Wednesday, October 22, 2014

山、第三章・・・

■雨です

今日は冷たい秋の雨です。これから一雨ごとに寒さが身に染みる季節になって行くでしょう。

今日は、朝から会のニュースレターに載せる前穂北尾根の記事を書こう!としているのですが、事細かに書いても、小学生の夏休みの日記のようになってしまい、自分でさえ、読むのがうっとうしくなってしまいます・・・(^^;)

困ったなぁ・・・3泊4日もの旅は、一言で語るには、長いし・・・何字くらいがベストな量なのか?

恐れていた混雑は、それほどでもなく、台風からも無事に逃げ切り、素晴らしい山を堪能したのですが、素晴らしいことを素晴らしいと言ってしまうのが、凡才と聞いているので、そう言わずに、いかにそれを表現しようか・・・と考えると、白髪が増えそうです(笑)

台風が来たことで、混雑が緩和され、かつ快晴も得られ、旅の成否を分けたポイントでした。

■ 鉄則集

御坂の山行は、

 ・テント泊が基本

です。みんなで分担して、よいこらしょ!と担いで行きます。なので、一人でも欠けると大変。テント泊も、登攀装備が入ると、さらに重くなり、大変度がアップします。

・生米から炊く

というのも、鉄則みたいです。 あとは、

ゴミはザックの中に入れる

です。

今回は先輩に

・自分で持ち込んだものだけでやりくりする

という美学を教わりました。小屋で出している食事などを活用はしない。基本は何もない荒野に出向いていく、という前提です。たとえ、小屋が、わんさかあるところ、と知っていても・・・。

■ ビールとソフトクリーム

ただ、”その持ち込んだものだけで何とかする”には、生ビールは入っていないみたいです(笑)。

ま、生ビールがないと、山が成り立たないわけでないから、いいのか。

男性が生ビールなら、女性はソフトクリームかもしれません。今回は、それでも、ソフトクリームのご褒美を2回も、見送ったのです(笑)。

下山で、徳澤園で、リベンジしましたが、登りに徳澤で食べ、翌日北穂池のご褒美に涸沢小屋で食べ、下山では、歩荷のご褒美に河童橋で、はちみつかけソフトを食べるべきだった・・・3回を1回にしたんだから、まだ遠慮した方なんです(^^)。すると、ちなみにソフトクリーム予算は1500円になります。

今度から涸沢詣ででは、バテる前にソフトクリーム補給です(笑)。

■ 導かれ感

今回の旅は、キーワードが、”導かれ感”でした。つまり、ルートファインディングです。

基本的には、先人の足跡を追うのですが、足跡なんて、つかないザレの上にも、なんとなくある、導かれ感・・・

そして、決定的なルートの困難度の差は、一般道と非一般道の質の差

特に北穂池は、北穂前尾根と比較しても、踏まれていない秘境で、クライミング要素を除けば、こちらのほうが難しいルートと言える場所でした。落石やねん挫などの危険度も高いです。

クライミング要素で言えば、前穂北尾根は3ピッチしかなく、それに核心は1ピッチだけで、あとは2級や3級で歩ける場所です。だから、クライマーは登り足りないらしくて、四峰でフェースを見つけて遊んでいました(笑)。

それでも、クライミングができると、一般道の難路、大キレットの飛騨泣きなど、易しく感じます。

でも北穂池への道などの、そもそも踏まれていない道は比べられない。タイプが全然違うものです。

■ 本チャンで必要となる高い集中力、それを支える体力と補給

そして、ゲレンデと違い本チャンは、長い時間、途切れることのない集中力が必要という、本来の登山の力が必要でした。

一般向けガイドブックで使われる難路5、体力度5という物差しで表現すると、難路7、体力度8って感じです。

つまり、難路7、体力度5ではなかった・・・今までの体力に、クライミング力だけが加わっただけであっさり切り抜けられるところでもなかった・・・。

困難度が小刻みでなく、一気に上がった感じがしました。

転滑落のリスクは、クライミングが終わっても、一般道でも同じです。行程は14時間に渡りました。 私の個人山行の一番長い行動時間と同じです。

そうなると、補給作戦も重要になります。今回は、小屋がいっぱいあるルートだったので、認識が甘く、乾パンの行動食ではバテました。

山でバテたのは初めてです。軽量化で、行動食が少なかっただけでなく、水ボトルが破損して、水も不足したからです。

穂岳岳山荘で、ポカリを飲んだのに、その日は一日、一回もトイレに行かなかったくらいです。

そのため、下りはヘッデンのお世話にならず、下れるギリギリ・・・普段なら、小一時間早く降りれたと思います。 

それでも、非常に充実感があって、山ってやっぱりいいな~と思ったのでした。

■ 冒険的ルートが好きだと言うことを発見

私は前穂北尾根は目標にすべきルートとして、気に入りましたが、北穂池は個人的に特別気に入りました。

北穂池のほうが、発見と、冒険的な要素が強かったからです。私はこんな性格のルート、大好きだと言うことが分かりました。

一つ自分を発見。

前穂北尾根は、一回先輩に連れて行ってもらったところで、次から人を連れていけるような場所ではない、ということが分かりました。

つまり、このルートを自分の力で歩けるようになること、を、これからの目標にすべきだと言うことが分かりました。

■ 登山者にピッタリの課題を与える技術

こうした背伸びのルートは、登山者にちょっとした目標を与えます。

一人の登山者に、今の実力にピッタリの課題を与えることができる、というのは、やっぱりベテランの力かな~と今回も思いました。

私は登山2年目で、残雪期のツルネ東稜に行ったのですが、そのときもそう思いました。

これを自力で行けるようになるためには、一体何をすればいいのだろう?
その問いが今後の行動の指針になります。そうしたルートを与えることができるルート選択の凄さ、というのがやっぱりベテラン力、というようなものかもしれません。

■ 視野の広がり

私は、人があまり知らず、それでもちょっと雰囲気の良い場所を楽しく冒険したいのです。それも、お金が余りかからないなら、なおよし。

山をどんどんステップアップする必要は、そんなに感じていません・・・そんなことをしても、すぐに行き尽くしてしまうからです。

山のグレーディングは、何のためにあるのか?それは、ステップアップするためではなく、行きたい場所に行くとき、自分の力量を大きく超える山に間違って行ってしまわないようにするため・・・

ジムや室内壁は何のためにあるのか?それは、難しい課題にチャレンジするためではなく、山でもらってきた課題をジムという安全な環境で、反復練習するため・・・。

そのことが分かって、なんだか肩の荷が下りた、また視野が広がった山行でした。

■ 小さい山に技術を生かす

実は、穂高でへばってヘロヘロだったくせに、帰って、すぐ、二日後に伝丈沢に行きました。また行くの~と飽きれられると思いますが、山で満腹していなかったから、ではありません。

ここしばらく会っていなかった山の友達に会いたかった、ということが、第一にありました。

なんとなく、山で分かったことを、その人に報告する必要があるような気がしたのです。

伝丈沢は易しい沢で、登攀スキルは不要。けれども、ロープワークは必要、地図読みは必要、それに、道なき道を歩く、冒険的要素が強い場所です。

そんな場所を彼と歩きたかったのは、一通り、どこでも歩けるようになって、目標を失った彼に、大きく派手な山ばかりが、山じゃないよ、ということを、なんとなく伝えたかったのかもしれません。

何のための山スキルだったのか?それは強くて優しい、たくましいパパになるためだったのかもしれません。

今目の前にあるものに感謝する心を山ははぐくんでくれます。大事なものとは、些細で、毎日手元にあるもの…手元にある時には、持っているものの価値が見えにくいのです。晴れの日のように。

それでも失って初めて分かる必要はありません。雨の日にならないと、晴れの日のありがたさを実感できないわけではありません。

山には色々な面があります。登れりゃいいんだろ、て訳でもないし、担げればいい、って訳じゃない。

今あるリソースを最大限に活用して、素晴らしい経験を作ることにつなげていく・・・様々な要素が、ジグゾーパズルのピースのように、ぴったりと、はまってこそ良い山行が出来上がります。

その複雑な形のピースを組み合わせるのは、一種の芸術みたいなものです。

その時、その時にピッタリの山、そんな山を作ることができる達人になってほしいな~と、姉さんはちょっと思ったりしたのでした。


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