Wednesday, December 17, 2014

保守的な判断

■師匠の指摘

昨日のブログで、師匠から指摘をもらいました。

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心配はありがたいが、私はすごいルートに行かないので不要と私はとりました。
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弱ったなぁ・・・ コメントをいただけて、大変光栄に考えていますので、上記のように受け取られると困りますね。

ズバリ、コメントをくださった方には感謝していますが、今の環境でできる安全対策は私はすべてしています。 今はパートナーがいないので、一緒にセルフレスキューを実践する相手がいないので、今すぐセルフレスキュー訓練することは現実的ではありません。

私はこんなのに出たいタイプです。

私の方の事情を説明させてもらいますね。
  • 私は岩登り一回もしたことがない時点から、宙吊り登り返しも、3分の1引き上げも作れました。山小屋では、登り返し練習。洗濯物を干すのに、横向きの3分の1(笑)。
  • レスキューは、一緒に登ることになる人が一緒にやってくれないと意味がないんです
  • 会山行には計画されていません。ので、私に意識改革を叫ばれても・・・私にはどうしようもないです 
  • すでにこのブログでも意識を高めよう、という呼びかけや知っているだけの技術情報は出しています。これ以上どうしろと・・・(汗)?
  • 山行が決まらないのに、リスクのアセスメントなんてできません
  • 懸垂でのコブの通過できます。宙吊り登り返しができる人は、同じことなので、できます。
  • 一本での懸垂も出来ますし、やったことがすでにあります
  • 雪崩の講習会にも、夫の二人分の5万円もの費用を掛けて出ています
これ以上、個人で何をしろと・・・(^^;) 

スゴイレスキューバッチリと仮定してですよ?一体、私をどんな、危険なルートに連れて行く気なんでしょうか・・・(汗)? 

私が言いたいのは、レスキューが必要だよ、っていうの・・・ホントにもっともなんですが、言う相手が違うよ、ってことです。

ヨガを教えていても、注意をすると聞いてくれるのは、すでにその注意がすでに出来ている人です。出来ていない人は、自分のことだと思っていないから聞かない。

■ 行ける所しか行けない 

私の会は、事故が非常に少ないことを誇る良い会です。それはなんでか?というと、

 行けるところしか行かないから

です。逆に言うと、

 リスクを乗り越える努力は払わない

って意味です。ですから、レスキュー講習ありません。日山協の講習だって、どうせ出る人がいないから・・・と、連絡が着た頃には講習会は埋まって参加できないくらいのノリです。

 リスクを乗り越える努力を払う気がある

新人については、基本的に、先輩は煙たがっていると思います。フリークライマーになってくれたら、楽でいいんだけどな~、というのが、ホンネではないのでしょうか・・・(笑)、たぶん。

でも山岳会に来る人はクライミング寄りの人はそもそも少なく、さらに、フリークライミング寄りの人は少ないです。

■人のことより自分のこと

人のことより自分のこと、というのは、まっとうな指摘です。が、一体、ザイルが切れて、宙吊りになって、ビレイヤーが携帯も通じないで連絡に出ないといけないような、どこのルートに私を引きづりだす気なんでしょう・・・(--;) そんなルート、ビレイヤーを頼まれても、行きたくありません。

私が楽しいのは、今のところ、ガマルートとかです(スイマセン)。 太刀岡左岩稜は、登れるけど、自分で登れないから楽しくありません・・・。 私が行って楽しい初級ルートは数えるくらいしかありません。それでも、ちゃんとビレイしてくれる人がいないから、行けません。

アイスのルートも行きたいですが、アイスのルートだって、ぶら下がるようなところには行けませんし、それ以上に・・・行きません。(例:仙波の滝)

もしかして、ビレイヤー探している人がいたら、申し訳ないですけど・・・。こちらだって、どんな場所か?くらいは調べてから行きます。

もうクライマーっていう人種は、ほっとくと、こっちが知らないと思って、すーぐ、人を危険な目に合わせます。去年私はアイスに誘われてびっくりしました。私と組んだ女性は、トップロープのビレイも安心して任せられない感じでした。何も知らないのですから、その人のせいではありません。

■逆に考えると

しかし、逆に考えると、自己脱出トレーニングゼロ、ビレイヤーとしての責任感ゼロ、クライミングの危機管理意識ゼロの後輩を連れて歩いてくれる、リーダークラスのすごい人たちって、

・それだけ自分に自信がある
・それだけセカンドを危険にさらしても登りたいという煩悩が強い

のどちらなんでしょう・・・(^^;)? 

私はリーダークラスではないので、人を連れて歩くことはまだありません。(し、できません。)

私が欲しいのは、自分と同じくらいの安心な人です。同じくらい用心したがり、一緒にセルフレスキューの練習をしたいと思ってくれるような、クライミングメイトです。

■ 保守的な判断のこと

このブログで、レスキューもやりなよ、というコメントをいただいているのは、やっぱり、アルパインやバリエーションルートが危険であり、

その危険に対して、どう対処しているのか、が、外からは見えづらいから

だと思います。また、保守的な判断をする人でも、知らずに、危険を冒していることがあります。

≪アルパイン≫
・リスクが見えづらい
・保守的な判断をしているつもりでも、危険が生まれていたりする
・それらの調整に、経験が必要

以前、原材料の輸入量の管理をしていたのですが、在庫が多すぎると倉庫費がかさみ、少ないと追加輸入になって船便でなくて空輸になると単価が上がり、損が出るので、加減が難しいと言うことがありました。アルパインのリスク管理はそれに似ています(笑) 

■レスキューは一緒に行く人とやらないと意味がない

私は基本的にレスキューは、ひとりだけスキルが合っても意味がなく、一緒に山に行くことになる人と毎年、義務のごとく実行するべきものだと思います。

山岳総合センターのリーダー講習を辞めた、一番大きな理由はそこです。

2番目の理由は、勉強熱心な人が班の中に見いだせなかったからです。前回エイトノット教えたところなのに、復習しても来ないで、ぬんちゃくをじゃらじゃらかけて、将来マルチやバリエーションに行きたいって言われても、困ります。私が混ぜられた班だけがそうだったのかもしれませんが、それが普通のようでした。ガチャ類がズラリ=かっこいい・・・って幼稚です。必要以上のガチャを持っているのは、むしろカッコ悪いです。

■ 考え方

去年セカンドで行って、今年も行きたいと考えていた、初級のアイスルートがあったのですが、以下のような考え方で、あきらめました。

≪想定メンバー≫
先輩(L)  オールリード可能 フリーソロ可能  
メンバーA フォローのみ可能 登攀・確保 安全管理ともに不安あり  
メンバーB フォローのみ可能 登攀OKそう 確保不安あり 安全管理不安あり  
私      つるべなら可能 易しいピッチでリード経験積みたい、安全管理は勉強中

■力量の判断

上記の力量の判断は、保守的にしています。

おそらく、一般的な男性クライマーだと、上記のメンバー構成でも、”行く”という判断にすると思います。北岳バットレスでも思いましたが、男性は安全マージン薄いです。なので、上記のメンバーA、Bからは、「いやオレはもっとできる」という反論をもらうと思いますし、実際その通りと思います。

しかし、私が企画者であり、私が責任者であるので、保守めの判断にしています。

初心者が一人だけなら、先輩は力があるので、その分、力がない者を連れてもいけます。そういう状況に慣れている人には、自分自身がメンバーA、Bの立場であっても、このルートに、この力量では総合的に判断して、行けないというジャッジメントには、不服がきっと出ます。

判断の根拠は次のような内容です。

メンバーA
・マルチピッチ経験したところ(セカンド)
・岩リード頑張っている(ゲレンデ)
・リードのビレイは、だらりんどころか地面についている
・リードのビレイは、立ち位置が悪い
・不必要なギアをいつも身に着けている
・ヘルメットやアックスなどのギアは不備が目立つ
・ロープは持っていない ニーズも感じていない

メンバーB
・マルチピッチ経験したところ(セカンド)
・体力抜群
・クライミング経験は長い
・懸垂下降など職業柄やっておりセミプロ
・大滝アイスで大フォール1回あり
・確保器上下逆さまなことがあった
・リードのビレイでクライマーを引っ張り落としそうだった
・ルート経験未知数
・ギアはお金を掛けている
・ロープも持っている

先輩
・フリーベテラン
・アイス3年目


・確保は実戦の岩でも墜落停止経験あり
・初級ルートデビューから1年
・三つ峠でつるべが出来るレベル
・クライミング力UPはこれからの課題
・自然地形での支点作成もこれから経験値を積む課題
・このルート自体は経験済み
・アイスリードはこれから
・ギアの不備はほぼなし
 

2パーティでのリードフォロー ⇒ オールリードが2名必要で難しい 



1パーティ4名で、ダブルロープで、リードフォロー構築したい

4人のときのクライミングシステム

 その①
 1)トップがダブルロープ(A、B)で登る。
 2)ロープA末端で、メンバーBがセカンドで登る。
 3)セカンドはバックロープを付けて登る
 4)持ってあがった、バックロープで、サード(もっとも弱いメンバー)を確保
 5)ラストがロープBで登る

その② (難しい登攀がない場合)
 1)トップがロープ2本(A、B)つけて登る。
 2)ロープAで中間者結びでセカンド(もっとも弱いメンバー)が登る
 3)ローブAの末端でサードが登る
 4)ロープBでラストが登る。

その①のメリットは、間に入るメンバーA、B間で、入れ子のようにつるべが可能なことです。

その①とその②では、最も弱いメンバーが入る場所が違います。クライミングで一番重要なのは、たぶん、弱いメンバーをどこに配置するべきか?です。目が届く範囲でないと、どうしてよいか分からなくなる時があります。この方法だと、上と下につねに監視する人がいるので、初心者が一人きりになる時間はありません。

ですから、1パーティ4名のクライミングシステムを構築すると、なんとかはなります。

でも、なんとかしようと頑張っているのって、トップのリーダー、と、ラストのサブリーダーだけですよね?

それでこの山行で次回に続く何かが得られるか?というと、たぶん得られないでしょう。

ガイド登山と同じだからです。「ああ、楽しかった」で終わりになります。 

山って、「行きたい!」っていう熱い思いが一致していないといけないのです。

そう思ったので、ハイキングの山に変えました。そこだって沢ですから、雪崩のリスクはあります。

でも登攀はないですから、登攀上の安全管理のリスクはないです。ビレイがであやふやとか関係ないです。

■ 自分の力を自覚する

一度、岩でクライミングメイトが終了点についたけど、どうして良いか分からなくなっていました。

思うに、そういう経験が重要なのではないか、と思います。 初心者のうちは、

 登れるか登れないか

だけで、登山者の能力を判断していると思います。 登れる=エライ 登れない=ダメ。

ザイルパートナーだって、そう思っていたと思います。現に私は全然登れないので、会の同期からは、見下されています(^^;)し、「よし、わざと難しいところを登らせて、ぎゃふんと言わせてやれ」というくらいの気持ちでいると思います。

けれど、「登れるようになって見返してやりたい」という思いは全然ありません。すいません(m__ _m)。 

登れないんだから安全管理なんていらないんじゃないの~と馬鹿にされたこともあります。

が、馬鹿にされるので大いに結構なんです。すいません。

でも、本当に、登れるか登れないかだけで登山者を値踏みしている間は、本当にまだ”何も分かっていない”、つまり、初心者丸出しってことなんです・・・。

ベテランが死んでいるのは、びっくりするような易しいところです。

登山のリスクは、行く山や行く季節で一個一個違う。

クライミングだって、同じなんではないでしょうか?私はまだ自分が企画してルートに行く力はないので想像するだけですが。

ボルト打つって私はやってみたいですが、打たないで済むようなところで十分経験を積んでからしか、そういうニーズがある可能性があるルートには行きたくないです。

■ 実践

私は、基本技術の習得をして、それでいいと考えていません。

また、技術のための技術になっているという指摘には異議を唱えます。

結び目の復習くらいは、技術のための技術ではないです。ロープワークの結び目くらい、一人で復習できるんだから、最低限のマナーってやつでは?

昔は、登山の前にメンバーが会って、考えられる状況を予想し、それに対してどのように対処するかを議論していたそうです。

羨ましいですね・・・去年は、雪洞泊を前提にした谷川岳で、これをやろうとしたら、頓挫しました。

私がやろうと思っても、今の環境では若い人は、誰も山行前に合って話をする必要など考えていませんし、ただめんどくさがって付き合ってくれないというのは、去年の企画で実証済みのことのような・・・?

でもまぁ基本的に、すべての議論が心配が呼び起こしたことなので、とても感謝しています☆





9 comments:

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    1. ホントに・・・前途多難です。あらゆる意味で

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  2. ワタイが沢登りでボルト、ジャンピング、キリ、ハンマーを持っていくのは、「登れる」と思って登ってみたけど実際には登れなくて引き返す時に有効だからです。全てクライムダウンできたり、立木 や 岩の割れ目にハーケン打つ等して 支点を確保できて懸垂下降できるような状況であれば ボルトなんか不要ですけど、そうではない(=クライムダウン不可、立木なし、ハーケンの打てる割れ目なし)状況が発生しうるからです。
    最近の情報、トポ図、遡行図、ガイド本、ネットその他から情報を得て準備をしていても、地形は変わることがあります。かつてあったゴーロ帯がなくなってツルツルゴルジュになることもあれば、立木が折れたり抜けたりしてなくなったりすることもあります。なので、保険として入れてってます。
    もちろん、たまには前進のためにエイドの支点として打つこともあります。

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    1. たぶん、わたしだったら、クライムダウンをする前に登らないと思います。

      数少ない過去の例では私が行かないという判断をしたところを、ベテランは行くという判断をしました。なので、困った状況に陥る前に敗退するほうを選ぶと思います。

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    2. 「登れそう」と思って、必ず登れるんなら全く問題ないですね♪

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    3. 違いますよ! 「登れそう」と思って登るんではなく、「登れなかったら降りれるか?」と自問してから、登るんですよ。 登れない場合、どこで降りるか、目見当つけてから登るんですよ~。

      太刀岡さ岩稜はそうでした。 そういう意味で保険を掛けてから、登ることにしています。それは登る力がない人の特権かもしれませんね。

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    4. もう一つ、

      滝を巻きました→懸垂下降で沢床に降りました→過去の情報や周りの様子から この先も登れるだろうと考えた。→懸垂に使ったロープを回収した→先へ進んでいった。→しばらく行くと登れない滝が出てきた→懸垂で沢床に降りたところまでの間では両岸とも安全に登れなかった

      というようなケースもあります。

      もちろん 
      「そんなとこ危ないとこ行かないです」
      「上まで絶対抜けれると確認できないなら懸垂のロープを回収することはないです」
      ってんなら全く問題ないですよ♪

      「期せずして…ってことがある」って言う人と いや、「そんなとこいかない」って人は 平行線を辿るだけですから。

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    5. なんか好戦的な感じですね(^^;) すべては状況判断なので、現場の状況を共有していないとダメなんじゃないですかね? 

      ベテラン山ヤを見ていると、生きながらえている人は、引っ込みがつかない状況に引っ込みがつかない人を連れて行かない判断力があるみたいです(笑)。

      嫌われても、どうにもならない手前で、帰っています・・・

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