Tuesday, July 15, 2014

マルチピッチ初心者は何につまづくのか?

週末はザイルパートナーとパートナーシップを育てるための山に行っていました。

三つ峠マルチ & 小川山マルチ です。

そこで課題をまとめておきます。 マルチピッチ初心者が、つまづきがちな問題点が分かれば、と思います。

■ 課題1  コールはシンプルに!

コールは、まずは余計なことを出来るだけ言わない、というのが重要かと思います。

例: リードクライマー: 「ビレイ解除」
   セカンドクライマー: 「了解」
   リードクライマー: 待つ
   セカンドクライマー:「ビレイ解除」

これでは長い。一つ余分。、

   リードクライマー: 「ビレイ解除」
   リードクライマー: 待つ
   セカンドクライマー:「ビレイ解除」

で十分です。

次は、

   セカンドクライマー: 「ロープ一杯」
   リードクライマー:「登っていいよ」
   セカンドクライマー:「登ります」

コールは、実は 二つだけ、で成り立ちます。 英語にしてみると単純なんですよね。

ビレイ解除は英語ではビレイオフです。登っていいよは、ビレイしたよって意味ですから、ビレイオンです。

例: リードクライマー: 「ビレイオフ!」 ビレイオフしてくださいの意
   セカンドクライマー:「ビレイオフ!」 ビレイオフしましたの意


   セカンドクライマー: 「ビレイオン!」 ビレイしてくださいの意
   リードクライマー:「ビレイオン!」   ビレイしましたの意

   セカンドクライマー:「クライミング!」

ということは ONとOFFの2種類しかコールはイラナイんです。

だから、笛だけでも意思疎通が可能です。

 ON = オッケーと言う感じで ピッピー!
 OFF= ノーと言う感じで ピー!

ダメダメ~と言いたい時は、警戒音でピー!とし、そうそう!と言いたい時はピッピーです。

でも、これ、同じ笛でやっているパーティがいると、隣の笛と紛らわしいんですよね・・・

私は講習会で七倉沢でやったときはみなコールの吹き方が同じで参った。

■課題2 懸垂下降でのロープダウンが難しい

今回は、二人パーティでルートも素直なので、シングル50mで行きました。

なのでロープ操作としては、ダブルよりロープジャムが少ないはずです。

それでもやはり困ることが時々ありました。 主に懸垂下降でのロープダウンです。

ロープダウン時、

 ・落石を起こしたくない
 ・ロープジャムを起こしたくない

です。

ロープダウンの方法はいくつかあります。

≪ロープダウンの方法≫

  1)ロープ末端を両端合わせて結び、振り分けでロープをまとめ、そのロープの束を遠くに投げる(基本)
 2)①と同じだが、中間だけをまとめて 投げる。(早くて絡まりにくい)

メリットは、上手く投げればロープが届いたがどうか見やすい。デメリットはロープが立木などに絡まりやすい。

 3)ロープ末端をバラバラに振り分けでまとめ、それぞれのロープの束を遠くに投げる(複数連続ピッチの懸垂)
 
これだとすっぽ抜け防止のノットが両方のロープのそれぞれにあることになり、輪になっていないので
ロープが足りないなどの最悪時はノットが確保器の中で引っかかっているだけとなる。

 4)繰り出し法。セカンドで降りる人がトップにロープを繰り出す。
 ロープの流れが作りやすい。半分から先はロープが落ちる。 

 5)繰り出し法。ロープをロープバッグに入れて下降する。または左右に振り分け、ヌンチャクにぶら下げて下降する。
 落石を起こさない。しかしロープが届いたかどうか見極めにくい。


私は三つ峠で今回、⑤でやってみました。ロープをぶら下げながら降りる。これは被った壁などではなく、ブッシュっぽい場所で威力を発揮するようです。被っているところではロープは空中にあるので、投げても一緒だと思いました。むしろ速さが犠牲になり良くない。

■ 課題3 ロープ操作のスピードアップは意識の持ち方次第

まずは、スピードアップが成否を決める、という意識が必要かも…。

いわゆるゲレンデでのエンジョイクライミ~ング!を3000m級の稜線でのんびりやっていたら、午後になって、カミナリが来てしまいます…

マンガ『岳』で新米の久美ちゃんが三歩さんに連れられてのクライミングで雷雲に岩場でつかまってしまっていましたよね~。

あんな風になっちゃう… 

エンジョイクライミングは、ゲレンデの登り方で、ルートの登り方ではない。

ルートはルートの登り方をしないといけない。のは、登山と同じです。余計なことはしない。登ることだけに徹する。

そうすると、たとえば、懸垂下降でセカンドが到着したら、トップは、ノットをすぐにほどいて、懸垂支点を作り、ロープをまとめます。セカンドがロープを引く。

ロープが余っている場合は、セカンド下降中にもう次の懸垂支点を作り始めて良いくらいかもしれません。

■ 課題4 予期せぬ事態への対応は教えないとできない

私は空中懸垂で宙吊りからの登り返しを練習していますが、相方は経験があるかどうか分かりません。

懸垂下降はまずいな~となったら登り返すか、引き上げになります。 引き上げになったら、3分の1システムを知らないと引きあがらないと思います…。

あとはビレイヤーの自己脱出術も必要です。

■ 課題5 ゲレンデと本チャンは違うという認識が必要

三つ峠=準本チャンゲレンデ、小川山=ゲレンデです。 つまり整備されています。安全地帯も近いです。トイレもあります。

本チャンルートでは、リスクは

 ・ルートファインディングミス
 ・渋滞
 ・ルート中の天候悪化 (寒さ・雨)
 ・下山遅れによる夜間登攀
 ・落雷
 ・人為落石

などです。他にもあるかもしれません。

またザックを背負っての登攀となることも違います。

私もアイスのルートしか知りませんが、アイスでもゲレンデとルートはだいぶ違うなぁと思いました。私は断然ルートの方が面白いです。ザックを背負って登るのも好きです。

■課題6 スピードとは安全のことだ

これは全部をまとめるようなことになりますが、ルートではスピードが安全を担保します。

しかし、登攀そのものにスピードアップを求めると滑落リスクが大きくなります。早くても落ちるクライマーは遅くて落ちないクライマーより悪い。

一方ロープワークに習熟するのは、スピードアップとリスク低下を同時に達成できます。

なので、スピードアップのためには、ロープワークの習熟度を増していくのが、まず第一の選択肢。

これは、大体リードする人のスキルによるところが全体の6割~7割を占めるので、リードクライマーが
ロープに習熟するのは重要です。

で、つるべとなると二人ともリードクライマーです。

セカンドは、「登っていいよ」から間髪を入れず、登り始める。ゲレンデでは登っていいよと言われてから、エイトノットを結んだり、靴を履いたりしますが、ルートでそれをやっていると変です。

■まとめ 

というわけで相方との課題は、支点などの安全性というよりは、スピード。

そのスピードも、安全のためのスピード、ということでした。

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