Thursday, December 31, 2015

山岳会の歩き方?

■ 山岳会のタイプ

山岳会には色々なタイプがある。

中でも、誰もがイメージしやすく、一般的な会は、地域山岳会、だろう。その土地の名を冠していることが多い。

≪山岳会のタイプ≫
 ・地域山岳会
 ・特定の志向をもつ会 例:沢専門の会のトマの風 など
 ・同人

■ 高齢化

地域山岳会は、特段書かれていないが、使命は、

 その地域の山好きな人々のニーズを満たすこと、

にある。

”その地域の山好きな人々”の具体的な中身は、世相をそのまま反映して、高齢化している。つまり、一般社会の縮図であり、特定の志向を反映したものではない。

一般社会が高齢になれば、山岳会も高齢化し、一般市民の個人登山のレベルが下がれば、山岳会の山行内容もレベルが低下する。それが普通の事なのだ。

■ 年を取れば穏やかになるのが自然

誰でも、高齢になれば、穏やかな山をしたいと思うようになるのが自然だし、体力も落ちるのが普通のことだ。高齢になれば、今から山で成長する、とは思わないのも普通のことだ。

もちろん、年齢ではない、という部分もあるが、それはどちらかというと、特殊な志向に入るだろう。・・・と言う帰結の結果、多くの地域山岳会は、内実は、

 (60代以降の)高齢初心者が行きたい山を主体とした会、

となっている。

そういう会でも、若かりし昔は、アルパイン的な山にも行っていたのだろう。その当時は、”その地域の人たちが行きたい山”がアルパインだったのだろう。

会は人の集合なのだから、行きたい山は、その会に属す人たちが行きたい山で、それが変化して行けば、その変化に合わせて山の内容が代わっていくのが自然だ。

■ 浮遊票 =行きたい山が分からない人

極端な例だが、10人の会で、9人が高尾山へ行きたがり、1人がアルパインへ行きたがるのであれば、その会の山は高尾山だ。

一方、山に嗜好を持たない人もいる。(そういう人が山好きかどうかは別の議論になるが・・・)

嗜好がない人は、”山はどこでもいい”という人だ。会の行き先が多数決的な決まり方をする以上、日和見主義的な人は、多数決派には好都合な存在となる。

そうなると、会には政治が出現する。自分の意思(行きたい山へ行く)を通すためには、票が必要という訳だからだ。

行きたい山に行くために政治活動をしなくて行けなくなるのでは、山という趣味がシンプルではなくなる・・・趣味は人生を豊かにするものであって、複雑怪奇化するものではない。

そう考えると、政治が出てくる、得票争いをしないといけない、ということ自体が、裏返せば、その集団がもつ山への志向性が一致していない、ということを意味するのだ。

■ 行きたい山に行く会が良い会

自分が行きたい山に行かない会に所属しても仕方がない。

山への志向が同じ人と登るのが、人間は誰しも一番しあわせなのであるから、ハイキングがイイと思っている人に無理して、アルパインに行ってもらわなくてもいいし、アルパインと言えども、ビレイは手放しでよく、後輩は先輩にくっついて行くだけで良いと考えている人と、互いに互いの安全を保障し合うのが仲間だと考えている人は一緒に行かなくて良い。というか、一緒には行けない。

命の軽視を意味するからだ。

客観的に見て、レベル低下を招いている一般山岳会に、”一般市民が楽しむレベルの”アルパインクライミングをしたい人は、所属すべきではないし、勧誘するべきでもないのかもしれない。

ただ一般に人は、そんな内部的な事情は分からない。ただ山岳会に行ったら、山小屋で会うような山好きがいっぱいいて、尽きぬ山の話で盛り上がるんだろうな!って思っているだけってことだ。

山好きが山岳会の事情や実情が分かるためには、山岳会に一度は所属しないと、右も左も分からないかもしれない、ということは言える。

■ 同人

同人というのは、一つの山頂のために集まった人の集まりだ。

私が思っていた山岳会に近い。山に対する考えが同じ人たちが集う場所、だ。

したがって一人一人が自立したメンバーである。最初から山を教えてもらおう、というような依存心が強い人は来ない場所なのだ。知っていることが前提だ。

しかも、同人の場合は、声を掛けられるまで待っているような人には向かないらしい。

つまり、”行きたい人いませんか?この指とまれ”式ということだ。

各自が行きたい山がある、それが前提だ。”連れて行ってください♪”っていうのはナシ、”〇〇へ行きたいんだけど、どう?”って話だ。

■ 欲しくない人が来てしまう

アルパインクライミングを志向する会です、と表に書いてあるのに、アルパインクライミングという言葉の内容があまり知られていないため、「大菩薩に登りたいです」という人が昨今は来てしまう。

そういう会では、毎月一人は入会者がいるのだが、結局、会の中には大菩薩に行きたい人はいない=誰にも誘われることがないので、辞めて行ってしまう。入会金の払い損になるのだが、勉強不足のツケということだろうと思う。

大抵の人が、ハイキングや初級の雪山のような、自分で行ける山も、だれかに連れて行ってもらうことを期待して、山岳会の門をたたくようで、そういう人には、高齢化した地域山岳会が、山としては、合っているかもしれない。高齢者が主体となってしまった会はハイキングの山に行っている。

・・・が、面倒を見られたい若い人は入ってこない。そりゃそうだ・・・わざわざ休日を楽しみたいと思って山に行っているのに、「早く子供を産みなさい」とか、「浮気したい」と言われたい人がいるだろうか?

なので、山を楽しむどころではなくなってしまうので、行く山そのものはおなじなのに、一緒に行くと、大抵は失敗する。

一緒に行くと、”敬老の日”みたいな感じにはなる。だが、一緒に行く方も、そもそも一人で行けるようなハイキングの山に、ガイドブック役を頼み、連れて行ってもらっているのだから、文句は言うべきであるまい。

あるいは、すでに高齢化している会に、定年退職して初めて山を始めたという高齢者が来ているという実情があるが、若返りたい会としては、欲しい人材とはちょっと違うな、ということになる。それも、高齢初心者お断り、とは書いていないのだから、門前払いはできないだろう。

結局、会で若手に入ってしまうと、若返りの期待のためだけに、ちやほやされるだけで、ちっとも行きたい山には行けない、ということになる。

逆に受け入れ側から見ると、ちやほやしてやっているのに、恩返しがない、ということになる。

■ 体力のミスマッチ

高齢化してはいても、山岳会の高齢者は健脚揃いだ。

体力のない高齢の初心者を、体力度5の山に連れて行ってしまう。多分、自分が若いときに山を始めたときには、体力度5の山が入門の山だったからだろう。

一般ガイドブックで、体力度5の山は、山岳部から登山をしてきたような登山者には、”初級”だ。

だが、一般市民レベルからすると、体力度はかなり高度だ。 初級と言う意識でこれくらい歩けて当然だと思うと、ヘッデン下山になる。

その例は、八ヶ岳の赤岳で、一般登山のガイドブックでは最高ランキングのレベル5だが、山岳会の人にとっては「赤岳?日帰り当然ね」だ。(雪上訓練を受けていない人は積雪期の赤岳に行くべきでない。が条件が良ければ、無雪期より易しく歩ける。)

昨今の引退後の登山初心者も、引退後ではない、普通の若い人も、想像を絶するくらい弱い。

ガイドブックにある、コースタイムの1.5倍では、間に合わないのが普通で、2倍は軽い。

やはり、大人になって登山を始める人は、ガイドブックの体力度1から始めないといけない。

が、一般的な山岳会にとって、そのような山は、山のうちに入らないであろう・・・。先輩となる人たちは、コースタイム2倍だと嫌になってしまうだろう。

山梨の山でいえば、片道1時間の日向山などになるが、そんな山に会山行で行かないといけないとしたら、みな困ってしまうだろう。

北岳だって日帰りなのに、北岳は一般レベルでは体力度4の山だが、こうしたかけ違いを認識しないまま、初心者の新人を励ましの美学で、山に連れて行ってしまうことが事故につながっているのではないだろうか?

■ ちゃっかりもしている

一方、入会してくる人も、ちゃっかりしている。

 無料のガイド登山を期待ている → 高齢者のことが多い
 無料の講習会を期待している   → 若い人のことが多い

のどちらか、だからだ。 どちらも有料のサービスがあるので、

 山行計画を立てたくない
 リーダーをするのは無理でも、サポートするくらいでも協力をしたくない
 食当をしたくない
 共同装備を担ぎたくない
 地図を読みたくない

という、”無責任体質”な人は、山岳会に来るべきでない。

ある会では、

 「リーダーをしないといけないなら、ワタシ会を辞めます!」

と言い放った人がいたそうなのだが、そういう人は、率先して辞めたもらったほうがいいのである。

(だが、頭数が欲しいとそれもできないようだ)

■ 山岳会が腰が低すぎるのか?

私の師匠の言い分は、最近の山岳会は腰が低すぎ、誰でも入会させすぎ、というものであった。

上記のような発言を聞くと、たしかに、そうだと思える。

師匠は、私が2つ穴しかないバケツ型のビレイデバイスを購入したら、

「リードする気がない人には教えない」

と言い放った人である。芯が通っている。

■ イケイケ過ぎても・・・ 

しかし、リードのお許しは、ついぞ出なかった、アイスクライミング・・・(笑) 自立したい、という人にも、”下積み”時代は、予想以上に長いものなのである。 

これはクラックも同じで、ジャミングは微妙で感覚に依存する部分が大きく、確実性が得にくい技術なので、なかなかすぐにリードへ移行するわけにはいかない。

友人のクライマーのボヤキも「まだリードさせてもらえない・・・」というもの。共感する。

「みなさん、リードしたいってすぐ言うけど、しばらくは無理ですよ」とは、著名クライマーの現実的な意見・・・

落ちて死にそうな人はリードはまだ早い。

これは、行く山も同じで、前のパートナーは、三つ峠で3Pに2時間半もかかるのに、北岳バットレス4尾根に行くと聞かず、結局、説得できなかったためにパートナー解消となった。必要になる技術の見積もりが、新人は甘いのだ。これは先輩が言ってくれた言葉が納得性が高い。

「先輩、後輩ってある程度必要だと思うんだよね。後輩には、判断しようにも判断する材料が経験がないから、分からないんじゃないかな」

つまり、何が核心か分かっていないのだ、新人は。

体力とクライミング力があれば、行けると思っているんだが、どっこいルートファインディング力と読図力がないと、行っても取り付けず、ひどい場合には、4尾根とおもって、2尾根に取り付いてしまうし、登れたものの、取り付いたものの、家に帰れなくなってしまうのだ。

■ 講習会

しかるに、結局は、

 ・判断は謙虚に、臆病に判断し(自分は間違っているのではないか?と常に疑う)、

 ・山に必要な責任は積極的に担う

 ・リスクを冷静に見極めようと努力する 

ということが必要なのだが、これらの条件を満たした人材が豊富に集まるところ・・・といえば、

 講習会

というのが、私の出した結論だった。

もちろん、講習会も中身とレベルが重要で、地図読み講習会なのに、地図って上が北なんでスカ?みたいな”幼稚園レベル”の人が来てしまう。もちろん、学びたい心は素晴らしいのだが。

■ レベル分け

講習会では、レベル分けがある。この ”レベル分け”が、悪平等を好む日本人には、ソリがあわないかもしれない。が、大事なことだ。

1時間300mでゆっくり歩きたい人と、500mでさっさと歩きたい人が一緒にいても、目指している方向性が真逆なのだから、どちらにとっても楽しくないのだ。

初心者には、だれでもハイキングレベルの山を数多くこなす時期が必要だが、それが終わっている人が来るところが、山岳会であると思う。

が、そのハイキングレベルの山を数多くこなすことを一緒にやりましょう、という会があっても悪くないと思う。

要は使い分けだ。 混線すると、問題が増える。ハイキングの価値観を本格的な山に持ち込んではいけないし、ハイキングもできないのに、本格的な山に行ってはいけない。

普段タッチして、すぐ降りなくてはならないようなシビアな山ばかりをしている人も、すこしは、花について学んだり、動物を観察したりする時間や、郷土の山と人のかかわりを学んでも害にはならないだろう。

■ 行きたい山ではなく行ける山

結局、どのレベルであっても大事なことは、

 行きたい山ではなく、行ける山

という方針で動く事だと思える。私自身はそうしている。

”今あるスキルで行ける山”を選んできた。

ということは、つまり、以下のようなことだ。

雪上訓練とロープワークの手ほどきを受ける前は、厳冬期の赤岳は登らない。(事実、登ってもいない)

本式の滑落停止やアイゼン歩行を学ぶ前に行くべきでないと思ったからだ。

雪の岩稜歩行が必要となる、赤岳に行かなくてもステップアップできる山はいろいろある。体力で解決できる鳳凰三山もだし、ラッセルの山もそうだ。金峰山なら、厳冬期でも雪上訓練済みである必要はない。

■ 安全につながるステップアップの仕方

本式の滑落停止やアイゼン歩行を学ぶ前に、もしガイド登山で雪の赤岳に登ってしまうと、どういうことになるか?

たまたま登れたことや、力不足を自覚しない登山者になる。

だからガイド登山は選ばなかった。求めているものは、たまたま ではなく、

 確実で安定したスキル

だからだ。私は単独で雪の赤岳には登っていないが、雪の赤岳より難しい、横岳&大同心稜の縦走やジョウゴ沢のアイスクライミングルートに行った。ということは、今では雪の赤岳が楽に感じられる段階にいると考えられる。つまり、赤岳へ単独で行っても安全マージンができた。

仮に単独で登るなら、そういう風に、いつくか上の山に、仲間と経験として登っておいて、厚めの安全マージンができ、その山に行くのに何が必要なのかを理解してから登るのが、本質的な安全につながると感じている。

10の力をつけて、8の山に登らないといけない。そうすれば、8の山は、チャレンジ山行ではなくて、ご褒美山行になる。10の力をつけるには、12の山が必要だ。

■ クライミングの位置づけ

クライミングをしないと、山には行けない。

それを分かるようになったので、あまり興味がなかったクライミングも受け入れた。その仕組みは、こうだ。

山に行くには、ロープワークが必要だ
 ↓
覚えるには、日ごろロープに触れる機会が必要
 ↓
クライミングが必要
 ↓
クライミングするには、自分が良きビレイヤーに、まずはならないといけない
 ↓
ビレイをマスターしなくては
 ↓
ビレイを理解するには、リードしなくては
 ↓
リードするには、最低限クライミング技術がなくては
 ↓
ボルジム

だから、安全に山に登りたいと思う人は、クライミングは避けては通れない。

山岳会に来る人は、一か八か登山をしたい!という人ではないだろう、というのが、ごくノーマルな思考である。

そうであれば 自分の身の安全を求める人は、結局クライミングや自分がビレイするということは、うけいれなくてはならない。自分の身の安全を守ることだけを会に求め、自分が他の人の安全に対して無責任であればよいというのは一方通行だからだ。

なにも、誰もが5.15を目指せ、というわけではない。

ところが誤解が多く、その誤解は、誤解ということにしておくと都合がよいから、そのままにしている、というご都合主義が根底を支えている。つまり、甘えっぱなしを正当化するために”分からない人のフリを何年もしたままでいる”ということだ。

私が知っている例では、登山歴30年だと言っていたのに、2万5千の地図を持ってこない人がいた。当然だが地図読みも出来ない。できるのは後ろを歩くだけだ。それでは、自分は、仲間に安全保障されているかもしれないが、自分は仲間の命の安全保障に何も貢献していない。

みなクライミングには、まともに取り組まない。それはそのほうが楽だからだ。墜落死の危険があるトップは、人にさせてしまうほうが楽だから、”しない”だけなのに”できない”ということにしている。
(これは登山計画書の作成も同じことだ。)

実際、5.9が確実になるだけでも、ものすごい大きな努力の量が必要になる。それが分かるから、やらないで済ませるほうを選んでいるらしいのだ。

それは頼られるのが好きなリーダーにも、責任の一端はあり、持ち上げられて喜んでいるために、役割が固定してしまっているのだ。もちあげるほうには狡さが、持ち上げられる方には甘さがある。

しかし、難しいのは、本当に無理なところを無理強いして行かせてしまうと良くない。リードは危険が伴うため、自信がある人にしかさせてはいけないのだ。

「自信がない人にはリードはないな」というのも、山の掟の一つである。

■ 突っ込む人

登れる確信がなくても、フリーソロで行ってしまう、という人も存在する。何が危険なのか、まだ分かっていない人だ。

こういう人は逆に後続を危険に晒してしまう。その人と一緒に行く方が、単独で行くよりむしろ危険な人材だ。

「度胸は必要だが、度胸だけの人もちょっと・・・」

と先輩は言っていた。度胸には技術の裏付けがあってこそ生きるものなのである。クライミングシステムがどう命を保証しているのか、と言うことに対して、きちんとした理解が必要だ。 

そうした土台がなく突っ込む人とは一緒に行ってはいけない。

■ 一緒に行ってはいけない

逆に山岳会の方から、

 他会の人間と一緒に行ってはいけない

と言い出すことがある。会則に禁止がなくても、他会の人間と行くことを快く思わない会が多い。

しかも、会内では、行きたい山に募集を掛けても行く人がいないのだから、始末が悪い。

一緒に行ってはいけない、というのは、会がそれくらい、会員に対して責任感を持っている証だが、これは、年頃の娘に、父親が、デートしてはいけない、というのと同じようなことだ。

人は誰だってしたいことをしたいのであるし、したいことが提供できない会のほうが問題であって、その逆ではない。

■ 組織のための組織

また、会というのは、組織のための組織に陥りがちなのである。

つまり、会が存亡するために、頭数が欲しい、と思うもの。

それは活動の質よりも、組織としての体裁が歴史経緯的に必要になってしまうからだ。

どんな会社だって、創業50年でつぶれるのは悲しい。創業3年で亡くなるより、創業50年で無くなるほうが悲しむ人の量だって多いだろう。

しかし、生まれたものは必ず死ぬのである。大企業だってつぶれる時代なのだから、大きい組織ほど、矛盾が多くなり、形骸化・レガシー化して、名と体がチグハグになっていくのは仕方のないことだ。


■ 結局どうする?

 敷居を下げる → 来てほしくない人が来てしまう

 敷居をあげる → 来てほしい人まで来なくなる

と、さじ加減が難しい。

結局、企業のリクルーティングと同じで、

  来てほしいのは、どういう人か?を明瞭にしておく

ことが一番大事なのではないだろうか?

 一番ダメなのは、八方美人

である。あれもできます、これもできます、というのは、もっとも焦点が合わない。

企業も一昔前は多角経営の時代であったが、選択と集中の時代に転換してからも、もう20年以上たっているのであるから、20代も60代も、というのは、無理があることなのだ。

ということは、幅広い年齢層が活躍しています、と書いてある会へは若い人は行かない方がいいのかもしれない。

■ まとめ

以上、とりとめのない文になったが、私のアンテナにひっかかった先輩たちの言葉や見聞きした現実から、こういうことになっているようだと思える事例を取りまとめてみたもの。

あまり、ここから結論を出すということは意識しないでいただきたい。

ただ、1年半程度見聞きしてみたら、こういうことになっているようだ、ということだ。


Wednesday, December 30, 2015

年末の上高地トレッキング

■ 年末の山

毎年恒例の、年末の山・・・毎年、鳳凰三山へ行くことを我が家の年中行事にしようかと思っていたのだが、ふと魔が差して、坂巻温泉へ。

雪の上高地を見てみたい!と思ったのだった・・・

「坂巻温泉?焼岳だね~」と夫が言うので、そうかと思い、焼岳を計画した。が、どうも、しっくりこない。

上高地から、焼岳ピストンだと、冬季で釜トンネルを通過する分が余分にかかり、冬の日帰りピストンには山が大きすぎる。登り4時間、下り3時間にプラスして、釜トンネルからの分が片道2時間。

中の湯ルートは、冬にはイマイチそうだ。新中野湯ルートは、素直な尾根道、片道3時間でサイズは手頃だが、駐車がネック。焼岳に登山する予定なら、中の湯泊がむしろふさわしい。

「なんで焼岳行きたいの?」と聞いてみたら、夫は「?」 彼としては、私たちの二人の山が焼岳でストップしていたために、ただ言ってみただけだったらしい。

ということで、互いに思い込みで決めつけていたことが判明し、急遽、なぜ坂巻温泉にしたのか、を大事にして、上高地散策に切り替えた。

結局、蝶への登山基地である、徳澤園まで行って、帰ってきたのだが、アップダウンのない林道歩きがメインとはいえ、距離にすると、釜トンネルと徳澤園のピストンは25kmもあった・・・(汗)

ので、予想外に、疲れて帰ってきた。

■ 途切れていた歴史

去年の今頃は、中央アルプスのマイナーな山で、藪漕ぎしたり、凍った川を徒渉したりしていたなぁ・・・。

初めての冬山合宿だった。

後輩思いの先輩が、後輩が立てる冬山計画に付き合った格好だが、結局、意思決定が上手くいかず、藪ばかりをウロウロ歩いて、山は時間切れ敗退となった。

知識がないと、ラッセル山行もうまくは行かないという例になった。

雪がまだ少ない新雪期は、ラッセル山行としては、マイナーな登山道が良い。そうでないと、積雪量が少ないため、藪が隠れておらず、雪と藪の両方に苦しめられる。

登山道があれば、そこには藪はないので、歩かれていないならば、ラッセルは多少であってもできる。

個人山行なら、良い経験で済むことも、多人数を巻き込む会山行はそういう確実さをある程度含んでいないと計画が滑った時、困る。

そういうことを去年は学んだ。

私と夫との山の歴史は、山岳会に入会する前、センターのリーダー講習に出ているくらいの時期から、途絶えてしまっていた。

講習に出てくる内容をマスターするのに忙しかったし、山岳会に入ってからは、夫が行ける山行には同行してもらったが、自分たちの山の歴史を作ることは後回しになってしまった。

夫とは、雪山は、アイゼン、ピッケルの雪上訓練が夫に必要な段階で、止まってしまっている。

セックンを受けていない人でも行ける山ということで、行っていたのが鳳凰三山だったからだ。

赤岳は雪訓が必要な山で、だからまだ夫は雪の赤岳には登っていない。

赤岳は体力はそういらないので、技術と体力どちらを先に着けるか?では、体力が先だろうと思っての選択だった。

その他、金峰山や権現もそういうタイプの山だ。長いけれど、技術不要。

その時点から、また夫と雪の山を育てていこうと思っているのだが、次にどうか?と思ったのが、蝶だった。来年への布石ということだ。

■ 坂巻温泉 

坂巻温泉は、こじんまりして、とても良い宿だった。 

焼岳に登らなくて良いとなったら、夫は張り切ってしまい、前日、必要以上に早く出た。

時間が余っているので、レストラン十字路とカモシカスポーツに立ち寄ったが、それでも、お宿には早くつきすぎた。2時前に着いてしまったのに、宿は文句も言わず、入れてくれて助かった。

早々に温泉に浸かり、ゆでだことなったあとは、お食事までお部屋でお昼寝。現代登山全集と雪山ルート集を持って行ったが、夫は古い本には興味を持たず。

雪のルート集の方は読んでみてくれたようで、春の八方尾根くらいなら行けるかもしれない。

私は八方尾根は雪のある時期では、7月の頭に歩いており、稜線にはまだ雪がある時期に五竜まで縦走しているのだが、そう大変には感じられなかった。もちろん、この時期の雪は、スプーンカットが出来ている、カチンコチンの冷凍庫の雪で、アイゼンと言えば、6本という時期で、サラサラふかふかの雪が、搔いても搔いても降ってくる、という積雪期とは違うのだが。

そう、焼岳、夫には、ちょっと緊張を強いていたらしいのだが、わたしにも興味をそそられていない山だったので、没になって良かった。

私がそそられなかった理由の一つは、上高地ピストンだと、はしごがあること。夫は高度感に弱い。

「ハシゴがあるんだけど大丈夫?」 と聞いたら、「たぶんなんとかなる」という返事だった。

その返事も気に入らなかった。なんとかなる、って、本当に怖くなってしまったら、なんともならないのでは???

何とかする、というのは、なんとかできる人の話だ。

これが、「大丈夫。簡易ハーネス用のスリングとビナ持って行く」という返事だったら、きっと行く気になったと思うのだが。

私は根拠のないポジティブ思考は嫌いだ。

考えてみれば、母は、大学進学資金がないのではないか?と心配するわたしに「大丈夫、なんとかなる」とか、「子どもはそういうことを考えない」と言い続けた。

現実はどうにもならず、「なんとかした」のは、誰でもない、当人の”ワタシ”だった。もし、”ワタシ”が中学ころから、何とかする責任者であったとしたら、もっと広い選択肢の中から、ベストだと思う選択肢を選ぶことが可能だったであろう。

私は気が付いたら、選択肢がほとんどない状況に追い込まれていた。大学進学率が100%の高校に進んで、それも首都圏進学が80%なんて世界に行ったら、地元で早期に自立する道を模索するなんて道は当然閉ざされてしまう。

”なんとかなる”なんて言う人に騙されてはいけないと学んだ事件だった。未来は現在が作るのだから、なんともならない現在を生きていたら、未来もなんともならない。未来をなんとかするためには、なんとかなる可能性がある現在を生きなくてはならないのだ。

・・・とまぁ、こういう回顧は別として、焼岳は没で、ある。

■ 釜トンネル

朝、7時前に朝食のコールがかかり、7時半に宿のマイクロバスに乗る。朝食は、並べるだけで食べれるものが主体だったが、添加料満載の安かろう、悪かろうではなく、自然の保存食でおいしかった。

釜トンネル前に、登山届を出すプレハブがある。中で登山届を出すと、赤と黄色の長野県の山岳レスキューと同じようなウエアを着たオジサンたちが、色々聞いて来た。

蝶の偵察だというと、今日登れちゃうかもよ~と言う。なんだか励まされるが、宿泊装備は持ってきていない。徳澤園の冬季小屋はもうやっていないそうで、横尾の避難小屋かテントなのだそうだ。

横尾から入るのもけっこう大変かな。雪は例年の3分の1くらいだという。

今年は歩きやすく、そういう意味ではチャンスだったので、テント泊装備を持って行けばよかったのだが、それだと夫はまだ雪山のテント泊をしたことがないので、経験が不足しているかもしれない。

彼は思い込みが強い。テント泊=大変、と思いこんでいるのだ。もちろん、テント泊すると、それなりに小屋泊撚りは大変だが、今は軽量化しているので、1泊二日程度の山で、30kg担いでいるテント泊者なんて、知性が疑われる。

ある先輩が、60リットル以上のザックは知性が疑われる、と言っていたが、同感だ。

そう言えば、宿であった老登山者が、1週間テント泊で缶詰だったという話をしてくれたが、多少誇張が入っていそうなおじさんだったなぁ・・・ 明日はどこへ?と訪ねると行き先を曖昧にしていた。

温泉宿に泊まるような人だったら、テント泊で1週間も冬山にこもるようなタフな人とは思えない。

山ヤはプライドが高く、温泉宿なんぞには泊まるくらいなら、そのお金でもう一つ別の山へ行っていることだろう。

そうそう、釜トンネルだ。

宿のバスで出たせいか、同じタイミングで歩きだす人間が複数いて、そう寂しくなかったし、凍ってもいなかった。幽霊が出そうな、うら寂しい、長いトンネル歩きを想像していた。

が、そんなことはなく、あれ?もう終わりなの?という調子で終っていた。

釜トンネルを出たら、8時だった。そこから、帝国ホテル前の焼岳・西穂登山道分岐で、9時。

つまり、2時間プラス。焼岳はそこから4時間だから、順調に登ったとしたら、13時山頂。3時間で下るとすると、16時、まっくらになってしまう。日も短いので、いくら一般登山道とはいえ、事故の多い下りで時間がシビアになるのは得策ではない。無事戻っても、プラス2時間、ヘッデンで歩かないといけないとなると、18時釜トンネル、アウトとなり、これではゆとりが無くなってしまう。

やっぱり上高地Inでの焼岳は難しいなと思いながら、通り過ぎる。

河童橋までつくと、穂高の景色が素晴らしかった。少しガスが出ていて、西穂方面は見えないが、明神が素晴らしい。

あれに登ったんだよな~と感慨深い。夫にその話をすると、初めて二人で来た上高地で、自然ガイドのガイドさんから、明神について聞いたことはすっかり忘れているそうで、残念だった。

夫は、登山を理解するにつれ、すっかり、岩稜帯の山への興味を失ったが、基本的に彼が行きたい、と言っていたのは、単純に、聴いたことがある山、という話だったのだなぁと最近理解。

多くの初心者の”行きたい”なんて、そのような程度であろう、穂高穂高と世間が連呼するから、誰でも行ける山ではないのに、皆が行きたがることになってしまっているのだ。

山の素人は、知名度と数と標高で、凄さを計る。と誰かが行っていたのを思い出す。何がすごくて、何がすごくないか分からないから、誰にでも分かる”すごさ”を基準にしかできないのだと思う。

結局、そういう山は、人の目を気にして、誰かにすごいと言われるための山であり、そういう自己顕示欲のために、貴重な人生の時間を使わなくてもいいと思う。

人生の時間には限りがあり、限りある資源は、自分のしたいことのために、有効に使わなくてはならないのだ。

河童橋で山を見ながら、行動食を食べたら、すっかり冷えてしまった。今日は、このところの温かい冬の中では一番の冷え込みで、寒気が強い日だから、気温は低かった。

やっぱりそれなりに冬だ、と思いながら、休憩はそこそこに歩きだす。歩かないと寒い。

明神まではあっという間に付いてしまった。小梨平には、テントが数張り出ていた。

明神から徳澤へは、明神岳の展望が素晴らしい。何枚も写真に収める。

途中、落石注意という看板が出てくる。そのあたりで展望が良い。

夫には、落石注意ね~と声を掛けたのに、案の定、写真を撮り始めて立ち止まってしまう。

私は思うのだが、最近の人に意図を分かってもらうには、「落石注意ね~」と言うだけではだめで、「落石がある場所だから、立ち止まらずに歩いてね」とか「落石がある可能性があるから、写真を撮るなどして立ち止まったりしないでね」とか、噛み砕いて言わねばならないのではないだろうか?

夫は、足元に落石注意と書いてある看板の目の前で、立ち止まって、カメラを取り出したのであるから。

もちろん、落石にぶつかる可能性は、千に1つ、万に一つであろうが、それでも、そこで立ち止まるべきでない、ということは変わりはしない。

こうした警告があっても立ち止まる人の言い訳は確率論、可能性論であろうと思うのだが、可能性論はリスクをマスクしなくても良い、という話にはならない。

逆に、落石がありそうだから、通らないというのも、変な論理で、オールオアナッシング思考だ。

夫はそういう傾向があり、ちょっとでも危ないというと、ゼロを取る。か、リスク100%を取る。選択が極端だ。

そういうところが、山には、彼は向いていないんではないかな~と思うところだ。

徳澤園へは、11時半についてしまった。もしこれが、テント泊なら、早くつきすぎである。早くつきすぎても寒くて、やっていられないのが、テント泊。

7時半釜トンネル入口として、徳澤園までは4時間程度だった。もちろん、これはラッセルゼロの、特別に条件が良いときの話だ。

逆算すると、12時出発でも大丈夫と言うことだ。

徳澤園は、暖かな冬の日差しが注ぎ込んで、のんびり平和な感じだった。空のテントが15張りほど。

トイレ前のベンチが乾いていたので休憩し、コーヒーを淹れて一息つく。

12時過ぎに帰途に就く。帰りは早かった。途中、登ってくる人たちと長めの立ち話をしたりしても、15時15分に釜トンネル入り口に出た。 3時間だ。

ただ、なぜか、夫も私も、ひざの裏がかなり痛くなってしまった。底の固い冬靴で、フラットな、踏まれた雪の林道を歩いたからだろうか?

普段の登山では痛みを感じないのに、二人とも明瞭に痛みを感じて、困惑。

なぜ楽勝の道を歩いたくらいで、こんなひざ裏の痛みを抱えているのだろう???

二人とも足を引きづりながら、宿の迎えを頼み、最後の温泉へ。ゆっくり、のんびりしたいところだったが、子供が3人も入っていて、ゆっくりとは行かず、そそくさと出た。

それでも、すぐに温泉に入らないよりは入った方が、痛みは軽減するだろう。

あとは、途中のそば屋で、おそばを食べて、空腹を癒し、高速道路を飛ばす。行きはあんなにあっという間に付いた場所だが、帰りは早く帰りたい思いが、逆に帰路を長く感じさせる。

のんびりしていたわけではないのに、3時間ほどかかって帰宅。

帰って、GPSを見てみると、歩行距離は25kmほどあった。時速は3.3kmとあった。全然早くはない。

不動産の広告が、1分80mで計算しているのは有名な話だが、それだと、4.4kmになるのだそうだ。

だから、無理はしていないはずだが、それでも、えらいこと疲れた。

別の山の予定もあるので、レストに集中しないといけない。

Monday, December 28, 2015

昇仙峡クラック 2日目

■ 今日もクラック

今日も昇仙峡クラックに行ってきました♪

ジャムジャ〇84の3P目を再トライ。1P目は3級って感じ。2Pめから、5.10Aくらいが2P。3P目が長くて、30mくらいあるのかなぁ。ルートは60シングルで懸垂するといっぱいいっぱいなので、1P目15m、2P目15m、3P目30mくらいな感じです。

落ち葉がすべる出だし

2P目から真面目なクライミング

3P目から快適クラック これは昨日の写真です
これは気に入ったフィンガー用
ここはとても面白いルートだったのです。3P目、二ヶ所核心部があり、出だしと終了点近くのフィストから、出るところ。フィストはしないで、結局、左手サムジャムで、その後は、左足をスタックさせ、右足の甘い足ジャムに乗ったら、上の良いハンドクラックが取れました。ここは昨日は登れず、時間も迫っていたので、ユマーリングで上がったのです。足スタック技で、切り抜けられたのが収穫ですね~。

その後、下部のワイドクラック、5.9+とシンハンド(全く入らない)11bをやって、終了して帰ってきました。どっちも私には難しく大変。

しかし、まぁ、ワイドはくたびれるってことを理解。

昨日の講習では、それなりに足で登れていたので、体の方はそう疲れていなかったのですが・・・今日はぜったい最後のワイドだと思う。くたびれました。

11bのシンハンドのほうは、もうだましだましどころか、最初の離陸から困難・・・2つめの核心部もかなり困難だったので、あれはもう触るだけでいいかな~という感じでした。
アップ用ショートボルダ―

そのワイドのほうは、中間のフレアしたところで、チキンウィングで決まると言われましたが、決められず・・・でも、フィストが効く、という感触がつかめたのが収穫。

フィストはホントに良く効いた。あとは足ジャムの技を増やさないと、ニーロック状態から動けない。

最後は、ニーロック、フィストジャムから動きようがなくなってしまいました・・・次のムーブが出ればいいんだけど・・・

これは、まだまだ色々と勉強し甲斐があるようです。

≪気に入ったルート≫
・フィンガージャム用 スラブ
・マルチピッチの3P目
・アップに使ったボルダ―のショート(ハンド、フィストの練習)


■環境

昇仙峡は、ホントに気に入りました。環境がいい。雰囲気は山梨の近所の裏山で、どこにでもあるような、ダケカンバの明るい森です。

我が家の裏山と同じ雰囲気。兜山もあかるく乾燥した日向の山ですが、そんな感じでした。

昇仙峡もエリアに因るようですが、午後14:30を過ぎると日陰になり、寒くなります。朝早くから午後の早い時間が快適かな?

ここはボルダ―もすごいのが一杯落ちていて、通えそうな感じです。今日もボルダ―のマットを背負ったお兄さんをみました。

■女性クライマーと♪

今日は、クラック2年目だという、女性クライマーの方と登りました♪

ちょっと憧れている女性同士のクライミングが少し実現した。

長野から北海道へ転勤になってしまったそうで、はるばる北海道から来ているのだそうです・・・

実家が長野なので、車で来てくれていました。やっぱり二日連続やると上達した気がしますね。

岩って、何度も同じ課題をやって、やっているとある日登れるようになるので、私もまだまだその日が楽しみな状態っていうレベルです。

クラックはジムでは練習できないしな~

■ 手の筋肉

手の筋肉は、ヨガではあまり詳しくは取り上げない。どちらかというと、体幹や大腿四頭筋などの大きな筋肉を鍛えるほうが、痩身や基礎体温の向上などには有利だからだ。

しかし、筋肉について思索する?(笑)のは好きだ。私は足、つまり足首から下の筋肉には多少詳しい・・・のは、きっともともとバレエを長くしていたからなのだが、バレエをしている人はみな足底筋が発達している。

それが登山をしている時に歩きを比較的楽に身に着けた理由かなぁと時々思うのだが、手の筋肉について、あれこれ考えたことはなかった。

ジャミングなどの技術では、どこの筋肉が使われているか?ということでジャムの効き具合が分かるそうだ。

それは、私がヨガで生徒さんの脚をみて、グランディングと呼ばれる技術が使えているかいないかが分かるのと同じなのかもしれない・・・見ているのはヒラメ筋です。

■ 山の予定

明日から、上高地です。1泊二日。雪の上高地をぜひ見てみたいな~ということで、1日目は偵察です。

かの地では、今日の夜あたりから15cmの降雪・・・いいかも♪

二日目は、運がよければ登れるかなぁ・・・何しろ、上高地からの焼岳ピストンでは、一日の行程が長いので、日暮れまでに降りることを考えると、稜線はタッチくらいかもしれません。

焼岳なのですが、中の湯ルートと新中野湯ルートを取れれば、楽なのですが・・・


おまけ。尺側手根屈筋


山の世界でも誤解は深い

■ アルパインの危険

 1)地上100mの上に渡された、幅50cmの板

 2)地上10mの上に渡された、幅50cmの板

どちらが怖いだろうか?もちろん、1)の地上100mにある幅50センチの板だ。

アルパインの”危険”は、板が幅50cmであることではなくて、地上100mにあることだ。

一般の登山は、高いところを歩くけれども、整備された登山道は、1メートル幅くらいのゆとりがあるから、高さを感じることは少ないはずだ。

幅50cmくらいの道を、地上100mで、歩いていて緊張しなかったら、その人の危険認識力は何か間違っている。

幅50cmくらいの道は、特別な能力開発をしなくても、人は狭いけれど歩ける。

しかし、100mの高さにあれば、墜ちたら死ぬこと確実。10mでは、大けがはしても死ぬことはないだろう。

だから、ロープが必要だ。

■ フリーの困難

 2)地上10mの上に渡された、幅50cmの板

3)地上10mの上に渡された、幅5cmの板

”一般の人が楽しむレベルのフリークライミング”の”困難”は、板が高いところにあることではなく、幅が5cmしかないことだ。

このレベルになれば、誰でも、多少の能力開発をしないとダメだろう。

■ プロのフリーの困難性は、けた違い

そして、

”プロのレベル”のフリークライマーの争点は

 3)地上10mの上に渡された、幅5ミリの板

幅を狭くしていく。つまり困難度をどんどん上げていく。

今では信じられないようなレベルになっている。例えば センチの世界ではなく、ミリの世界というようなことだ。

■ プロのアルパインクライマーは、危険も困難性もともに桁違い

しかも、現代のアルパインクライマーは

 4) 地上100mの上に渡された、幅5ミリの板を通れるか

というようなことになっている。

■ まとめ

まとめると このようなマトリクスになる。


 危険だが困難でない

 一般アルパイン
 
     B
 
 危険&困難
 
 プロレベル
 アルパインクライミング 
 プロレベルフリー

     D 


 危険でない&困難でない 

   一般登山 
    
    A
 
 危険でない&困難
 
 一般フリークライミング
      
     C


困るのは、一般レベルの、フリークライミングやアルパインクライミングが、プロレベルの危険性や困難性と勘違いされていることだ。

それ以外にも、危険を招く誤解は多い。

昨日、夫をクライミングに連れて行ったら、夫はクライミングよりも、アプローチに使った、トラバース道が、右下は深く渓谷の方に切れていて、怖かったと言っていた。

それを聞いて、充分危険を認知できているな~と思った。

一般に、日本人は、危険の認知力が、集団の様子に依存しているかもしれない、と思う。

山の世界で最初に驚くことの一つは、高度があり、落ちたら死ぬほどの危険な所を、それを補うためのロープやヘルメットを付けずに登降している人(主に中高年)が、ものすごく多いことだ。

たぶん、それは、”みんなが行っているから”に後押しされているような気がする。自分の判断ではなく、周囲の様子によって判断されているのではないだろうか?

一般登山からスタートした場合、ステップアップ先として、目指すところは、BやCであって、Dではない。

高さと言う危険は、ロープを出すことで、マスクされなくてはならない。

だから、最初に、危険に対して、自らを守れるように、防御できるように、ロープを出す、出し方を覚えなくてはならない。

ロープの出し方を学んでいないのに、危険な所へ行きたがる人が多すぎる気がする。

一方で、困難なだけでロープによって墜落の危険をマスクされている、フリークライミングについては、危険だという思い込みが大きく、大きな誤解のもとになっている。

フリーよりも、沢登りの方が危険であるにもかかわらず、山の世界の中でもその逆に誤解している人は多い。

ロープが出る山で、もっとも大きな危険は、人為ミスだ。人為ミスをマスクする、もっともベターな方法は、自分でロープワークをすることだ。

人にさせる、ということがもっとも危険だ。その人がどんなに優れていても、間違えないと言えるだろうか?

というわけで、山の世界でも、二つは大きく誤解されている。

 ・誤解その1 ロープが出る山は危険だから、できるだけロープを出さない
  
 ・誤解その2 フリークライミングは危険

困難度が上がれば、墜落の危険は増える。 しかし、落ちても2m滑り落ちるだけのところでは、ロープは出さない。

その例がボルダリングだ。ボルダリングは困難だが、ロープは出さず、みんなジャンプオフ(つまり墜落)して、上り下りを繰り返している。

こんな簡単な理屈も、分かるのに、5年10年かかる、というのが山の世界の不思議な所だ。

Sunday, December 27, 2015

昇仙峡 クラック講習

今日は、昇仙峡のクラック講習会に行ってきました☆

吉田和正さんの講習会です。

実は、知人に良いと聞き、さらにこのブログの読者の方にもコメントでおススメだと教えていただき、出かけてきました。

クラックはしたいし、今年は暖冬で雪もアイスも遅いし(では、岩でも・・・♪)、昇仙峡は、ほぼ我が家の裏庭といえ、MYホームグランドとすべき山であるし・・・ということだからです。

ただフィンガーって難しいので、まだ早いだろうな~と思っていました。

私はあまりクライミングの歴史は詳しくないのですが・・・、ふと『アウトドアクライミング』と言う本の後ろのページを見ると・・・

吉田さんが5.14Aのシュピネーターを初登したことが書いてありました・・・(汗)

これを読んだ瞬間に、そんなすごい人の講習に出ていいのか?と少しビビりが入りました・・・

私の想像上のフリーのすごいクライマーは、取り付くしまなしな感じの求道的な、筋肉ムキムキマンってもので・・・それはどうしてそういうイメージになったのかというと、シュナイダーやメスナー、W.ギュリッヒの書いた物の影響が強そうで、あまりフリー的とは思えないのですが、フリーはアルパインクライマーをさらに求道者化したもの、と思っていました。

実際にお会いした吉田さんは、ジャムの仕方から教えてくださり、とっても好感。

ハンドジャム、いままで、親指を伸ばして入れていましたが、実は曲げるのが正しく、他の指も第二関節から曲げるのでした・・・。

シンハンドを習う
そのジャミングの仕方で登ってみたのですが、なかなか良かったです。一つ目はショートの課題で、ボルダ―、ハンド、ワイド、ハンド。ワイドのところで、どうしましょう・・・となる。

次はシンハンドの課題、これは前傾していなかったので、快適。またやりたい。

最後は何とマルチ(ジャムジャム84)。これは最後の3P目がとってもクラックらしくて、いい感じだった。出だしが核心。最後、フィストしか決まらない箇所でスタンスが分からなくなり、苦戦。Aゼロでもダメで、墜落多数、終にユマールとロープクランプを出した。

フリーだと思ってギアを十分持って行かなかったので、スリング足りず苦戦。2P目も出だしが核心だったなぁ。だいぶ時間がかかってしまいました(ーー;) すみません。

5人で登るマルチって一体どうやるのか?多少混乱した。普通は、2パーティで、二人と3人に分けるんだが・・・。


講習会に会った人に一緒に登りに行こうと声を掛けていいものかどうかよく分からないな~といつも思っているのだが、今回のパーティでは気にしないようだった。

というわけで、明日も行くことに♪ いや~今マイブーム岩みたい。

アイスは今年はまだ触っていないのが、残念ではあるが・・・1月はできるだろうと思う。

帰りは山宮温泉に立ち寄り、一風呂浴びて帰った。






おまけ。虫様筋は大事らしい







Friday, December 25, 2015

山梨山のグレーディングの研究

■ 山梨山のグレーディング

山梨山のグレーディングでは、このような具合に登山道を分類している。

引用元 https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/shintyaku/grading.html 

技術的
難易度
登山道の状況
登山者に求められる
技術・能力


A★
◇概ね整備済
◇転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低い。
◇道迷いの心配は少ない。
◆登山の装備が必要


B★★
◇沢、崖、場所により雪渓などを通過
◇急な登下降がある。
◇道が分かりにくい所がある。
◇転んだ場合に転落・滑落事故につながる場所がある。
◆登山経験が必要
地図読み能力があることが望ましい。


C★★★
◇ハシゴ・くさり場、また、場所により雪渓や渡渉箇所がある。
◇ミスをすると転落・滑落などの事故となる場所がある。
◇案内標識が不十分な箇所も含まれる。
◆地図読み能力、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要


D★★★★
◇厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・くさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や渡渉箇所がある。
◇手を使う急な登下降がある。
◇ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い。
◆地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
ルートファインディングの技術が必要


E★★★★★
◇緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する。
◇深い藪漕ぎを必要とする箇所が連続する場合がある。
◆地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
◆ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
◆登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある。



見ながら、登山の能力を付けるのは

1)装備
  ↓
2)地図読み
  ↓
3)岩登り(身体能力)
  ↓
4)ルートファインディング
  ↓
5)ロープ

だよなぁ・・・と納得中。 人について歩くだけだと、2)地図読みをすっ飛ばす。ただ体力だけが上がって行き、自分では道を歩けない人になってしまう。

3)岩登りは身に着けるのは、男性にとっては易しい。 高所恐怖症でロープが出る山は一切やらない夫だって、なぜか3)の山の岩登りは私より身軽な位なのだ・・・。岩も頑張ってはいるけど、女性はお尻のお肉が重いんですよ。

でも、そんな男性たちも、4)のルートファインディングに関すると、かなり怪しい。頭上に落石要素を抱えるところなど、気にもせず、通っている。

・・・というわけで、地図読みとルートファインディング能力は、全般に疎かにされている、という話。

考えてみると、女性的な能力と男性的な能力に登山の能力は統合されているのかもしれない。つまり女性的な繊細さを持った男性と、男性的な冒険心を持った女性に強みがあるのかもしれない。

■ トレーニングに適した山

ハッキリ言ってトレーニングには、Aレベルの山が適している。

しかもある程度長く(標高差500~1000)でないと計測に向いていない。

というわけで、こちらの表によると



 1)近所

 2)サイズが適度

という条件を満たす山は

 ・小楢山 (フフ登山口) 登り3時間
 ・櫛形山 (北尾根)

山を見てみると、うーん、体力度2では、ハイキングだな~まぁハイキングもキライではないのだが。

仕方がない、登山技術Bまで妥協する。



・雁坂嶺
・甲武信
・雨乞岳
・鳳凰山
・富士山

となった。 あんまり、やっぱりないんだよなぁ。 我が家からだと甲武信が近いので、甲武信岳とは、もっとお近づきにならなくては。何しろ、金峰山のほうには何度も登っているのに、甲武信には、あまり登っていない。

その理由は、甲武信小屋のおやじさんが怖いらしいというものであったが、最近小屋では代替わりをしたらしいしな~

あとは南ア前衛と富士山と言うことになるが、富士山はまぁ5合目までだし・・・宝永山と言う手もあるが我が家からは、”あ、今日晴れだ!”と思いついて行くには、遠すぎる。

鳳凰は、思い付きで行けそうではあるが、林道が核心なので、鳳凰より、甲斐駒黒戸山のほうがアプローチは楽であろう。とりあえず、スタッドレスではなくても行けるところがありがたいノダ。

ということで、色々 新ホームベースの山研究、であるのだが、林道からすぐですぐ登れる山っていうと、そうなく、やっぱり茅ヶ岳は優秀だな~と思ったりするのだった。




Thursday, December 24, 2015

雪山の計画

■ 非都会的な豊かさ

今日は甲府は朝は濃い霧に包まれていた。だいぶ気温も高いのだろう・・・。

葉つきニンジン 葉がおいしいんだな
年越しは雪が味わえないかもしれない・・・と、悲しい。

普通にいつもの買い物に行ったら、100円ショップは、長蛇の列でビックリだった。結局、何も買わずに出た(笑)。20号も大渋滞。

いつもの直売所に行くと、巨大大根が100円!腕ではなく、私の足の太さくらいあった。大きすぎて、抱えられないほど。

豊かだな~。山梨では、うまいこと時期が当たると、旬、安さ、旨さ、の3拍子が揃う。

直売所なので、規格外のものなのだろうが、ごくたまにではあるが、激安に出合う。今回はそんな激安の日だった。

葉つきのニンジンも、2kg位入って450円。、傷がついたゆずも、おなじくお風呂用で、280円。太すぎて、西洋野菜のリーキのようになってしまった長ネギは2本も入って、100円。

車と家の間を2往復しないと買った物を家に持ち込むこともできなかった。野菜の下ごしらえにも、大きいため、随分と時間がかかり、くたびれた。
今日のランチ 全粒子のパスタと野菜

そんなこんなで、主婦業でぐったり。

しかし、こういう風に主婦業を行えるのは、今ある生活の特権だな~と思う。

大阪で働いていたころは、ジャムを作りたい!

と思ってもそんな暇はなかった。主婦がいないと、必ず食は乏しくなる。主婦がいるというのは、本当に豊かなことだ。

■ 白毛門

白毛門は、家にあった雪山のルート集に記載があった。この本は、雪山を目指していた頃、愛読していたが、山岳会に入ったら、なかなか、そこに出ている山に行けなくなってしまった。

もともと私は、白馬主稜を目指していたんだよな~と思いだし中。

白馬主稜は、長いが悪ばがないので、ちょうどレベルにあったルートだと感じたが、天候が読めず、そのため後立方面の小屋に出稼ぎに行って、その地方の天気について勉強することにしたのだった。

会に入ったら先輩は鎌尾根に連れて行ってくれた。もちろん、わたしには白馬主稜よりも、鹿島槍鎌尾根のほうが”上の”山だと思える。

”上の”というのは、山に甲乙つけるようで、あまり良い表現ではないが、メジャーなルートより、マイナーなルートのほうが、わたしには価値があると思える。

鎌尾根になって良かったので、それはそれで感謝しているのだが、一方で白馬主稜は残った課題のままだ。

そのような、積み残し課題の一つが、白毛門だ。これは性質としては、要するに

 ガンガンラッセルしなさい

という山だ。

雪の山には

・岩稜のアイゼン歩行
・雪稜のラッセル
・雪稜のキックステップ
・雪稜の滑落停止
・雪崩れの知識
・雪崩地形の知識
・一般的な風雪や寒冷から身を守る知識

など様々な要素がある。厳冬期は、基本的には八ヶ岳なら岩稜、他はラッセルの山。

岩稜の山をアイゼンで歩くのは、アイスをやっている人には取り立てて言うことのない技術かもしれないのは、フリーをしている人にとって、岩稜縦走がそう難しくないのと似ているかもしれない。

ラッセル山行は、会の中では実現が難しかった。

のは、みな高齢化して、若くラッセル戦力になりそうな人がいないのと、指導に回る先輩のほうは、50代も過ぎ、主戦力としてラッセルするのは、体力的にあまり自信が持てない、ということのようだった。

アイスの山も実現が難しく、みなアイスクライミングの世代ではなかったりした。アックスがストレートだったから、ちょっとしたところも登る苦労が倍増で、きっとそんなに楽しくもないのではなかったのだろうか。かと言って、新しくギアを買うほど頻繁にルートに行くとは思えないし。

冬壁は論外。冬壁は基本的に昔やったら今はいいや、という感じなのだろうと思えた。寒いし、危険だし、行ったことがなければ行きたいかもしれないが、行ったことがあれば、特に魅力を感じなくなるのかもしれない・・・その辺は謎だ。

結局、春の雪稜あたりが、リスクも少なく、労力も少なく、ただあるくだけで済むので、残るのだった。というわけで、それなら、個人で行けるところとあまり変わらないことになってしまうのだった。

山梨で雪と戯れるラッセルが期待できる山になると、笹山とか、とんでもなく辺鄙な場所になってしまい、それはそれで外界と遮断されすぎているというリスクが加算され、あまり新人を連れて行くのに向かない。何かあったとき(たとえば手袋を無くすとか)、すぐに下界に復帰できる場所が良いからだ。

結局、八ヶ岳は雪が少なく、雪が多い北八つの北部(蓼科山の向こうなど)は辺鄙過ぎ、時期外れの鳳凰三山はアプローチがむしろ課題となり・・・雪の少ない内陸気候の山梨からだと、

・雪があって
・アプローチが可能

となると、北ア北部の後立の山々か、上越の山ということになる。それはまぁ東京方面の人であっても事情は同じだ。

・・・ということになると、代表格は谷川岳なのだが、天神尾根ピストン以外は、気軽な山ではなく、しかも、天神尾根なんてロープウェーで行くスキーのゲレンデ脇なので、ただ雪山という環境があるだけで、”山”ではない。

ので、結局色々考えると、やはり、その隣の白毛門が、入門としては適切、ということになる。

■ 適期?

白毛門へいつ行くか?となると、これはもう、ラッセルを楽しみに行っているので、このような風景が楽しめるときだろう・・・


今年は天候の読みが難しい!

この写真は、以前行ったタカマタギの雪山山行だが、6人でラッセルして、帰りはそのラッセル痕が跡形もなくなっていた。

つまり、自分のトレースをたどって帰ることができない。

つまり、地図読みは必携の技だ。

■ コンディション 

雪というのは、コンディションが、新雪期、厳冬期、残雪期で全然違う。

新雪期の雪は、あってもなくても同じようなもので、例えばピッケルによる滑落停止など、全然意味をなさない。岩も雪で隠れていないし、雪の摩擦の制動なんて、てんでなし。雪や氷で滑って危ないので、無雪期の道が凍っていると思ったらよい。

そこそこ積もっている厳冬期は、標高の高い場所の雪はサラサラだし、低かったり気温が高かったりすれば、表面が氷化(クラスト)している。クラストしていれば、その上にアイゼンで乗れることもあるし、クラスト層が薄すぎて、もなか雪になり、大変なこともあるが、そもそも八ヶ岳は雪が少ないので、ラッセルしても足首とかひざ下。白駒池をラッセルした時は足が雪にひっかかって、足を抜くほうが大変だった。

雪の量が多い山域と八ヶ岳のようにプロービングで地面に着く範囲しか降らない地域では、タイヘン度はだいぶ違うだろう。

大雪の日に新雪のラッセルを楽しみに裏山に行ったら、サラサラ過ぎて、ちっとも進めず、5分のところに30分もかかった。翌日は雪が落ちつき、雪の上に乗ることもできて、楽勝になった。

雪=アイゼンと思いがちだが、雪の8割にアイゼンはいらない。クラストした雪に有効なのがアイゼンなのだから。ピッケルの滑落停止も、雪で斜面がしっかり覆われていれば、雪の支持力が期待できるが、そうでなくて地面が見えているような場合、むしろストックを持ってバランス維持した方がいいくらいだ。

残雪期の雪になると、もうクラストしているか、腐っているか、のどちらかで、標高が低い山だと、腐っていて、靴はびしょ濡れ。ようするに、雪と言っても、それくらいコンディションが色々だということなのだった。

なんとなく思うのは、年齢を重ねると寒さが堪えるんだろうな~ということ(笑)。

雪割れがあり、そこに落ちたとき怪我をするような穴だと、ザイルが必要になるし、斜度もそうでみぞれ状の柔らかい雪は支持力があまりないので滑落が許されない。スタンディングアックスビレーが必要になる。

ところで、私が疑問なのは、厳冬期の、スタンディングアックスビレイを可能にするほど、積雪量がないときに、稜線でどうやってビレイするのか?ということ。

タイトロープはビレイとはとても言えない。岩はガチガチ。スノーバーも入らない。そのような場合、肩がらみ・腰がらみ以外、どうしようというのだろうか?

■ 生活技術

それよりも、冬山でシビアなのは生活技術。濡れを放置しても、沢や夏山では大した問題にならないことが多い。

八ヶ岳では、寒さがー20度を超えるのはザラで、行動食をこまめに食べたり、衣類をこまめに調節したりする、まめまめしさがないと、すぐ凍傷になりそうで、実際、足を凍傷になった学生などを見たし、バリエーションルートを登るのはいいけど、下降する技術がなくて、凍死したりしている。

一方で、濡れがシビアなのが、低山の谷川岳で、タカマタギに行った時は暑くてびっくりした。暑いから、すぐに体に着いた雪が解けるのである。

八ヶ岳では手で振り払ったらいいだけの雪が、振り払う前に解けてしまうのだ。それでは、気温自体がそう低くなくても、濡れのせいで冷えてしまう。

凍死と言うより、低体温症がシビアだと思ったのだった。

一般に、夏山で縦走して、生活技術を身に着ける。のは、判断をすり合わせたり、リスクがない状態で、足並みをそろえるためだ。

■ 楽な人とそうでない人

今年は、ほぼ初見の人と夏山のテント泊に行ったら、快適でびっくりした。Yさんだ。実は、夫と山に行くより快適だったりした(笑)

夫は、あれをして、これをして、と指示をしないと次に何をしたらいいか分からないのだが、Yさんはそれがなかったのだった。

それですっかりアルパイン人種の信頼度アップ。テントを張るのに、テント袋をその辺においたりしないし、ペグかペグなしかなんて聞いてきたりしない。そんなのはその場で判断したらいいことだ。持って行っても入らないような固い台地だったら、持って行き損になるし、石が落ちていなかったら、テントを押さえるものがない。でも行って見なければ分からない。

朝起きて、シュラフを畳んでくれないと湯が沸かせないし、湯が沸かせないと、出発が遅れるし、出発が遅れると、リスクが上がる。そういうことをすべて言語化しないでいいというのは、楽だった。

もう一人、楽な人がいて、最近岩の師匠になってくれているIさん。テント泊というより、キャンプだが。スーパーで夕飯の食材とお酒を買いこんで、宴会泊を重ねているが、ぜんぜんストレスなし。

話題は山の話だったり、クライミングの話で、お腹がくちくなった頃合いで、適当に寝て、朝になれば起きて、普通にコーヒーを沸かし、前夜の鍋の残り汁で、うどんを食べ、鍋を拭き、さらにもう一回コーヒーを飲んでも、まだまだ時間があるな~という時間帯で、山に支障がない。

湯を沸かし、食事を作り、使った食器を拭き、酒を飲む。誰も拭いてくれない共同の鍋が放置されることはない。自分だけ別のを食べるといいだすこともない。

まぁゲレンデであり、山ではないということもあるが、キャンプではなく、テント泊でも一緒だろうな~と思うんだが。

そういうわけで、生活技術的なストレスがないのは、あまり贅沢を求めていない山ヤと一緒の山なんだが・・・私が尊敬していて真似しようとしていたのは、山ヤスタイルなのだから、当然なのかもしれない。











Wednesday, December 23, 2015

マイペース登高能力テストをやってみましょう

■ マイペース(経済スピード)を知ること

マイペースは非常に重要だ。マイペースでないと苦しくなるから、というのが、その理由。

山岳総合センターが、そのマイペースの把握の仕方、

 『マイペース登高能力テスト』

を出している。

そこでは、驚きの体力評価基準が提出されている。

登山では、1時間当たり300m登ることが一般的とされているが・・・

1時間あたり、稼げる標高差が300mでは、

”信州山のグレーディング”の山に登るには、体力が不 足してリスクが大きくなります。リスク回避の方法 3の内容を参考に安全な登山をしてください

となってしまうのだ・・・(^^;)。引用元はこちら。

http://www.sangakusogocenter.com/topics/docs/201506mypace.pdf

条件は、体重の10%の荷物を担いだ場合、とあるので、体重50kgの人は5kg、60kgなら6kg。

■ 評価

(3)登高標高差から自分のメッツを知る

登高標高差 メッツ 体力面の評価
500m以上 8メッツ台 全ルートを 登れる体力
420m以上 7メッツ台 一般的な登山ルート (技術的難易度 A~C の範囲)を登れる体力
330m以上 6メッツ台  易しい登山ルート” (体力度 2.5 以下で、難易度 A・B の範囲)を登れ る体力
330m未満  6 メッツ未満 信州山のグレーディング”の山に登るには体力が不 足

※ 評価は、体重の10%程度の荷物で標準的なコースタイムで歩く場合

一般的に、1時間で標高差300を登れれば、登山者としては合格とされていたのだが、この体力評価だと、それでは、まったく易しい山にも登れない、ということが分かる。

■ マイペースの標高差の出し方

 (1)できるだけ単調な登りが500m以上続くルートを選ぶ

 (2)マイペースで登り、所要時間から 1 時間あたりの登高標高を求める。

■ マイペースとは?

・ きつさを感じる手前のスピード

・ 息がはずまないで、話しをしながら登れるスピード

・ 休みながら、数時間程度、同じ早さで登れるスピード

まぁ、要するに一人で歩いてみることですね。一人で歩くと、勝手にそうなります。

■ ホームベースの山を持て

こうした自分のペースを知るには、ホームベースの山を持っていることが大事です。

ホームベースの山を持て、と言われるのは、このマイペース登高テストを経験則的にやっていた、ということなのでしょう。

自分のホームベースの山で検証します。

まず西岳。 西岳は標高差1000m 距離5kmの山です。

1回目 09年 不明 登山自体も初めてだった
2回目 10年 登り180分 330m/H
3回目 14年 登り140分 420m/H

最近の乾徳山 標高差1200m 距離7.5kmの山 扇平から上は岩登りがあるので測定に不適の為、割愛。扇平までの標高差890mに、のんびり歩いて120分。

乾徳山 登り 120分 445m/H  岩場も入れると・・・450m/h

うーん? 1時間500mには届かず。もっと体力が必要かもしれませんね~!445mが楽勝ということは、とりあえず ”420m 7メッツ”よりは、上ではありますが。

ま、年々順調に成長したんだな~。最初の頃は、330mですから。

きっと夫は、まだトレーニング不足で、この段階なのかも?

ちょっと今のホームベースの山、茅ヶ岳には物足りなさを感じる・・・ので、どこか探さないと、いけないです。


ちなみに、こちらが山のグレーディング表。 体力にあった山にのぼりましょう☆

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/documents/yamanogure-dexingu20151016homepagekousin.pdf

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■ 白毛門

白毛門へ行けそう!というので、また谷川岳方面の研究をしています。

実は、以前、西黒尾根で雪洞泊を敢行しようとし・・・そして、誰も山行計画を練るためのミーティングに参加してくれないので、山行は没になりました。

みな、雪洞で宴会だけのことに興味があり、リスクはどこか、何時にどこに着いているべきか?という作戦を練ることが大事だと分かってくれなかったのです・・・。

以来、お預け。また、そもそも山梨から遠い上、冬壁には興味がない(というか、私できないでしょう、冬壁)ため、別にいっか~となっていた谷川連峰・・・

もちろん、雪稜と言う意味で、太平洋気候に属す八ヶ岳とは、毛色の異なる、谷川岳の天神尾根や、北ア北部の八方尾根は、転進先候補として、一応知ってはおきたい場所でした。

こういう一般ルートは、山域の概念を把握するために行くところです。

■ お天気核心

冬山は、気候条件をよく知っていることが第一です。

思うに、リーダーについて行くだけの人は、適期かどうか?の研究がおろそかになっているので、自分では行ったことのある山にも行けない。

 太平洋気候 → 八ヶ岳         = 厳冬期(西高東低)は晴れ
 日本海気候 → 北ア北部・谷川連峰 = 厳冬期(西高東低)は大荒れ

それに、日本海気候の場合、悪天候が長引き缶詰に。天候の読みに失敗が許されない、という意味では、八ヶ岳の比ではないです。

八ヶ岳なら、強気の判断をしない限り小屋もあります。谷川には駆け込み寺はありません。つまり、ちょっとした判断ミスが重大事故になる可能性が大きいです。

■ 谷川岳周辺の積雪期の岩稜および尾根ルート

以下、『谷川岳周辺の積雪期の岩稜および尾根ルート』と題される、本庄山の会の記載からのまとめです。

(重要な所赤字)

■ 概論

・低標高(1963m)
・アルプス的風貌
・きわめて高い困難性

多量の積雪
・気象条件の悪さ
複雑な地形

・無雪期は登攀対象にならない

■ 歴史

・比較的新しい
・天神尾根、西黒尾根 = 昭和初期
・1955年 古川純一 一ノ倉尾根
・1958年 松本龍雄 一ノ倉沢衝立岩中央稜 
・1960年 滝沢リッジ 本邦有数の冬季ビッグルート

・1966年 幽ノ沢 中尾根
・1968年 幽ノ沢 石楠花尾根 (人気ルート)

・南面 アプローチが面倒で訪れる人が少ない

■ グレーディング

天神尾根、西黒尾根をのぞき、容易に取りつけるルートではない
・初心者のみの入山は不可
・この地域の経験がある中・上級者のリーダーが必要

初級クラス
東尾根、一ノ倉沢1・2沢中間稜、マチガ沢3,4の沢中間稜、仙ノ倉北尾根、中ゴー尾根、幕岩尾根、幕岩Aフェース南稜

中級
一の倉尾根、一ノ倉沢4,5ルンゼ中間稜、幽ノ沢中尾根、石楠花尾根、幕岩B、Cフェース中間稜

上級向け
一ノ倉北稜、中央稜、滝沢リッジ、滝沢右稜

■ アプローチ

・夏道利用 
・ラッセルの状態により、所要時間が大幅に変わる

■ ベース

・各沢の出合い
雪崩れの危険あり

■ 下降

・下降ルートの判断が成否に大きく関与する
・登攀に全力を投入し、疲労しきってからの国境稜線で吹雪かれて、疲労凍死という事故が毎年起っている。

・避難小屋は雪下で全く使えない
雪洞が掘れる
・猛吹雪の稜線は、方向感覚、体力を著しく低下させる
・慎重さが必要
・稜線にある避難所は肩の小屋のみ
・天神尾根・西黒尾根を使う

■ 気象条件

・冬型の気圧配置=風雪
・冬は晴天が少ない
・一日1m~3mの降雪
・気温が高く 湿雪
・12月、3月は雨が降ることがある
・好天と悪天の気温差が大きい = 装備に細心の注意を払う

■ 装備

・濡れることに対して最新の注意を払う
・ゴアテックスの雨具
・ビバークシェルター必携
・スペア手袋必携

■ 関連記事

豪雪のタカマタギ

以前、タカマタギと言う山に行きました。八海山の転進でした。樹木がない岩尾根は、風雪がまともに吹き付けるのですが、タカマタギは樹木が出ており、悪天候でも入山可能と言う計画でした。

雪洞を掘る練習はをしていますが、雪洞泊は実現していません。濡れるし、寒いし、快適ではない、と聞いています(笑)。

雪洞泊頓挫
一般の人とのかい離
ベテランが雪洞泊しない理由
雪山のリスクマネジメント講座






Tuesday, December 22, 2015

雪山ステップアップ&行動食の研究

今日は忙しい日だった。図書館に出かけ、登山体系4冊ほか、登山の本ばかり借りてきた。


■ 雪山ステップアッププラン?

私は雪山で山を始めた。だから、一番好きな山は雪の山。

もともと、岳人04年2月号の廣川健太郎さんのプランを基に、それを自分たちのレベルに合わせるように組み立てて、これまでステップアップしてきた。

参考までに以下のようなプランだ。命名、ヒロケンによる雪山入門プラン(笑)

ーーーーーーーーーーー
初級者:  

夏山は一通り歩き、そろそろ雪山クラス。どれくらい夏と違うかいまひとつ ピンと来ていないが、体力はそこそこあるので、多少は心強い。生活技術やルート ファインディング、体力の使い方などの判断力を身に着けることが主眼になるレ ベル。 

中級者:  

雪山入門を果たしたクラス。アイゼンピッケル、体力のセーブの仕方、 強風、低温下での生活技術を状況に応じて使い分けることを学ぶことが主眼。 

初級 
1月 丹沢表尾根 
2月 北八つ
 3月 金峰山 
4月 天神尾根 
5月 八方尾根 

中級            
1月 天狗 
2月 白毛門 
3月 赤岳 
4月 甲斐駒 
5月 奥穂
ーーーーーーーーーーーーーーー

丹沢表尾根も、天神尾根も、八方尾根も行っていない(笑)。

が、丹沢はバリエーションの雪山に行き、谷川岳は代わりにラッセル山行でタカマタギに行き、八方尾根は6月に唐松岳から五竜まで縦走している。

5月の奥穂には行っていないが、西穂に行っているし、5月の鹿島槍に行っている。甲斐駒は1月に行っている。

というわけで、積み残し課題としては、白毛門が残っている。

谷川方面の山だから、雪、と言った時の雪の意味が、まったく八ヶ岳とは違う。ホントに雪崩があって埋まったら死んでしまうかもしれない山かもしれない・・・谷川連峰では、ホントに雪の量が課題になる。寒さはそれほどでもない。

というわけで、今年は白毛門に行けそうな仲間がいて、楽しみにしている。雪洞泊が必要になる山だが、雪洞技術を課題にするだけなら、普通に天神尾根での雪洞泊でもいいかもしれない。

この白毛門がなぜ残っているかと言うと、ラッセルの山だからだ。八ヶ岳は雪が少ないので、なかなか選ばないとラッセルにならない。

八ヶ岳以外だと、厳冬期は日本海側気候に属し、山との駆け引きが、難しすぎる。もちろん、厳冬期でも、人が入る正月は大幅に、ランクダウンなのだが、それも人気ルートや小屋が開くから、という理由だ。それなら、ラッセルではなくトレースをたどる山になってしまう。

年に一回くらいは、あせびっしょりになって雪と戯れたい!と思うのだけれど、単独または個人だと、つまり一人とか二人でやるとなると、なかなか大変。

■ 手作り行動食の研究?

登山を始めて、コンビニがすっかり身近になってしまった。

でも体に悪い。

ということで、登山も落ち着いてきたし、そろそろ、コンビニは卒業したいな~と、山で食べる定番メニュー開発にいそしんでいる。

スコーンはカロリーが足りないかも
山の行動食、コンビニで購入しているものを自分で作ることができればいいな~ってわけで・・・

今朝はワッフル♪

山での行動食定番は、冬はおにぎりはダメなので、パン系が良いのだが、パン系ってしっとりしているのは、すべて油脂なのである。

その油脂は、基本的にトランス脂肪酸、ということで、実は体には悪い。

家で作るとおいしいので、つい食べ過ぎてしまうので、できるだけ作らないようにしていたのだが、やっぱり、家に主婦がいる喜びと言うのは、こういうものが手作りで、出てくること、かもしれないとおもったりもしないでもない。

節約の事もあるし、まぁ、再開するか、というところ。



Monday, December 21, 2015

ディープスラブ雪崩 まとめ

■ 真砂岳の雪崩事故

2013年11月23日の真砂岳の雪崩事故ですが、読者の方に

ディープスラブの雪崩だということを教えてもらいました。

2014年3月号の岳人に、記載があります。

出川あずささんの記載です。

■ 記事より当方のまとめ

雪崩れのタイプ
・面発生乾雪表層雪崩
・ディープスラブ
・規模は標高差480m サイズ3
・見通し角 24度
・サイズ3は車を壊す程度の雪量が動く規模
・地形から見れば普通に発生しうる規模
・持続型スラブと区別して、ディープスラブと呼ぶ

・斜面に対して横向きに風が吹き、雪が堆積する地形
・北面
・凸状で雪を保持しにくい
・沢の途中に平たん部や屈曲点があり、末端が細い =地形の罠を形成している

天候
・10日二つ玉低気圧通過 (雨)
・その後、まとまった降雪
・16,17日好天
・18日~22日 150cmの降雪

弱層
・10日の降雨で出来た融解凍結層の上に形成 こしもざらめ雪
・中層以下は、しまり雪の固いスラブ
・スラブの厚みは、20~300cm

被害
・7名
・1~2時間で、6名発見
・7人は1~2mの深さにいた

ディープスラブ
・不安定性を示す明快な証拠を発見できることが珍しい
・積雪テストは機能しない
・いったん発生すると規模が大きくなる
・不安定性が出現する場所に一貫性がない
・低い可能性ながら重大な結末となる雪崩

今後のヒント
・立山は風の影響が強い
立山は、安全地帯が限定的
・不確実性が大きい場合は、それに見合った大きさの安全マージンが必要
・感覚を開けて登り、雪崩れ地形に入るのは一人とする=原則

■ ディープスラブ

こちらは、雪崩ネットワークのページより、当方まとめ。

・一般的にシーズン初期、良く晴れた寒冷な気象状況に積雪が曝されることで、その表層で形成され、その後の降雪で深く埋没する

降雨による融解凍結層とセットになった持続型弱層もディープスラブによる雪崩をもたらす代表例

・すべての方位において形成

・形成しやすい特定の地形的特徴はない

・積雪が深く均一に堆積しており、穏やかな天候の場合、ディープスラブの誘発には、かなり大きな刺激(強力な爆発物や大きな雪庇など)を必要とする

・浅い位置にある弱層から小さい雪崩が起こり、それが深い位置の弱層を刺激することでディープスラブの雪崩が発生することが一般的。

・積雪の薄い場所を刺激することで誘発するリモートトリガーもよくある

・ディープスラブによる雪崩の予測は、とても困難

・発生すると破壊的な規模となる

・気象が大きく変化する時や春の訪れは、しばしばディープスラブの活動を目覚めさせる

・その時期は期間では小さい刺激でも誘発は起こる
■感想

荒れたお天気の後の晴れはやっぱり要注意。 と思いました。

岩場での学び

今朝は、目が覚めたとき、岩の登り方を考えていた・・・驚いた。

■ 先輩・後輩

河又・天王岩へ連れて行ってもらえたことはありがたいことだった。この岩場の選択は、やはり、ジムでの練習にいまひとつモチベーションをあげられないでいる後輩に、モチベーションをあげよう、という親心の一つだと思う。先輩とはありがたいものだ。

今一緒に岩に行っている人とは、小川山レイバックで会ったのだから、会の枠には収まっていない。関係は、勝手に弟子入りした、先輩後輩というものだと思う。

山岳会で、先輩が無償で後輩に教えるシステムが崩れた、と言われるが、会の枠を超えて、機能している一例と言えるかもしれない。

■ 前傾壁

クライミングジムの壁はみな前傾している。

私の岩登りは、アルパインをより安全にするために始めたクライミングだから、アルパインに出てこない前傾壁は、全く興味が湧かなかった。

前傾壁は、私の中からは、全く除外されていて、前傾=登らない、という方程式さえ、成立していたくらいだ。なぜ、ジムの課題はいつも前傾しているのだろう?とすら思っていた。

私が小瀬の人工壁でクライミング練習を始めた頃は、登攀は必死すぎて、テープを追うのがやっとだったので、テープを追いやすい、分かりやすい課題は、小瀬では外壁しかなく、傾斜が変えられる外の壁は、40度の傾斜での11Aが一番易しかった。仕方がないので、その課題の傾斜をゼロにして、おそらく5.10Aくらいでしょう、ということで登っていた。そこでは、それしか登れる課題がなかったのだった。

その後パートナーがいないので、小瀬には行かなくなってしまったが、それはあまり堪えなかった。一応、クライミング力アップのためには、環境的にまずいなーとは思っていたが。

元々、外の岩のほうが好きだったし、長い被ったその課題以外には、短く難しい課題があったが、グレードを上げても、楽しいとは感じられなかったからだった。一度、行きたくないのに、10cを触り、手繰り墜ちして、床から50cmくらいで止まった。人に登れと強制されて登るのはやめようと思った。

今回の岩場の選択は、ジムでの前傾壁の課題が、そのまま外岩になったような感じで、実際、河又の洞窟の付近をトライしていたクライマーを見ていると、まるで小瀬の人工壁を登っているクライマーのようだった。クライミングムーブが全く同じ。落ち方もおなじ。それで、小瀬のことを思い出したのだった。

初めてフリーの岩場である、小川山に行った時は、八幡沢でスラブを登り、スラブでは、ジムの練習は全く関係ないな~と思った。

小川山レイバックも人工壁は関係ないどころか、連れて行った人は、クラックを人工壁のフェイス的に登ってむしろ苦労していた。人工壁に慣れていない私の方が、教えられたとおりに普通に足ジャム、ハンドジャムを使っていたほどだ。

前穂北尾根で出てきた核心部のステミング・・・も、正直言って、ジムでは全く出てこない。だから、ぶっつけ本番だった。

一番身近な、十二ヶ岳の岩場でも、スラブなので、ジムでの練習は関係ないなーと感じた。ただ一部被ったところが登れず、その被ったところを解決するために、ジムでアンダーが出てくる課題をわざわざやりに行った。

岩場で出てきた課題、つまり、できなかったことを、ジムに持ち帰って解決する、というサイクルは、分かるようになった。

今回の岩場は、二つとも、特に河又は、最も人工壁に近い岩場だった。

■ アクセス問題

河又も天王岩も、アクセス問題があった岩場だ。アクセス問題があったことが濃厚に感じられた。

河又は、大きな目立つ壁画がある駐車場から、車道を少し歩き、尾須沢鍾乳洞へ向かう。河又の岩場は、尾須沢鍾乳洞そのものを登るものと言っても良いくらいで、アクセスは、鍾乳洞と全く同じだ。

今回も、カメラを構えシャッターをしきりに切っているオジサンがいて、ビレイ中に気持ちが悪い感じがした。どうも、鍾乳洞ではなく、クライマーの写真を撮っている風だったので、良き写真を撮るというよりも、なんらかの別の意図がありそうだった。

アクセス問題と関係があるのだろうか・・・。河又は、墜落事故が起きたことで、一時登攀禁止になったらしい。

クライマーのマナーが悪いということも、よく言われる原因なのだが、上半身をはだけたり、奇声をあげたりするのは、一種のクライマー文化なのだ。粗野な男を気取っている。

粗野さや野蛮さは、男性の男らしさについてのコンプレックスを感じさせられる・・・といつも思う。

いつも思うが、強いクライマーは別にそういう”気取り”がない。気取らなくても、登れること自体で尊敬を集められるから、オレってさ~ってやる必要がないんだろう、と勝手に思っている。

■ グレーディングと上達

実は、近所のゲレンデ兜山の課題は、グレードは易し目についているらしい・・・私は、5.9がオンサイトできたことを、うれしく思っていたが、ちょっと登れたくらいで、ぬか喜びしてはいけないよ、ってことだ。

今回の岩場は二つとも、岩場のグレーディングがしょっぱめ、もしくは、適性、だそうで、要するに、易しい5.9ではなく、5.9~10Aをマスターするにも、遠い道のりだよ~ということを教えてもらうために来ているのだった。

それでも、やっぱり、グレードは別にして、まったく登れなかったところが登れるようになったことは、うれしい。

とぎれとぎれのクライミングでも、続けていれば、なんらかの積み上げがあるもののようだ。

成長・・・それが私にとっては、喜びの源泉だ。現代人はとくに成長神話に毒されている。成長することに信仰を見出しているのも真実で、私もその意味では例外ではない。

だから、いつか成長が飽和し、下るほうに入るとき、本当の試練がくるのだろうと思う・・・。

思えば、大人になって趣味をスタートする人は幸いだ。なぜなら、あまり早く成長しない、できないからだ。

成長期にスポーツをスタートした人は趣味としても辞めてしまう人が多い。バレエのような芸術性がある運動も同じで、子供時代に三羽の白鳥まで行きました、という人は大人の趣味のバレエには、まったく興味を湧かせられない。子どもの頃できたことができないのがつらいと感じてしまうのだ。

クライミングも、フィジカルな課題では同じようで、会の50代の先輩も「ジムに行ったけど肩があがらない」「肩が痛いんだが、やったほうが肩にいいのか、それともやらない方がいいのか」と悩んだり、まだ30代なのに、「20代のころはもっと登れたなぁ」とつぶやいていたりした・・・ 

私のような、そもそも腕力がない女性だけではなく、50代になって登山が嵩じて、クライミングをスタートしたような初心者組の男性たちにとっても、クライミングで、過去の自分より今の自分の方が登れない、という知覚はゼロだ。

だから、肩が痛くても、それがクライミングのせいであっても、なくても、それが今したいことなんだから、仕方ないさと受け入れてしまう。

きっと成長期の大学生なら、1か月でマスターするようなことを1年かかっているんだろうな(笑)。

それでも、60代で始めたら、同じことに3年かかるのだろう。それだけ、若さというものは、レバレッジが効いているもので、それがスポーツにしろ、語学にしろ、親が子供に詰め込み教育をする理由になっているのだろう。

■ 河又

河又はつくと、先客が大勢すでにいて、驚いたことに、菊地さんもいた。先月、湯河原幕岩でお世話になったところだ。

予習してきた、ミヤザキミドリは、5.9だと思っていたら、とても難しかった。露出感があって怖かった。

岩場は全体にホールドが丸っこく、ジムの課題で、ルーフやアンダーでスタートする課題に似ていた。下の方が核心だと、外では怖い。

クライミングは、上の方に行くほうが落ちてもグランドしないので安全で、出だしが核心部だと緊張する。

岩に取り付くも、手がかじかんで、登っているのかどうかよくわからないような感触。兜山や十二ヶ岳の岩場は完全に南面で日当たりがよく、冬でも快適なので、岩が冷たくて、手がかじかんで、グーにしているのかどうか知覚できない、というような状況に追い込まれることがなかった。恵まれた岩場だったんだな~と感じた。

結局、岩場で一番易しい課題の”いきのいい奴”が一番気に入り、2回登った。そこまでムーブ解決に時間はかからなかったけれど、もっと楽に登れそう、洗練させられそう、という気はする。けれど、どうしたらよいのか?というのは、掴めそうでつかめない。

≪参考情報≫
河又の情報
アクセスの尾須沢鍾乳洞 

■ 天王岩

天王岩のほうは、河又よりアクセスがもっと良く、岩場のすぐ下、1分のところに、マス釣り場の駐車場がある。が、ガラガラ・・・

アクセス問題が、ここにもあったようで、マス釣り場の駐車場は使えない、と書かれていたので、では、と、上の肥料工場のほうに行ったが、そこもダメとクラミングネットに書かれていたので、結局、十里木の交差点そばの、トイレがある無料駐車場へ戻ったのだった。

十里木から歩いても、徒歩20分くらいなので、特に問題はなかったが、目の前にがらがらの空きスペースがあるのに・・・と思い、その話をすると、近くにいたクライマーが、マス釣り駐車場を利用しても停めれることを教えてくれた。

駐車場所を探したため、岩場到着は遅く、11時前。同行者は気乗りしない様子だった。前傾壁が久しぶりだったからのようだが、背中が痛いと言っていた。広背筋かなぁ。

私は背中の痛みは感じないが、前腕が前の日、パンプして張っている。前腕のパンプは、引きつけ(正対)だけで登ったせいで、ムーブの解決力の問題にしか思えなかった。

腕力が足りない、という段階までは来ていないと思う。のは、大体、以前よりクライミングでは疲れなくなっているからだ。

アップは、コーナークラック、という課題。天王岩の岩のほうが、カチッとしていて、私としては、なんとなく、触り慣れている感じがしたが、それでも、かなり、岩が冷たい。

アップしている時も、冷たくて、上のほうでは、手がどうなっているのかまったく感じられない・・・。クラックがどんどん浅くなって、縦のカチみたいにしか入らなくなっているのだが、効いているのか、感触がなく、左足のスメアも顕著なスタンスではなく、あいまいなところに乗っているだけなので、左手の大きなガバを取るまでは、安心できず、これで、5.8かと焦ってしまった。でも、考えてみたら、兜山の5.8も、最初はびっくりしたのだったっけ。

この課題は、ムーブが気に入ったので、後でやることにして、ロープをかけっぱにしておく。のは、となりの人たちはみなお上手組で、この易しい課題をする人はいないようだったからだ。それにカムの設置の練習をしたかった。

クラックジョイも面白く、もう一度したかったが、隣の課題が人気があり、取り付いている人も多いので、遠慮。

その後、奥の課題に行くも、同行者は苦戦し、なんとなく士気が上がらない。下の岩場で、易しい課題に取り付く。こちらは、被っている場所があるけれども、垂壁の範疇と言うか、大きく分けると前傾壁ではなく垂壁なので、取り付きやすかった。

左上していたり、のトラバースがあると、落ちるときフラれるので、精神的負担が強い。ニルバーナという課題をトライしている人が頻繁に墜ちつつ登っていて、その課題は、最初が強くかぶっていて、核心のように見えた。すぐにパンプしてしまいそうで、さっさと動く必要があるが、それにはどこを取るか、すぐにわかっていないといけない。

そういう目学問・耳学問が、クライミングでは重要な気がする。リードも落ちながらリードしている人を見て、そうかそうやってやるのか、と開眼した。

クライミング自体が初めての時は、トップロープでもテンションは掛けないで登るのが当然だと思っていたので、こらえにこらえていた。今では最初は岩の様子見、という気持ちでいる。とにかく、岩を見る目を養わなくては、という感じだ。

そういう意味で、今の私には、クラックジョイのテラスから上が、岩を見る目を養うのに良さそうだった。2Dではなく、3Dだったからだ。フェイスやスラブは、いかにも2D的な捉え方なのだが、沢で出てくるチムニーや体が入るようなクラックは3Dと言う感じがして、私にとって面白いのは、そっちのほう・・・そういう意味では、苦手のルーフスタートも3Dだな~。

あとは、2回、コーナークラックをやっておしまいになった。岩場を出るのは一番遅かったような?

帰りは、檜原から、上野原に抜けるのに45分くらいかかり、上野原からは20号だったので、2時間半くらいで帰宅でき、ほっとした。

帰宅すると、夫は家で退屈そうにしていた。一緒にやろうというと、嫌だというし、夫のしたいことをしているだけだと、家でゴロゴロとしているだけの、不健康な生活になってしまう。現代の人は働きすぎだが、その内容は頭脳労働でしかないので、余暇は体を動かした方が本当は体に良い。

私は体力にはゆとりがあるので、そうでない夫の希望も満たすのは難しい。でも、夫を一人にしておくと、かなり偏った人になっていきそうだ・・・。

■ 正しい恐れ方は難しい

同行者は、いきなり落ちたりしないので、リードでも、ロープは緩めに出せばいいのに、やっぱり少し緊張して、細かく出している。

信頼できる相手なので、彼と一緒に行くときに、私は落ちるようなクライミングをすればいいのに、今はそうなっていない。・・・のは、いつも初めてのところに行くことになっているからかもしれない。

初めての岩場だと、どのくらい登れることを自分に期待していいのかよく分からない・・・。5.8とあったときにリードで取り付いていいのか、どうか、まだよく分からなかったりするのだ。岩場によってグレーディングは甘い辛いがあるようだし・・・。

それで登ってみて、行けそうだなと思った時にリードするということになっているのだが、昨日は、リードできそうと思った課題(下の岩場)に行ったときには、すでにパンプ気味で、念のため、リードお預けにした。でもトップロープでノーテンションだったので、次回はリードだ。

落ちながらリードしたら、よかったかなぁ・・・。クライミングって、落ちると、また精神的に用心深くなるので気を使う。

私が最大に用心深くなり、その結果、登れなくなったのは、カサメリ沢の帰りにトラバースで、ザックに体を引かれて転落した、2回転半8mの転落だった。岩でもなんでもない、ただのトラバース道。

これは、あっけなく体が重さに負けてしまい、ひっくり返って転んだのだが、何かに体を持ち上げられたような、自分のコントロールがまったく効いていない状況だった。だから、そのようなコントロール外に自分が陥ったことが意外過ぎ、その後は平坦な登山道でさえ、かなり用心深くしか歩かなくなったし、初めて行った時にまったく怖くなかった三つ峠で、落ちることを連想するようにさえなった。

普通に歩けるように戻るのに、半年以上かかった。無理をして岩に行ったので疲れた。

恐怖心との付き合いは難しい。

物事を必要以上に恐れたり、まったく恐れを抱いたりしないことはたやすいが、物事を正しく恐れることは難しい。

リードも同じで、リードを必要以上に恐れる必要はない。

特に信頼できるビレイヤーと居るときはそうで、私がリードしているのは、むしろそうではないビレイヤーと居る時の方が多くなってしまっているので、正しい畏れ方とは言えないかもしれない。

逆転現象が起きているな、と自分でも思うのだが、それは正常化しないとな。

ガンガン落ちる、河又も天王岩もケミカルになっていたので、それが可能なようだった。

落ちてはいけない三つ峠の岩場みたいな感じではなかった。河又では盛大にフォールしている人がいたし、天王岩でも、核心部ではぶら下がってハングドックしては、トライを繰り返している人がいた。

≪参考≫
インドアジムでのぬんちゃく破断の記録

ぬんちゃくリードにびっくり







Sunday, December 20, 2015

河又&天王岩 (前傾壁デビュー)

 ■ クライミングトリップ

1泊二日でクライミングトリップに行ってきました☆

暖冬でアイスがないので、岩でも・・・と、奥多摩・奥武蔵の岩場へ。河又と天王岩です。運転3時間と我が家からは少し遠いので、一泊二日にしてもらいました。山中で宴会兼テント泊。

冬場は岩が冷たくて、クライミングは、グレードがひとつアップと言うことが分かった。アイスがないなら、岩で、という作戦は、なかなか甘くはないことのようです(^^)。 山梨の岩場は、真冬でも温かく、恵まれているんだなぁと感じました。

 カイロまたは焼いた岩必携

です。今回は、冷たかったことに加えて、

 被った岩シリーズ

でした。 河又の岩は石灰岩、天王岩はチャートなのですが、共通点はかぶっていること。

駐車場前のトイレと壁画
■ 河又の岩場

河又の岩場の岩は、とても人工壁のホールドに似ており、人工壁育ちの人はあっという間に登れるようになりそうでした。

ハンドルみたいなホールドや指が一本入るかどうか、みたいなポケットがそこかしこにあり、岩の造詣が、丸っこいのです。

尾須沢鍾乳洞を目指して、山中を20分ほど歩けば、岩場に到着します。

そして、こちらはまだ日当たりがあり、日に当たることができました。


どちらかというと、河又の方が冬向きでした。

この日は湯河原幕岩で講習会をしていただいた講師にバッタリ出合いました。びっくり~!

コウモリ岩で、ミヤザキミドリ(5.9)に取り付いたものの・・・予想以上に大変。

二つあるうちの穴の2つ目までで、手も冷たくかじかんでしまいギブアップ。もう一回トライすれば良かった。

麦畑(10a)やいきのいい奴(10a)をTRで登りました。全体にグレードがしょっぱい。

いきのいい奴は、気に入って、途中までは何も考えず登れ、テラスから上が・・・でしたが、2度トライしました。

グレードが辛い岩場の中では、取り付くしまがある課題だった。被っているとパンプするので、パンプをしない登りが必要になる・・・

コウモリ岩での看板課題は、タコ(11b)なのかな?と思いますが、小瀬の人工壁の課題を思い出したくらい、登っているクライマーの登り方が人工壁ちっくでした。

フリーっぽいムーブというか・・・すごく体のフリを利用するという感じです。

あとはシュテファンフェイスを見て帰りました。

私の場合、今は同じ課題を繰り返し登るほうが勉強になります。




































シュテファンフェイス






























十里木無料駐車場
■ 天王岩

翌日は天王岩へ。天王岩は、秋川国際マス釣り場をめざし、その駐車場から、徒歩2、3分なのですが、クラミングネットに寄ると、こちらの駐車場は使えず、上の肥料屋さん隣の路肩の広いところも使えないそう・・・

というわけで、十里木(じゅうりぎ)の無料駐車場に停め、舗装路を歩きました。

20分くらいでした。ちょうど良いウォーミングアップくらいです。





目印のモアイ?この上に駐車場がある。
河又よりは小さな岩場でした。が、ついたら、先客が2パーティ。

うち、先輩の方たちがいて、感心してしまいました。年齢が行ってもクライミングできるんだな~。

しかも、11bくらいの被った課題、ちゃんとトップロープが張ってありました。

一人のおじさんは、ガリビエールのヘルメットを被っていらして、相当昔からやっているんだろうな~と思いました。

天王岩は、岩が冷え冷えで、まったく難しく感じましたが、アップに使った、コーナークラックが、わたしはトップロープでしか登っていませんが、なんとなくいい感じでした。

クラックと言ってもフレークを掴むみたいな感じで、ガバ連続でしたが、片足ジャムちっく、片足スメア、という感じがよかった。

湯河原のベビーピナクルで出来なかったムーブが、こういう感じなのでは・・・?と感じた課題でした。

コーナークラックの後は、ジョイフルクラックへ。最後で1テン。うーん。被っていると腕力の残りが尽きそう・・・と感じると怖くなる。ま、当然か。

この課題はクラックぽくはまったくなかったのですが、いつか再度トライしたいと思える課題でした。

その後、同行者が他の課題を試みるも・・・岩が冷たい上にかぶっているので、なかなか難しく・・・。

とりあえず、私は気に入ったコーナークラックでカムのセットの練習。

その後、下の岩場へ移動して、5.9の課題につづけて5.8を。なんかリードも出来そうな気がしたのですが、岩が冷たいのとパンプ気味で、腕力貯金がどうかというのが、納得感に欠け、保留してしまいました。

目の前に駐車場があるがガラガラ

ここは気候条件が厳しくないときにリードできそうです。

今回も頑張ればできたかもしれないのですが、なにしろ、岩が冷たくて、登っている間に感覚がなくなってくるので、判断が付かない・・・。

なんとなくトライしたい!という気持ちになれず・・・。

落ちながら、リードすればいいのかなぁ・・・。

最後は、気に入った”コーナークラック”をもう一回登り、スムーズになったな感に満足して、帰りました。

”コーナークラック”は、最後のところで左足のスタンスがとても甘く、その一歩に勇気が必要ですが、そこ以外は楽しいと感じつつ登れました。

大体岩って必至すぎです(笑)。なので、最近楽しいと思えるようになったことに

成長

を感じます(^^v)。


■ テント泊&交通

毎回、1泊二日の時は、宴会&テント泊しています。今回はキムチ鍋。

帰りは、上野原経由で帰りましたが、予想以上にスムーズで、道路の凍結もなく、ホッとしました。

いきは雁坂峠のトンネルを通って、中津川林道で河叉へ向かい、帰りは、檜原街道で上野原に出て、甲州街道でトータル2時間半で着きました。

前回は入間に行くのに、3時間半もかかり、渋滞もあって大変だったのですが、峠越えの道のほうがトータルでは早いようです。
天王岩入口

ただ、峠越えの道は、凍結の心配があるので、温かい冬だから取れたルートかもしれません・・・ 行きは冷えて、中津川林道は、-2℃の表示が出ていましたが、帰りは2℃でした。

道路は、濡れてはいましたが、凍ってはいなかったです。

■ まとめ

・フリー的な岩場は、ジムでの練習が、即、生きる

・冬は、カイロをもつか、焼いた石を持つ

・ウエアはあったかめが良い (クライミングは歩きより、体が温まらない)

・岩場は、北向きは寒い(当然だけど)

■ その他

 河又での事故目撃記録

 天王岩トポ(昔のもの)

 今回のヤマレコ記録 





コーナークラック 5.8




火葬場の駐車場は使わないようにとのお達し


Friday, December 18, 2015

アイスがないなら岩で

■ トレーニング日追加すべし?

今日は朝から快晴だった。予報では、午後から崩れるハズではあったが、快晴のまま。

一応一週間はスケジュールしてあり、仕事がある火曜と金曜は、山を入れないようにしている。それは、一度、山で下山が遅れて、仕事でスレスレセーフになったためだ。仕事第一、と。

しかし、トレーニングの山なら入れてもいいかな~と昨日久しぶりに思うようになった。

下山が遅れたのは、バスのせいだったが、他に下山が遅れる理由としては、道迷いと怪我がある。

道迷いについては、地図読みも自信がついて来たし、トレーニングの山では、一般ルートしか歩かないので、そもそも、地図読みはしない。ならば、知らない山に行くでなし、道迷いでの遭難は、ないだろう。トレーニングの山だったら、普通に行っていても、もう構わないかもしれない。

後はあるとしたら、事故だが、それは山でなくても、どこで起こっても仕事には行けない。仕事に行けないほどの、渋滞につかまってしまうような下山時間にしない限り大丈夫だろう。

■ モチベーションアップ?

今日はカットの予約が入っていたので髪を切った。登山の女性はショートの人が多いが、クライミングをする女性はロングの人が多い。

余談だが、以前女性クライマーでGoogle検索したら、肌の露出度が高くてびっくりした。うーん。

バレエダンサーなら、シルヴィ・ギエムや、吉田都、ダーシー・バッセルのファンだった。私は完全にロイヤル派で、ロシア派ではなかった。(日本はロシア派が多い。絢爛豪華スタイル)

クライミングに対しては、どうすれば、憧れが生まれるのだろうなーと思ったりもする。今の一番の憧れは、モウアラさんだ(^^)。

クライミングは、筋肉ムキムキの男性のナルシズムの世界がある。それは、なんとなく、理解できる。

が、女性クライマーが筋肉ムキムキで、他の女性クライマーにアピールするとは思えないしなー。

世界で有名な女性クライマーを探して、YouTubuを観たら、モチベーションアップになるのかなぁ・・・。

バレエなら、観劇した後は確実に上手になっていたんだけどなぁ。あれは一種のイメージトレーニングを思うのだが。バレエは、誰でも、劇場で踊りを見た後は、とっても上達する。

■ 暖冬で岩に転戦中

暖冬で雪がなく、去年の今頃はアイス一本目を楽しんでいたのに、今年はアイスはかなり遅い。

今週末冷え込んだ後で登れるようになるかなぁ・・・というところだ。

パンがダメならお菓子を食べたらいいじゃないの!ということで(?)、アイスがダメなら、岩でしょう、ということにあいなった。

今週末は岩だ。とりあえず、登攀する練習はいつでも必要で、とてもありがたいことだ。

初めて行く岩場。初めて行くところは、トポなどの下調べをしないといけない。

・・・のだが、経験がある人と一緒なので、まぁ大丈夫だろう、とすこし甘えてしまっている。

これが初心者同志だと、一緒に行くも、どちらかがリードできないと岩場には一本もロープが張れず、タイヘン。とりあえず、どんな岩質でも一番易しい課題でリードできないと、自立して岩場に行くのは難しい・・・。フリーは、ホントに難しい。

今回は、初日が被った岩でフェース主体の岩場で、緊張・・・。

・・・という訳で、今日は、一泊二日のクライミングツアー向けの準備にアタフタしていた。普通に、100岩場の関東版を買えばいいのだが、どれくらい使うだろうか、遠くの岩場は遠征なので、行くのかどうか、不明な気がして購入に至っていない。

ので必至に検索・・・というわけで、とても良いサイトを発見した。

フリークライミングのサイト 
http://www6.plala.or.jp/hurahuranikki/ruuto.htm

ロープ、ハーネス、シューズ、チョーク、テントシート、テント、シュラフ、マット、コッヘル、水のボトル・・・食料は、まぁ、後でも調達可能。

夫の夕飯を準備したりして、バタバタと過ごした一日。

私はクライミング力がないので、やっぱりクライミングをもう少し精進せよ、という神のお達し、と思って、精進しなくては。

クライミングだけしていると体力が落ちるので、歩きの方は歩きのほうで、現状維持というか、行きたいところに行ける程度には、それなりに歩ける人を目指しておかなくてはいけない・・・。

雪も今年は遅く、年末年始も雪がある山を探して大変になりそう・・・

Thursday, December 17, 2015

乾徳山(偵察)

■ アプローチ至便の山

乾徳山に行ってきた。前に乾徳山に行ってから、ずいぶん間が空いてしまった。2年ぶり。当時は、まだロープワークを身に着けようと、始めた頃だった。

今日、乾徳山に来たのは、トレーニング向けの山の偵察だ。

乾徳山は最終集落の徳和から、すぐの山なので、アプローチで除雪に悩まされることがないだろう・・・という思いからだ。それに最近、避難小屋が新しくなっており、ちょっとした集まりに使えるのでは?と知っていた・・・。先週のわらじ納めの転進先にどうかな?と思ったけれど、まだチェックしていなかったので、提案せず。

雪の山はアプローチが課題だ。住んでいる人のための除雪なのだから、集落がないと、除雪がない。

茅ヶ岳も、その点、合格の山だが、茅ヶ岳は2時間で行って1時間で下りてしまえるようになってしまい、1時間の運転が割に合わない。茅ヶ岳は、ショッピングセンターのラザウォークと一緒にする。わざわざ1時間も運転して、山だけしか行かないのは、なかなか正当化できない・・・。

■ 思いついたらすぐ行ける山

行き先は、朝の晴れを見て、決めたことなので、バタバタと支度をする。サーモスにお湯を詰め、保温ジャーに昨日の夕飯の残りの、根菜のトマトスープ、を温めて入れる。ヘッドライト、コンパス、非常用品・・・ザックは沢のためにバックボーンを抜いているので、日帰り程度の装備だと、ゆるゆるで形にならない。それで、適当にその辺に転がっている2リットルのペットボトルを2本つっこむ。緩衝用にナノパフを放り込む。それでもザックは軽い。

日帰りで歩いているだけだと、いつまでも背筋力はつかないかもしれないと思ったりもする。重い荷を持つ経験、軽くして走る山、どちらも必要だ。

朝、車を出してから、空を見て、行先を変更し、乾徳山に決めた。最初は、また定番、茅ヶ岳でいいか~と思っていたが、東西南北と空をみて、一番晴れていそうなのは、東の、それも甲武信より盆地側だった。

■ 近い山

10時に徳和に着く。徳和公園はスマホのナビに出てくるのがありがたい。

・・・が、駐車場の案内板を見ると、駐車場の標高は830で、山頂は2000ちょっと。たったの標高差1200しかない・・・ということに、がっかりする。

そそくさと出たので、地図がない。スマホのアプリに2万5千の地図をその場でダウンロードする。これで、電波が取れなくなっても、大丈夫。拡大もできるので、紙よりむしろ、こちらのほうが実は便利なのだ。もちろん、電池が切れたら、ただの重し。

日ごろ、地形図を持とう!と主張しているにも関わらず・・・スマホの地図かい!ということだが、乾徳山は前にも来ていて、地形図を見て、尾根と水線を入れ、概念を把握する、ということは、とっくの昔にやってしまっているんである。だいぶ前だけど。

■ルートが色々ある山

歩きだすが、ルートも気分で決めた。舗装路を歩く気になれないなと思い、舗装路から一番早く解放されそうな、道満尾根に決める。でも、道と満という字、気にいらない。”金満”みたいで。

すぐにゲートが出てくる。鹿の通行止めの為だ。山梨では鹿の被害が多い。ゲートの鍵は、鹿には解明できず人間だけが分かる、賢い仕掛けになっていた。

道満尾根は近所の藪山と同じ雰囲気の尾根だった。当然か。近所だもんね。車で40分は、盆地内では近所とは言わない。が、我が家の裏山、愛宕山と山域としては、同じ山域。

道満尾根は、尾根なのに、登山道が深くえぐれている。多くの人が通った証だ。尾根を人が歩くと、通った跡がくぼみ、そこに石ころや落ち葉が集まる。それで通りづらくなるので、今度はそこを外して、尾根の歩きやすいところに、また道ができる。ここもそうなっていた。こうなっていると、雪の時も、ルートが明瞭。

■ 携帯が入る山 & 色々な楽しみがある山

山梨らしい明るい尾根を気分よく歩いていると、ケータイが鳴った。週末の山の相談。それで気分が一気に明るくなる。

”パンがないならお菓子を食べればいい!”ではないが、雪がないなら、岩をすればいい。山で出来るアクティビティは多い。今日みたいな歩きもあれば、岩も、沢も、雪もアイスもある。

全部ひっくるめて山だから、全部やっている。

山が差し出すことに、文句を付けまいと思ったのだ。あれは嫌だ、これは嫌だ、は、人間の方の都合だ。尾根しかやりません、などと食わず嫌いを言うのは、よろしくない。山には尾根もあれば、谷もあり、壁もある・・・全部、山なのだから。

尾根以外を知って、山に対する見方が確かに広がったな~と思う。尾根しか知らなかったら、分からなかったことがたくさんあった。たとえば、岩が実は、とても頼れる相手なのだとか。水場の探し方とか。アイスは自然が作った、率直な登路なのだとか。

道満山の手前で、向こうから、若い男性の登山者が降りてくる。若いと言っても、私くらいだけど・・・。ずいぶん早い下山だなと思う。まだ11時くらい。この時間で降りれるような山だということだ。ということは、あまり山頂まで時間がかからないのであろう・・・。

道満尾根は、地形の尾根通りには道が付いておらず、ピークを飛ばして、トラバースしている。ということは、つまり、先を見て、合理主義的に距離を節約するために、ピークが飛ばされたということで、要するに、まだ先が長いという事だろうと思ったのに。

彼らが降りてきて以降、距離を稼ぐために、わざと地形に忠実にピークを飛ばさず、登る。

あろうことか、立派な林道にでてしまった。そこは前に来た時には、もっと荒れていたのに、今は軽トラなら、楽に通れそうな立派な道になっていた。砂利道ではあるが、平坦だ。大平牧場が眼下に見える。

ああ、あの道かと思う・・・こんなところ、通ったっけ?と思うが前に来た時は、林道から番号を数えて歩いたんだった。こんなに立派な道ではなかったということは言える。

いきなり展望が開け、草原となり、見覚えのある月見岩に出る。12時14分だった。

向こうから、オジサン登山者二人が降りてきた。挨拶すると、どこから?と訪ねられる。道満尾根からというと、そのコースは時間がかかるほうだと言う。でも、登り2時間だから、下りは8割のはずだ。月見岩から山頂までは1時間だから、トータル3時間で登れる山は、時間がかかる山という訳ではないかもしれない・・・。

二人は八王子からだそうで、この山は慣れているようだ。避難小屋が新しくなったことなど、少し話をする。

「では・・・」と言うと、一人が「ここから先は何もないよ」と言う。いや、こっから先が本番って感じの山なんだけど・・・。乾徳山は山頂付近の鎖場が有名な山。岩がいっぱいあり、それぞれ名前がついていたりする・・・。

たしかに偵察は、新しくなり、キレイになった避難小屋が目的なんだが・・・。

2時間しか歩かないで降りたら、もっと残念な山になってしまうだろうなぁ・・・。

月見岩から先は1時間とあったが、13時に着いたので、45分くらいか。

■ 念仏岩 & 旗立岩

途中に最後の山頂直下の長い鎖場より、クライミング的な念仏岩がある。太い鎖が2本渡してあるが、いつも鎖があっても意味がないな~と思う。登山靴だと乗るところが小さい。クライミングシューズなら、楽勝だ。でも、こんなところで、一人でいるときに、コケでもしたら、大事になるので、チャレンジはしない。普通に歩ける所を行く。

ここ、コケたら、岩で頭を打って大けがだよなぁ・・・と思う。

今日は思いついて出たので、登山届は出していない。かと言って、乾徳山くらいの山に行くのに、登山届を出していないのだから行くな、というのも、変だと思う。単独ではだめだ、というような気持ちにも全くなれない。しかし、用心はする。

例えば、ねん挫したら?ねん挫くらいなら、携帯電波が入るところまで、降りれるだろう。

尾根の反対側に落っこちたら?まぁ、ほとんどアリエナイ想定だが、それでも遭難したら、駐車してある車で追跡できるだろう。まぁ死んでいると思うけどね。そもそも落ちるような場所はない。

あれこれ考えるが、山頂直下の鎖場も通らないで、裏から登る。前に来た時には、なかった残置のロープが、あちこちにあるが、なんでこんなのいんの?という感じ。まったくいらない。

けれど、その辺の立木を寄せ集めてきて作ったと思しき、木製ハシゴ・・・は、怖い。横木の一つはかなりすり減って、体重が重い人が乗ったら、へし折れそうだった。

山頂から、黒金山方面を見る。あっちに縦走したいと思いながら、やっていない。

茅ヶ岳方面は、見るからに寒そうな雪雲に覆われている。たぶん、南アの上のほうだ。

富士山は山頂部が見えない。甲府盆地が平べったく見える。採石している山の肌が痛々しく見える。360度見回して、今日は、この山で正解だったと納得し、時間も遅いのですぐに降りる。13時7分。

下りに、岩場を偵察するも、どこにも終了点らしきものは見当たらない。どこなんだろうなぁ・・・旗立岩の終了点は・・・。そうしていると、がちらついた。ほんのちょっと。

旗立岩は支点が整備されていない初級の本チャンだ。山岳会の新人さんにアルパインの岩ってこんなことだよ、と紹介するのに良いような場所だそうだ。

行ってきたら?と紹介してもらったものの・・・一緒に行く相手がおらず、実現していない。山岳会の先輩たちは、支点が整備された岩場しか行きたがらなかったのだった。たぶん、そんなに自信がなかっただけだと思う。

かといって、初心者二人、雁首揃えても、支点がないところの方が、支点が整備された小川山マルチより難しくなってしまう・・・と思い、小川山より、実現していない。

旗立岩を思うと、一般的な東京方面の山岳会が羨ましく思える・・・隣の庭は青く見えるってヤツだ。どの会の記録にも、でてきそうな初級の岩場で、アルパインのオーソドックス(?)というような、感じがするからだ。「山梨の山岳会なのに、旗立岩、知らないの~」と言われた。

とはいえ、支点が怪しい場所は三つ峠でさえ、連れて行きたがらなかった山岳会なので、旗立岩に一緒に行ってくれるとは思えなかったし、それもそうだな、と納得しつつあるのも事実だ。岩場でピンチになった時に支点を打ち足せる技量があるか?というとないかもしれないし、支点を追うようなクライミングしかしていない人に、自然の岩場でルートファインディングを期待するのも酷だ。ルーファイだけ成立していれば、おそらく登れるような岩場だとは思うけれど。

2年前、私がこの旗立岩の話をしたために、他の人が行ってしまった。

フリーの人は、アルパインの人と違って、初登を重視しない。誰かが行きたいと言っていたところを、小耳にはさんで、抜け駆けして行くことを悪いと思っていないみたいだ。

後で、先輩に「〇〇に行きたいって言うんじゃなかった」と言ったら、そういうことはよくあるよ、だから、行きたいルートは黙っていることだ、と教えてくれた。

まぁ、今となっては、それはビレイをマスターした分の恩返しと思っている。誰しも行くところがなくて、うっぷんを貯めているのだろう。まだ岩を始めたばかりの私でさえ、遠征しないと行く岩場がないなと、このところ感じるくらいだからだ。特に冬季は。

■ ベースとなる場所と水場

月見岩へは、14時前に着き、草原の少し先の新しくなった避難小屋の高原ヒュッテに入ったのは、14:05だった。そこでランチを食べる。昨日の根菜スープ。ゆっくり食べたが、2分しか、かからなかった。

噂にたがわぬ、きれいな小屋で、ストーブもあり、宴会もできそう。寝具などは何もない。土間の掃除用にほうきと塵取りがあるくらいだ。だが、できたてほやほやのぴっかぴかで、無垢の板の壁には、ホールドを取り付けたい気持ちにさせられる。

小屋の様子を写真に収め、小屋を出たら、14:10.周辺は、昔は共同の茅場だったらしく、白樺の木立で、どこでもキャンプによさそう。枯れ枝もたくさん落ちていた。

あとは、水場だ。銀晶水場にすぐにつき、細い塩ビパイプで取水しやすくしてあった。脇に、プラスチックの筒というようなガラクタちっくなものが、二つ置いてあった。コップだ。

この場合、この質素な塩ビパイプと、プラコップは、必要にして十分な、役立つもの、だ、と思った。粗末なものだけれど、プラスチックではなくて、ガラスのコップが置かれていても困る。木製でも金製でも、いまひとつで、耐久性と、誰にも持ち去られないためには、どこかのパイプを割っただけのようなプラコップで十分なのだ。

■ 集落

あとは、徳和への道を下りた。途中、また林道とクロスする。山梨は本当に使われていない林道が多い。

集落で道を少し間違い、歩く量を増やしてしまったが、下山1:40と道標には書かれていたが、当然だが、そんなには、かからなかった。15時15分ごろ下山。

案内板には、徳和渓谷、という名前もあった。夏にいいのかもしれない。

集落は、純和風の昔ながらの農家の作りの家がまだ残っていた。こいのぼりを立てる竿が懐かしい感じ。なかにはものすごくお金持ちもいるらしく、ピカピカの家もあり、純和風のひなびた集落には似つかわしくない、お城風の洋風の家もあった。とてもチグハグだ。

後は車を飛ばし家に急ぐ。今日は帰りに買い物もしたいから・・・。残念ながら、甲府へ向かう通りは、渋滞がもう発生していて、いつものスーパーまでが核心部。

・・・という山だった。

■ コスト
・ランチ代、残り物利用でゼロ円
・駐車場 無料
・交通費 34km リッター17km、150円/Lで、往復 600円

■ 参考コースタイム

登り3時間、下り2時間 林道20分

徳和公園 10時 (道満尾根ルート)
 道満山 11時
 月見岩 12時15分
乾徳山山頂 13時6分
 月見岩 13:44
 高原ヒュッテ 14時 ~ 14時10分出発
 欽晶水 14:18
徳和公園 15時34分 (おそば沢ルート)

■ その他
旧坂本家住宅
徳和渓谷

■ 山のグレーディング
乾徳山 技術的難易度…C 体力度…3
黒金山 技術的難易度…B 体力度…2 (乾徳山林道駐車場から往復)

乾徳山周辺マップ



 山頂付近から、大平牧場方面。
 雪雲が南ア方面は濃い。

でも降りたら、櫛形山はくっきりとしており、雪雲は北岳の向こうのようだった。
 高原ヒュッテは白くて新しく可愛らしい。
 冬季はトイレ閉鎖で、通年無料開放。
 ピンボケですいません。
 ホールドを付けたくなる壁。
 まきストーブ。向きが悪い。座って薪をくべられるようにしてくれないと。
 トイレは、靴を脱いで入るスタイルだそうだ。すごい。
徳和集落で、成功したビジネス?











Wednesday, December 16, 2015

暖冬で悶々としています

■ 毎日天気が悪い

週末の山の行先を思って、悶々としている。

今週は毎日天気が悪く、少し見えた晴れ間もあっという間に、雲が流れてきてしまう・・・。

これでは今年は、年末も悪そうだと思い、予定の山から、雪がありそうな山へ色々と予定を変更して、山小屋の検索が忙しい・・・

■ 罪悪感

山梨のお天気は、歩けないほど悪いわけではないのに、なんとなく、足が向かない。

先週末も、わらじ納めの山が流れてがっかりしたのだし・・・。下調べもしてあるのだから、その山に自分で行けばいいのだが、自分で行く山はトレーニングということになっているので、なんだか、後ろめたい。

これを裏返すと、どうも、知らない山に行くのはご褒美ということになっているらしい・・・。

その後ろめたさ・・・は、罪悪感、とも言える。

この感覚がどう作用しているか?というと、どうも、なにかに、かこつけたがっているらしい。例えば、”誰かを連れて行く”など。大義名分。そんなことをする必要はないのに・・・。

行きたければ行き、行きたくなければ行かない。それだけのシンプルな活動だ。

いつのころからだろう?長女の宿命なのか、私は自分自身が純粋に楽しめることを自分の為だけにする、ということができない体質になってしまったのだ。

姉、班長、委員長、キャプテン・・・いつも誰かの世話をする役目を与えられてきた。役目を離れ、一個人として、単純に楽しむということは、特別なご褒美で、それは自分を甘やかすことだ、ということになってしまった。

でも、そもそも、登山は趣味なのだから、誰かを連れて行ったからと言って、例え、自分の練習にはならないロープワークを教える会のようなものでも・・・そもそも、”余暇活動”であることには変わりない。

楽しみのためにやる、という話は、連れて行く側でも、連れて行ってもらう側でも、代わりはないのだ。当然のことだけど。

ところがやっぱり、自分で自分のために時間を使うということには、”罪悪感”があるし、人を連れて行くときは、”自らの社会的義務を果たした感”があるのだ(笑)。人間というのは、おかしなものだ。

逆に、トレーニング名目で山に行くと、それは、なんとなく、自分に良いことをしたような、スッキリした気分になる(笑)。気分上々。変なの。

まぁでも、変だからと言って、その変なのが私だということらしい。だとしたら、仕方がない。

・・・ということで、自分の取説。

 ・どうもトレーニングをしたがっているらしい
 ・一人で山に行くのは、なんとなく後ろめたいらしい

そういう訳だから、今はトレーニング用のアクセス至便の山を探している(笑)。何しろ、冬タイヤではなくても行け、冬季封鎖にならない山が良い。

■ ルートコレクターになってはいけない?

一人で歩くとき、初めての山に次々と行きたくないのは、別の理由もある。

 ・ルートコレクターになりたくない
 ・おなじ初めてなら、”初めて”に触れる喜びを誰かと分かち合いたい
 ・知らない場所が単純に怖い
 ・めんどくさい

「ルートコレクターになってはいけない」は、師匠からハンドダウンされた思想だが、今は山へ向かう足を押しとどめる要因になってしまっているかもしれない。ただのルートコレクターに陥るのは嫌だなぁと思っている。

山をスタンプラリーにしては、消費欲望で山を汚してしまう、と思えるのだ。なんというのだろうか、買い物かごに入れるような山をしたくないな~という思いがある。つまり、消化していないのに、次から次へ、という山だ。

しかし、山に行った結果として、ルートコレクションになってしまうことには寛容であるべきだろう。

なぜなら、単独だと非一般ルートを歩くということは安全管理上難しいので、一般ルートをただ数こなすことになり、必然的にルートコレクションになってしまう。

■ 未知を分かち合う

二つ目の理由は、夫と初めての山を分かち合いたいという思いがあること。

夫と、というのは、特に夫と、という意味で、他の人でも良いのだが・・・。でも、筆頭は夫。山の良さの一つは、未知を共有できることにあるから。

山は片方が行ったことがあると、どうしても、なんとなく、ときめきが薄れる。互いに初めての山だと、ときめきが倍増。知らないところに行くというだけで、ときめく。わくわくする。

うん、私は、”未知”が好きなのだ。知らないところへ行きたい。

■ 怖さとめんどくささ

ときめきに対するトレードオフは、知らないところへ行く”怖さ”。知らないところへ行くのは、たぶん誰にとっても怖い。

私も行ったことがない山は怖いのかなぁ・・・。一人で厳冬期にテント泊するのは怖かった。4人で厳冬期に誰もいない山中に泊まっても怖くない。一人でも4泊5日の夏山縦走は怖くなかった。一人で、厳冬期の稜線をテント泊で進行するのは怖い。夫についてきてほしいなと思う。夫でなくてもいいのだけれど、私がお世話をしてあげなくてもいい誰か。

でも、これは厳冬期のテント泊に限った話で、日帰りの山が怖いという気持ちはないような気がする。

山と言うものは、あるとき、行きたいという気持ちが高まって、それが心の中で、怖いという一線を越えてしまう気がする。それが山切れになったときかなぁ・・・と思うのだが。

私の初めての山切れは、単独の北岳で、12月に行った大菩薩嶺で、テント泊の八つだった。

どこかにたしかに怖いという気持ちはある、と思う。

だから、ケツを歩いてくれる先輩には感謝しているのだ。一番いい先輩はケツを歩いてくれる先輩だ(笑)。男性だって、愛犬と歩いていたりするんだし。先輩にとっては目新しさもない場所を一緒に歩いてくれる人は本当にいい人だ。

それより大きな精神的障壁となっているのは、めんどくささ、だ。

一人で行く=トレーニングということを考えると、初めての場所は、トレーニングにしては、ちょっとめんどくさいということがある。

(面倒だ)というマイナスと、(初めて行くというときめき)というプラスが、単独だとトータルでプラスにならない。正当化できない、と感じてしまうのだ。マイナスが大きく、プラスが少なく感じるということ。

というわけで、色々な想いが錯綜して、シンプルでないことになってしまっている。

その上、シンプルでないことが私は好きではない。

■ 自分を許す

というわけで、こんな感じに”歯止め”を掛かっていて、なんとなく、すっきりしない。

行きたい山が無いということ以外にも、天気が良くないということもあるが、それは小さな障害だ。

この歯止めを取り去ったら、どうなってしまうのだろう?

おそらく、歯止めというものは、自分を”罰している”ことになるのかもしれない。

つまり、私は、自分を許していない。

それじゃ、どうしたら、自分で自分を許せるのだろうか?

■ お正月

それにしても、お天気が悪く、アイスも雪もパッとしない・・・。

アイスは今年は特に悪そうだ・・・例年今ぐらいからシーズンなのだが・・・。

今年のお正月のプランも・・・”うーん・・・”だ。

晴れたら山、そうでなければ山の予定を立てる、そんな生活を是としている。

週末の山はどうしようか? お正月は、さて、どうしようか?

山を愉しむということは、実はアイディア勝負なのだ。ただガイドブックをなぞるだけのことにはすぐに飽きてしまう。

飽きたとき、その飽き対策として、誰かと行くいう方向に行く人もいるし、自分を向上させるという方向に行く人もいる。花という方向もあるし、クライミングという方向もある。

なんだか、クリエイティビティの挑戦状をもらっているような気がする。