Sunday, October 5, 2014

十二ヶ岳の岩場クライミング 

■十二ヶ岳の岩場(5回目)

昨日はちょっと忙しい日でした。

まずは、新しい山の友達と十二ヶ岳クライミング。私が教える側で、マルチピッチ。

そして、夕方からは夜間登山でお月見山行。

その後、ビバーク訓練の予定でしたが、雨で変更。

翌日は、十二のクライミングとセットにした、ナメラ沢を短縮計画で予定していましたが、朝起きたら、結構なザーザー雨だったので、山行は、さっさと中止して帰ってきました。

少しの雨なら沢は行きますが、台風接近で、荒れがひどくなる傾向にあったからです。

■ 十二

十二ヶ岳の岩場は、別名、西湖の岩場とも言われています。マルチピッチの岩場とショートのゲレンデがあります。

終了点から下を眺める
岩場がこじんまりして手ごろで、初心者にとっても怖くなく、おススメできる岩場です。

今回は、マルチ初心者の方をお連れして、午前中マルチ、午後ショートの予定でしたが、午前中のマルチは一本で切り上げて、あとはショートでずっと遊んでしまいました。

というのも、御坂の先輩が来るのは、知っていましたが、ふたを開けたら、4人も来てくれていて、せっかくなので、色々岩を触ることに。

二人だとショートばかりだと、すぐ順番が来てしまい、大変です(^^)。

マルチは二人でも、出来るけど、大勢いて、ロープが、何本も垂れ下がっているときは、効率よく、色々なルートに触れたほうが、勉強になります。

■ プロテクションの間隔

私は以前リードしたところを再度リードしたのですが、今回はマスタースタイルではなく、先輩のお手本で、ぬんちゃくをかけてもらっている状態で登ってみました。

ランニング支点の取り方の勉強です。

すると・・・先輩のぬんちゃく、間隔が遠い~!あれまー(^^;) ビックリです。

これくらい信頼感を育てなさいってことですね~。

私が過去にリードした時は、ありとあらゆるプロテクションをこまめに取ったので、ハンガーボルトだけでなく、リングボルト、ハーケン、と自分の身長+1mくらいで、しょっちゅうプロテクションを取りました。

しかし、先輩曰く ハーケンは ”オブジェ”(笑)。 

え~そうなの~!とびっくりでした。

でもまぁ、クリップが遠くても、リードはできた。

私はとりあえず、今の時点でも、自分が行きたいところに行くだけのクライミング力があるので、これ以上は、まぁぼちぼち成長すればいいかな、というところです。

■ 焦らず成長すべき

たぶん、クライミングって、急いで成長しようとしても、あまりいい結果を生まないのではないか?と思います。

”急ぐ”と”焦る”は、紙一重で、急ぐと、死の危険との隣り合わせのクライミングでは、精神的圧迫が強くなり、ストレスも大きいので、余裕がない言動が多くなると思います。

たとえば、フリーのクライマーは、人を見下した発言をする人が、結構います。おはようございまーす、と挨拶しても、登れるヤツでなければ、挨拶も返さないような、人としてどうか?というような態度は、登れる相手であると、手のひらを返したように変わってしまうこともある。

それは、急ぎすぎた「登れなくてはならない」というプレッシャーの裏返しであるかもしれないなと最近思うようになりました。人は自分がつらかったことは相手にも要求しがちになるからです。

ランナウトしても自分が大丈夫か、大丈夫でないかは、自分の中で、確実性や信頼性が、どれだけできていくか?という問題で、一か八かを取る度胸という問題ではない。

それは単純に、クライミングを経験する時間の長さが解決するだけの問題だと分かりました。度胸のほうの問題にしてしまうと、よくありません。度胸でないと解決できないこともありますが、度胸は最後の解決案だからです。 それに私が目指しているのは、5級マスターですし(笑)

■ 責任の重み

私は、

山に一か八かはない
迷うようならロープを出せ

と教わりました。

しかし、岩では、え~?!というような易しい場所で、ベテランクライマーが墜死していたりします・・・。慢心ですね。くわばら、くわばら。

バンバン落ちるスポーツクライミングの論理を岩場に持ちこんで、亡くなっているケースも、良く聞く話。

そして、ビレイのミスも良く聞く話です。形ばかりのビレイはあぶない。

さらに、まっとうなクライマーでも、失敗はある。その手の失敗は、突っ込んでよいところと、そうでないケースの見極めができない、という、判断力の未熟さが、招いていることのような気がします。これは、経験によってしか培うことができない部分です。私が取り組むべきなのはココです。

≪リスク要因≫

  • 自分はもう出来るという慢心
  • スポーツクライミングを岩場に持ち込む
  • ビレイが不完全
  • 突っ込んでよいケースとそうでないケースの見極めができない

良きビレイヤーは得難きものです。私は一緒に山に行く相手は、よく見ていて、ぽっと出の人をすぐ信頼したりはしません。たとえ、ガイド山行であっても、ハイキングの山に行って、相手を信頼できるかどうか、判断してからでないと、本番の山には行きません。ビレイを任されるということは、非常に光栄なことですが、その辺も分かっていない人もいます。

登れなくてもいいから、ビレイは確実にならないといけない。これは初心者の最低ライン。しかし、初心者の場合は、それを分かっていることは、まずないので、分かっていないことは、受容しないといけません。そこが初心者を連れて行く、ツラさですね。

何しろ、初心者を岩に誘ったら、たとえば、その人が落ちたとき、100%確保できるという確信がないと、誘うことさえできないのです。確保できないのはお互い様、なんて言っていたら、フリーソロの方がましなくらいです。

私は、これまでの普通の登山でも、計画を担当する側だったので、夫の生命までも、安全か?安全でないか?を、私が責任を持って、判断してきた、と思います。

責任の重さと、判断することの難しさ、葛藤は、やっぱり自分で山に行く人でないと、分からないものかもしれません・・・。

■ 中止や敗退の判断 

私はこれまで見てきた観察では、強いクライマーほど、撤退の判断が早い、と思います。

会の先輩を見ていても、登れる人、しっかりとしたリーダーシップがある人、みな敗退決定が早い。

たとえば、先月チャレンジしていた中山尾根は、撤退の判断が6時半でした(笑)。 これには私は信頼感を高めました。

撤退の判断の速さの、反対となるのは、未練・・・登りたいと言う執念です。登りたい気持ちと言うと、良いことのようでもありますが、これは、煩悩と言う名の、執着心とも言え、良くない心理状態です。あるいは、登れるという見栄、とか、欲張り精神、なんていうのも入るかもしれません。そこは精神的成熟度が試されるところ。だから、精神的な成熟度が低い人は判断力も低い

素早い判断  
 ↓↑
・煩悩
・欲張り
・見栄

つまり、安全のためには、無欲であることが必要です。

岩でなくても、普通の登山でも 「せっかく遠方から来たのだから」とか、「ここを外せば休みがない」という執着心が、雨天敗退や装備不足の敗退、体力不測の敗退などの判断を鈍らせます。その結果の遭難がいかに多いことか・・・。

実は今日、ナメラ沢を予定していましたが、これは今朝6時に中止を決定しました。遠方から参加してくれた方、すみません。

しかし、雨天は予想でき、天候悪化は予想より早く来たので、やはり中止決定は早い方が良かったと思っています。

■ 山はリスク管理中心に

やはり、山において大事なことは、リスク管理です。

高難度のクライミングが出来る人が、イコール適正なビレイを行う人とは限らない。クライミングが上手ければ、当人の安全のマージンは増える。けれども、相手の安全が増えるわけではありませんね。

クラミング力だけでなく、支点構築や一般登山上のリスク管理全般に長けている人が、本当の意味での登山のうまい人。

この点で、やはりバランスよく成長していくのが大事なことかな・・・と思った週末でした。