Tuesday, February 3, 2015

最近の学びのまとめ

■ 凍傷リスク

尊敬している先輩が八ヶ岳で凍傷になり、ちょっとショックを受けています…というのは、私は今週末、八ヶ岳はあまり条件が良くないと分かっていたからです・・・。

八ヶ岳は天候が大きなリスクです。

横岳西面のバリエーションから、稜線に乗り上げたとたんに強風に吹かれ、低体温症で行動不能に陥り、小屋まであと何十メートルもないようなところで命を落とした、という遭難が、ちょうど講習会の前シーズンにあり、この遭難の事例をテント内で、レスキューした当人から直接に聞きました。

八ヶ岳ではありがちな事例です。

この事例では、担いで搬送できる距離に小屋があったにも関わらず、死亡者が出ました。こういうこともあるので、バリエーションに臨む人は互いにレスキューがし合える、という確認くらいは、取れていることが大事です。厳冬期は厳冬期のリスクがあります。

八ヶ岳の遭難事故マップ

■ 天候リスク

八ヶ岳のバリエーションルートは、天候の条件さえ良ければ、誰でも登れるようなところだ、と言われています。

ですから、登れたからと言って、クライミング力の誇示になるようなところではなく、基本的にはリスク管理のマスターという山の総合力を確認するというような場です。

私のようにまだセカンドの確保で、アタフタとやり直しを作っているようでは、稜線で風に吹かれる時間を不必要に長くしてしまい、自分のスキル不足で、自分の凍傷リスクを高めてしまいます。とくにリードする予定なら、なおさらです。

厳しい現実ですが、凍傷になったという事実は、リスク管理が甘かったことを意味します。

八ヶ岳では、ベテランであっても、そうしたリスクから、時に遭難にあったりしています。気象判断と言うのは、登山のスキルの中では、だいぶ基礎の方に入り、一般登山のハイキングの時代が過ぎると、慣れも発生してしまったりします。

実際、私たち夫婦も、ハイキングの頃は、数日前から天気図を見る念の入れようでしたが、慣れるにつれ、天気予報を信頼するようになって自分で天気図を見て判断するということをおざなりにしがちになりました。

特に八ヶ岳は心配したより良い方向に期待が外れることが多いので、油断が生まれやすいです。

これが後立などだと、予想したより必ず悪いほうに外れます。北アは天候は低気圧通過後に崩れますし、ある山域で言えることが、他の山域で通用するとは限りません。

そして、その山域に馴れているということが天候リスクを下げる、ということを経験が長くなるにつれ、忘れがちになります。

■ 読図

悲しい面ばかり見ていても、気持ちは沈むばかりですので、少しはポジティブな側面を見てみることにします。

読図では、少し成長を感じる部分もありました。

1) 最初から登ろうとするピークを意識してアプローチしていたこと

初心者の頃は、登ってみるまでどのピークに登るのか、分かっていませんでした。下からピークを目視で見て、あれに登ろう!という発想ではなかったからです。道があるから歩く、一般登山者でした。

この2年、特に意識した訳ではありませんが、気が付いたら、どのピークに登るのか、登山口で意識できているようになりました。車に乗っている時点から、もうピークを探しています。

また、道中はその先のピークや次に出てくるピークに常に意識が行くようになっていました。次はコルだな、とかそういうことです。ですから、間違うと、それで気が付きます。

以前はそんなことは到底考えられなかったので、考えてみたら、成長に感動ひとしおです(笑)

2)困難度の配慮

女山と節刀ヶ岳では、女山の方が易しい地図読みの山です。

節刀ヶ岳では、尾根の終点部分が通常は肩で分かりやすいことが多いにもかかわらず、ぼや~としていて、地形的に不明瞭でした。


それに山のサイズとしても、女山より少々大きめです。近いのでアプローチにそう時間がかからないので、すぐ歩けるからです。一日の時間をフルに使えます。

体力度合いが大変かも?と用心して、行きましたが、体力の方は大変ではありませんでしたが、困難度の予想がベテランと同じだったことに励まされました。

女山では、トレーニングを兼ねて余分な水を入れたペットボトルを担いでいましたが、節刀ヶ岳では、水ではなく、補助ロープとカラビナ&スリング、に変更しました。コッヘルセット&ツエルトは当然のことで、いつも入りっぱなしです。雪山に行くマナーとしています。でも、水を担いで行っても良かったです。体力は大変ではなかった。

■ 反省点

1)支沢

尾根は取り組み始めて、丸3年ほどになるので、だいぶ身についてきたようですが、沢はまだまだだと感じました。

沢では、尾根でコルとピークをみる代わりに、支沢の流入を数えて現在地を同定します。が、それは、金石沢の実績をみると、まだ出来ているとは言えません(笑)。先日は、3度目の沢なのに支流に入ってしまいましたし(笑)。

GPS座標の活用も考えに入れ始めるべき時期です。地図では地形が正確に現われているとは限らないので、地形だけでは、難しすぎる場合があります。

2)ベアリング図を書かない=サボり

また節刀ヶ岳のような山でも、一度ベアリング図を書いて行ってみると勉強になりそうです。

またぎへの道も一歩から♪

実は、取り付きで、歩きづらい沢の遡行を我慢できず、急な山腹の斜面を使って尾根に乗り上げたとき、あと何百メートル、沢が続くか、簡単でいいから見るべきでした。

ベアリング表が何かについては『大人の山岳部』に載っています。

例・・・ 中津森山行のベアリング図

その斜面は少々急でした。沢でも滝を巻くときにあのような急な斜面が出てきます。帰りに最初に想定していたほうに降りてみると、まったく楽だったので、最初の計画にきちんと固執していたほうがベターでした。

がそれは帰りに分かりました。 

その判断がどこで出来るだろうか?

・・・というと、その歩きにくい沢が、あと何百メートル続くか?という情報かもしれません。

地図をみると沢は斜面を登り始めた地点から、220mほどしか続きませんでした。220mの歩きづらい道と、滑落も考えられそうな急斜面では(もちろん、下から見ると登れそうに見えたのですが意外に急だった)、220mの歩きづらい道を頑張って歩いたほうが安全です。

3)メンバーが提供すべき情報

つい外野は、データと言う根拠なく、あれやこれや言ってしまいます。リーダー以外のメンバーの提供するべき情報は、あと何メートル行ったら、どこに着くかというような地図読み情報であるべきなのかも。

意見ではなく、情報が大事なのかもですね。

■ ”次のシナリオを予想する”スキルをつける

このように、登山道の無い山では、

 何メートル行ったら、どの辺で、どのような地形的状況が現れそうか?

と予想しながら前進します。

金石沢では同行者は、「沢が開けていて、滝がでてきそうな様子がない」と指摘していました。

私は沢の経験が少ないので、沢が狭く閉じてきたところに滝があることが多いという状況にはあまりなじみがなく、沢の様子から滝がでてきそうかどうか?には全く想像が至りませんでした。

つまり、道迷い、ルートミスも、ベテランの方が早く気が付くことができます。私は行ったことがあり、同行者は初めて歩く場所にも関わらずです。山の実力とは、そうしたことから、伺えるものです。

そして、この

 予想する、

ということのトレーニングにピッタリなのが、一般ルートで、ベアリング図を書いてみることです。

一般道は結局目の前に明瞭な道があるので、道があるからと歩けてしまう道のことです。しかし、安全な道であるので、その安全性を利点にして、南百メートル行ったら、何が出てくるのか、そうしたルートでは先輩の同行なしで確認することができます。

ですから、一般道の山でも、そうした内容の登山を続けていれば、地形を見る目という名の実力が次第についてくるはずです。

■ まとめ

・天候リスクは山域になれることで下げることができる
・経験が長くなると天候判断に慢心が出がち
・意見より、情報を探す
・ベテランであるかどうかのサインはルートミスに気が付くのが早いこと
・地形トレーニング、予想トレーニングは一般道でもできる


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