実際の岩場でクライミング経験を積む(講習予定場所:物見の岩)22,000円25


ーーーーー要約ーーーーーーー
1回目 
ーダーに必要なこと
・救急法
・運動生理学
・体力測定

2回目 雪上
・フィックスロープ設置・通過
・懸垂下降
・ツェルト泊

3回目 雪上
・雪上でのツエルト泊
・雪上歩行応用技術

4回目 机上
・計画の立て方
・気象
・読図
・人工壁でのクライミング

5回目 沢
・フィックスロープ設置・通過
・懸垂下降
・ツェルト泊

6回目 
・登山計画にそって登山
・たき火

7回目 冬山机上講習
・冬山机上講習(冬の気象、雪崩対策、冬山の装備)

8回目
・雪上のテント泊と雪洞泊体験

9回目
・コース終了後の登山をどのように継続するか、講師を含めミーティング

☆オプション
岩1回目
・人工壁 リードクライミングの基本的なシステムを学ぶ

岩2回目
・人工壁
・岩場でリードクライミング

岩3回目
・人工壁
・岩場でクライミング
ーーーーーーーーーーーーーーーー

班分けの反省点からか、最初に体力測定が入っています(笑)。 実際、講習生から他の講習生が足をひっぱるという苦情が寄せられたこともあったそうです。

登山はコンパニオンシップが重要なので、文句を言うのは、それはそれでリーダーとしての資格に欠けるような気がしないでもないですが・・・。

体力より分かっているかいないかのほうが足並みの揃わなさに関係があるような??? 

オプションで岩講習が三回入っているのは、私の受けたときにはなかったです。やっぱり岩をしらないと、クライミングシステム自体を知らないので、必要。

ただそこで8割の人は、クライミングに傾倒してしまうのも、また違う・・・。登攀グレードアップではなく、クライミングシステムをしっかり理解してもらいたい、というのが目的です。

ということになると、ロープが出る、易しいルート(つまり三つ峠)に行くのが良いと思うのですが、どうなのでしょう?

まとめると・・・

ーーーーーーーーーーー
4月 リーダーとしての意識づけ & レスキュー
 ↓
4月 雪上 フィックスロープ&懸垂下降
 ↓
5月 ビバーク          
 ↓
5月 雪訓 
 ↓
6月 机上講習&クライミング
 ↓
7月 沢泊&焚火      
 ↓
11月 冬山机上講習
 ↓
2月 テント泊&雪上


・リード&人工壁
ーーーーーーーーーーーーーーー

やはり、天候リスクの面から、初心者には厳冬期ではなく、春にセックンとレスキューをやっておくのは悪くない方法である、と思います。

全体的に見て、リーダーとして山行を率いることができること以前に、まずは自分自身がビバーク経験があり、必要ならば焚火で、サバイバルできる登山者になることが目指されているようです。

自分のケツが拭けるってことですね~。

アルパインで必要になるクライミングシステムの理解は、最初からリードをさせることで達成する作戦かなぁ・・・。

これには私も賛成で、リードさえしていれば、5.7であってもいいような気がします。最初は。リードしながら、グレードを上げればよく、、トップロープやボルダリングで11登れても、リードできないんじゃ意味がない・・・。

しかし、ここまで 色々検討してきましたが、まっとうな山ヤ育成のポイントは、

 1)最初に”連れて行かれる立場”を捨てさせる
  
  →そのために自分で登山計画を立てさせる

 2)レスキュー、懸垂下降、が先で、クライミングが後

 3)座学で共通の登山の常識を持つ

なのかなぁ?  

私的には、座学は必要だと思いました。地図読みも座学が最初にないと、みな言葉の意味自体も知りません。やったら座学も楽しいものだし・・・

山岳会では、山行はあっても、座学の機会がない・・・のが残念です。

私は、欠点はあっても山岳総合センターだけがまともなアルパイン養成所だと思うので、

 ・コースの回数が限られている (一年でアルパイン養成するには、とてもこの回数では足りない)

 ・その場限りの仲間同士では山に登れない

という2つの欠点があったとしても、もし、アルパインを始めようと言う人がいたら、一番におススメします。

これを受けてから、山岳会に入会するという流れができると、良いですねぇ・・・。

というか、各県の岳連がこれくらいの内容は出来てしかるべきなのかもしれない・・・とは思いますが、自分とこの岳連のえらいサンは、プローブで人をツンツンつついた経験がない・・・と言っていたしなぁ・・・。私は初心者ですが、講習会で経験したので、人をつついたら分かります・・・。ということは、えらいサンは自腹を切って講習会に出るほど意識が高くないと言う意味で、そういうえらいサンが作った冬山講習、山行計画が超いい加減だったんで、「一体誰が作ったの?!」と師匠も驚く手抜きでした・・・そういう意味で、昔取った杵柄に結果としては胡坐をかいてい居る状況が多くの岳連にはあるのかもしれない・・・と思います。山岳総合センターはそういう意味では、講師になるための基準が厳しく、一線の人から教わることができます。どうせ教わるなら、ちゃんとした人から教わらないと・・・。

私が感じるところでは、大町の山岳総合センターの講師陣はしっかりしています。ただ講習生によって、成果や達成度に、ばらつきがあるのは、どこの組織でも同じで、仕方がないことなのかもしれません。

とまぁここまで考えてきましたが、

やはり、

危急時(リスク)を中心にカリキュラムを組み立てていく、

のが良いような気がします。 あ、でも、そうすると、山行計画の組み立てと同じですね~

うーん、まだ見えてこないなー すっきりしたカリキュラム・・・

山岳総合センターの講座


 

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