Friday, May 9, 2014

他山の石として遭難を考える その2

■ 涸沢岳

さて、もう一つ気になる遭難があります。

涸沢岳の防衛大学生の遭難です。

 ・山岳会であることと、
 ・19歳、29歳と若いこと

が気になる理由です。 岳沢のアディダス20代は、いわば比較する対象としては、ボトムライン、ピンキリで言えば、キリです。 そこまで勘違いな登山者は珍しいよ、という感じ。

一方、こちらは、比較する対象としてはピン。若い男性なので、どう考えても私より体力もあるだろうし、技術も”最近山始めました”という私みたいな人とは違うのではないかと…山岳部だし。

もしかして、入会して1週間みたいな人だった可能性もありますが…。春山合宿だし・・・。しかし、救助に行った先輩は、引率者レベルだったはずで、そんな人も滑落して即死とは…。

ちょっとしたミスが重大な結末につながる例としか思えません。

■ スキル以上の山 = 滑落?

私は滑落はしない自信はぜんぜんありません。

でも、先日行った西穂高沢や鹿島槍鎌尾根は傾斜もキツイ斜面ですが、まったくロープの必要は感じませんでした。

でも、だからと言って、ロープが要らない、というのとは違うのかな…???

涸沢岳では、西尾根の標高2200あたりで滑落したそうです。

それはどこか?

こちらに最近、通った人のヤマレコがあり、ちょうど西尾根にはP2198があります。



どうも記述によると樹林帯みたいなのですが…でも、ふたり滑落して、二人とも即死…(汗)

山岳部だから、ちゃんとした計画のもとに山行を行っているはずだし…。 もうだいぶ歩いているので、力量不足の人がいる、と思えば、ロープを出すはずだし…。

何しろ、助けに行った人も滑落しています。

日陰だろうと思われる北面を朝登っていたから、固いクラストした雪の斜面だったはずで…、私もアイゼンがないと、怖いな~という、カチコチの固い雪の上を歩いたことはあるけど、転ぶことはないです。樹林帯だったら、立木を握りながら行くので…それに踏まれていない雪って、少しくらいコケても埋まって、止まるので、よっぽど崖だったのかなぁ?でも、そういうところほど慎重になって転ばないのが登山です。 登山者がこけるのは、大抵は気を抜くようなところなんですよね・・・。

雪庇になっているところを踏み抜いて、雪があると思ったら、なかった・・・という状況なのかなぁ…でも9人のパーティ。

先頭のルートファインディングは先輩がやっているはずで、山慣れた先輩がそんな変な場所を歩くとは思えない。

地図で見ると、進行方向左手側はだいぶ急みたいだけど…でも地図ではそんなに危ない場所のようには思えない・・・。

■ 滑落のリスク管理 = ロープ?

こういう滑落事故は、他人事とは思えない上、リスク管理の方法が分からない…。

この手の滑落って、どうやってリスク管理するのでしょう?

先日はコンテで先輩の前を歩きましたが、当然ながら、私の方が未熟な登山者なので

≪下りの場合≫

私が前の場合

 ・私が前で滑落 = 先輩が止めてくれる
 ・先輩が後ろで滑落 = 私は不意打ちになり、止められない

先輩が前の場合

 ・私が後ろで滑落 = 先輩は不意打ちになり、止められない
 ・先輩が前で滑落 = 私は止められない

となり、一番安全なのは(マシと言う程度)、スキルの低い者が前で、スキルが高い者が後ろ、ということに。それでも、先輩が落ちたら、一蓮托生だ・・・。

登りは逆になるので、先輩が前を歩き、後ろを私がついて行くということになりますが、登りはそんなに滑落を気にしないので、ロープを出すほどでもない、と思ったら、出さないのではないかと…。

西穂高沢も、鎌尾根も結構な斜度でしたが、登りでは出していませんし…。(雪庇を乗り越えるところ以外)

でも、9人もいて、3人が先輩となると、ガイドレシオ的な発想で行くと、監督者一人につき、被監督者2人で非常識登山とは言えない。

うーん…。なんだかこういう遭難は、一体どうやったら未然に防げるのか? 全く分かりません…

■ 天気は?

遭難が起きた5日は、お天気が悪かった…ので、私は山はやめて休日に。

私の持っている予報は5日の剣のですが…まぁ山域が大体近いので参考にすると

・稜線では荒れ模様
・稜線で最大20cmの積雪
・気温は日中でもマイナス

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5日:中国東北区付近の低気圧から東シナ海にのびる気圧の谷が通過する。このため、次第に雪や雨が降りやすい天気に。稜線では南西風が強く荒れ模様になる恐れ。24時間に稜線で最大20cmの降雪の見込み。


◇2014/05/05 06:00
 天気:霧一時くもりのち風雪
 気温:-2 ℃
 風向:南西
 風速:17 m/s

◇2014/05/05 12:00
 天気:風雪
 気温:-2 ℃
 風向:南西
 風速:17 m/s

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風速17mは弱くはないけど、樹林帯だったら、途中まで行こうか?くらいは普通かもしれない。

気温は-2度くらいなら、冬よりうんと暖かいし…。すごい大荒れってわけではないような? 稜線に出る手前、最悪樹林帯でテント泊すればいいか~となりそう。明日も悪かったら降りようね~と。

でも、これ稜線に出る前の話みたいですもんね。

涸沢岳は去年も遭難がありました… ぼちぼちいこかのブログサイトで救助の様子がUPされていて、
去年このサイトをこの遭難で発見しました。

奥穂で発生したベテラン引率者のパーティの遭難場所は「間違い尾根」というこれまた、よく遭難が発生している場所みたいですし…。 間違いの尾根の去年の遭難

こちらのサイトの遭難の記述は、2012年の遭難の話ですが、なんだか遭難している場所も今年とそっくり…毎年似たような場所で遭難しているんだなぁ.

奥穂、涸沢岳、白馬岳…うーん。

こちらは長野県の遭難のまとめ。http://www.naganogakuren.net/scrap/scrapSounan/sonanF.htm

■ 熟練リーダーの遭難

奥穂の遭難は、ACC―J茨城の遭難は60代と40代2名のパーティで、判断力の優れたリーダーと体力の充実した年齢の者2名の組み合わせで、もっともリスクが少ないパーティのように思われますが…遭難…。

私の師匠は60代で、私は40代なので気になります。

60代に対しては、体力の判断の安全マージンのところを保守的にしてもらい、40代においては技術力の判断を保守的目にしてもらい、ついでに言うなら30代には、判断力の安全マージンを保守的目にしてもらうのがいいのかもしれません。 弱気で行かないといつか遭難しそうで怖いです。

行けると思った山が10の山なら、9の困難度で辞めておく…。

私自身は、剣とか槍とかの響きにはそんなに憧れはないです。最近、登山を始めた私のような人たちには、有名な山に対する焦燥に似た憧れはないかもしれない。たとえば、どうしても滝谷を見たいとか・・・。北鎌尾根に行きたいとか。

私が行きたいのは、見えた尾根をあそこ、どんなところかな?と歩くような山です。そういう山だと必要になる技術的なレベルは、たぶん初級のバリエーションくらいです。なので、それくらいでいいのですが。

私はとにかく、空いている山、人気のない山が好きです。 人のいない山に行きたい。

西穂高沢や鎌尾根は、ひと気がなかったのが一番気に入りました(笑)☆

私は、技術的困難度を高めていく山より、未知の場所を知る山の方が興味があります。

ただ、登山をしている限りは、技術的に後退しないように、クライミングなど努力を続けていく必要はあると思います。

技術力がないより、ある方が安全なのは当然なので・・・。 

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