Friday, March 7, 2014

山をいかに学ぶか まとめ

■ アルパイン系の登山者は絶滅危惧種です!!

私は登山歴4年の女性登山者です。成長して雪の山でラッセルがあるような山(山田哲哉さんいわく本格的な山)にも行きたくなってしまったので、仲間が必要になり、1年かけて仲間探しを模索しています。

そこで色々模索した結果を、お伝えします。 

1)優秀なガイドにつく
2)登山学校(山岳会付属)
3)山岳総合センターのリーダー講習会
4)地元の山岳会 
5)地元の同好会
6)個人的な師匠
7)社外ブレーン
8)単独
9)後輩を育てる
10)クライミングジム

です。以下詳細です。

■ 優秀なガイドにつく

1)優秀なガイドにつく、という選択肢は早々に挫折しました。

自主山行が長かった人は、ガイド登山にはなじまないかもしれません。ガイド氏のやり方にイチイチ文句つけたくなるという悪癖(?少なくともガイド側から見れば)があるかもしれません。つまりやりにくい客です。ココロの広いガイドであればいいですが、普通のガイドはかかる手間の割に単価があわんわい!となりますし、いい客=ついてくるだけでお金を払ってくれる客、なので、つむじを曲げてしまいます。決して実り多い関係になることはないと思われます。

この方面で私が学んだことは、

 ・山の志向の一致が一番大事

ということです。ガイドについて勉強するにしても、志向する山が同じであるのが、お互いにハッピーな関係を末永く続けるコツなのではないか?という気がします。

私の場合、雪山志向なので、清水哲也ガイドなどが合っているのではないか?と思うのですが、やりとりはしたものの、未遂に終わり、詳細は行っていないので分かりません。

■ 2)大手登山学校系の山岳会

私は東京の大手の登山学校の門を最初に叩きました。

そこはカリキュラムが合理的で素晴らしい会でした。毎月、教育的山行、ハイキング、そしてチャレンジ的山行の3つが企画され、バランスが良く、単位制をとっているので、好きなペースで単位を取得すればよく、教える側と教わる側のすれ違いもうまく避けています。教育的山行は講習会スタイルで公募されているので、外の人にも入りやすい雰囲気です。

何より、教育的山行である講習会で学んだことを定着させるための仲間づくりをしなくていいのが良い。これは意外に重要なポイントで、教えてもらうのはいいのですが、すぐ忘れるんです。オマケに相手がいないとできなかったりします。

・システムが大変優れ、体系的に学べる

・学んだことを定着させるための仲間づくりもできる

■ 3)山岳総合センターのリーダー講習

ここは前述の登山学校が私立校だとすると、公立校という感じです。

昨今、山岳会で指導者が不足し、登山ブームを反映した市場のニーズに答え切れていないので、その隙間を埋める役割を与えられています。

が、問題はここでは

・継続性がえられない

と言う点でした。つまり欠点は1年で解散でお終いってことです。山は継続的な信頼できる仲間が必要です。ここでそれを得るのは難しいです。なんちゃって登山者多数。ここの良い点は

・山岳会からスカウトがかかる

ことです。また体験的知識程度の登山の基礎が得られます。体験的、というのは、ちょっと触りだけ
という意味です。技術として身につくレベルではありません。しかし、

・今現在で、もっとも安全性が高く最新で初心者に教えるべきだろうと考えられる技術

を、講師陣が角突き合わせ、喧々諤々の相談をした上で教えてくれます。

たとえば、懸垂下降のセット方法などです。

■ 4)地元の山岳会

従来型的には、地元の山岳会を検討するのが常套手段です。

しかし、山岳会に期待するものを登山者側で整理しておかないとミスマッチが多いのが、この選択肢です。

山岳会には複数のタイプがあります。

オールラウンド型、地元密着型、同人型、特殊な山だけする会(沢の会など)・・・岳連に参加している会、していない会、勤労者山岳会の会、などなど。

山岳会の主なメリットは山行管理です。つまり遭難対策ですね。なので、遭難者をあまり出していない会は優れた会と言えるかもしれないです。(が山行がないとか、かもしれないですけど)

私は山梨で、活動されていると思われる6件の会を知り合いに挙げてもらい、6件全部にメールをだし、そのうち、返事が来た4件のうち、3件の例会に出席しました。

メールだけでも会の雰囲気は分かります。1件は、メールだけでパス。昨今、登山歴の浅い登山者の入会が目立っていますので、そのような非自立型の登山者主体の会と思われる内容でした。

昨今の山岳会は高齢化していますし(ハイキングの山が多い)、指導者が不足しています(山行が
企画されない、されても流れてしまう)ので、一つの山岳会だけで技術も身に着け、体力もつき、仲間も出来…という昔ながらの会のイメージを持つと、失望が大きいと思います。それに最も近いのはむしろ商業ベースであれど、1)の選択肢です。 

ここで私が学んだことは

・すべてを満足させることを一つの会だけに期待してはいけない

しかし、それでも、私は自分のホームベース、拠り所となる会を持つ必要は感じます。それは、山と言うのが、誰と登ってもいいや、というものではないからですね。楽しい仲間と登らなくてはタノシクナイのが山です。

私の個人的な意見は、山岳会選びは自分を最も愛してくれる、必要としてくれる会に入ることです。

そして一人か二人、この人から学びたい!と思った人がいれば、めっけもんだと言うことです。お互い好きってことですね。

そうでないと早々に除名になってしまいます(笑)これは結婚と似ています。

■ 5)地元の同好会(同人会)

同好会(同人会)と言うのは、かつては、オールラウンドな山岳会を卒業した、エキスパートの集いだったり、趣向を同じくする人の集いだったりしたようですが、今では会ごとに様子が違うようです。

 ・会の性格を的確に掴む

やはり、ここも会の性格を的確につかむことが重要です。会の性格は、言わずもがな、現在参加しているメンバーが特色を出すものですので、メンバーと意気投合するかどうか?が最重要です。

山では、どんなに優秀な人であっても、お互いに迷惑をかけ掛けられる関係にありますから、そうした持ちつ持たれつ関係を気持ちよく作っていける仲間かどうか?と同時に、自分が相手にとって気持ち良い仲間になれそうかどうか?が重要です。

私は、ある例会で(酒席、(笑))メンバーの一人に「この人はうちには合わないと思う」と言われたので、その会にはその後参加していません。これを言ってくれた人には感謝しています。なぜなら、私は例会が酒席っていうのにも合わないだろうし、リスクをわざわざ求めて登る山には合わないみたいだからです。

オールラウンドな会ではないし、定期的な山行や教育システムは望めませんが、同好会でも何か一つ自分に必要なものが得られる、という確証があれば、入って損はないと思います。

ちなみに私の殺し文句は「確保技術が上がるかも」でした(笑) 

■ 6)個人的な師匠

これはかなり限定的な選択肢で、運がよほど強くないと与えられない選択肢です。

師匠には「え?そんなことも知らないのっ?」というような初心者でバカな質問もできるという信頼関係が必要です。

 ・信頼関係

 ・師匠には秘密はなし

これはちゃっかりなついちゃう!というのが最も有効な手段です。師匠になってくれようと言うような、奇特な人は大変珍しいので、これはもう運以外発見のしようがありません。

そのための唯一の手段として

 ・山では常に人脈拡大に努める

があると思います。私は今の個人的な師匠には山で出会いました。個人的なつながりを大事にすることは重要です。

師匠以外にも、私は山であって年賀状交換をするようになった人が結構います。

時折、山に一緒に行ったり、山の報告をしたりします。 「この本知ってる?」などと、先達の知恵をいただくこともあります。その人を連れて行ってあげたいがために山のスキルが欲しくなったり、教えてもらった山の報告をしたいがために山にいくという好循環にあります。

うれしいときは、うれしい報告をするのが重要かな~と思います。

■ 7)社外ブレーン

私は、山のブレーンがいます(笑)。

相談相手ですね。ちょっとしたことを聞いたり、山で行き詰まった時に相談したりしています。山に一緒には行っていませんが…

逆に、私も他の人の社外ブレーンをやっています。

聞かれたら、知っていることであれば、結構な情報量を出します。

のは、いつもしてもらっていることを恩返しにしているだけなので(PayFoward方式)、何か質問がある人は、どしどし聞いてもらって構いませんよ。

■ 8)単独

単独と言うのは、自学自習と言う意味です。

ロープワークの確認とか、山の本を読んだりとか…あとは、よくネットで山行情報を検索して山を調べて、行きたい山の発見に努めています。

夫と出かける他、単独で山に出かけたりもしますが、安全面にはかなり配慮しています。

・登山計画を出す(今ではネットで出せます)
・安全に配慮した山を選ぶ
・山小屋のある山域を選ぶ

などです。これは

・自分のテーマを追いかける

べきだと思います。 とはいっても色々な山が自分のテーマにつながるわけですが。私は毎年目標設定して、その目標を達成したかしないか自己評価しています。

今年もその時期に来たので、今、企画中です。

色々な人と山に行って見識を広げたり(面的広がり)、クライミングで山の幅を広げたり(技術的深まり)したとしても、山は結局は個人のモノです。

私の知人の一人はクライマーでテレマークのスキーヤーでしたが、結局は高山植物専門のカメラマン兼ライターに落ち着いたそうでした。

■ 9)初心者に教える

私は登山の2年目くらいから、請われて人を連れて山を歩いています。

「山に行きたいけれど、どうしたらいいのか分からない」という人は結構多いようです。

しかし、これは

 ・完全に自己研鑽

と思っていないと失望が大きい選択肢です。一般に、登山が何やらブームだからブームにあやかりたい、という話が多いようです。

その場合、この分野での注意事項は

 ・登山口までのタクシー代わりをしない
 ・道具を貸さない
 ・「〇〇がない」と言われたら、「じゃあ残念ですが登れませんね」と返事をする (例:靴)
 ・交通費等は割り勘であることを最初に告げておく (運転手の負担は多い)
 ・登山計画を共有する
 ・本人に判断させる。「7時間の山ですが歩けますか?」と聞いて「お任せします」は山行中止。
 ・本人がすべき作業の代理=パシリはやらない

これらはすべて

・プロセスから学ぶ喜びを奪わないため

です。登山は老若男女誰にでも楽しめるアクティビティです。

そして、登山と言うのは、計画を立てたり、道具を一つずつ揃えたり、お金がない中、工夫したり、と、プロセスから学ぶことが、実際の登山において結実するというアクティビティです。

正しいプロセスを踏んだ結実がないとうれしくない上、自信がつかないので、自立した登山者にはいつまでたってもなれない。のは、ヘリで行ったエベレストと同じです。

つい、ちょっと背伸びした山に連れて行ってあげたくなりますが、そこを我慢できない人は連れて歩くべきではないのかもしれません。

それが私が学んだ結果です。それで、つまらなさそうな顔をする登山者は、そもそも登山に適性がないのでいいのです。

■ 10)クライミングジム

クライミングジムが有効なのは、夏の岩稜帯歩きをする前です。

まず、登山には様々なグレード(難易度)が既にあることを知ってください。以下を参照してください。

【自由登攀ピッチ・グレード】
 I 級:まったく易しい(三点支持不要)       ⇒ 遊歩道・整備された一般登山道
 II 級:易しい(三点支持要す)            ⇒ 一般登山道の岩稜帯などの悪場
 III級:やや難しい(ロープによる確保を要す)   ⇒ バリエーションルート
 IV 級:難しい(やや高度なバランスを要す)   
 V 級:非常に難しい(高度なバランスを要す)
 VI 級:極度に難しい(極度に微妙なバランスを要す)
 さらに+-で細分化

http://yamadon.net/yama1000.php?f=3341&s=3221%3A%8ER%8C%EA%81E%93o%9D%B3%81E%83O%83%8C%81%5B%83h より引用)

登山道は1級です。一般登山道の岩稜帯は2級です。つまり三点指示があればロープは要らない。

しかし、大抵の滑落事故はココで起きています。つまり、その登山者にはそこを歩くスキルがなかった、というスキル不足が原因の場合が多いです。(ベテランも気を緩めたりはあります…)

基本の3点支持がジムで登っていると嫌でも身につきますが、普通の人は10回行けば、大体意味が分かると思います。ジムの初級の課題だけでOKです。

それ以上になると、岩登りの話になります(三級以上)。

夏の穂高の岩稜帯はロープが要る山ではないので、一般的な山登りにはこれ以上は不要です。

しかし、山岳会に来るような人が目指す山は、一般的な山登りではなく、本格的な山登り、アルパインルートを目指す山登りとなり、その意味ではジムは雨の日の自己研さんに有効です。

また、ジムに通っていると、山友達が稀ですが、できることがあります。

■まとめ

私が強く主張したいのは、

 ・一つの手段に固執しても快適山ライフ環境は構築できない

点です。つまり、間口は広く、浅く! それでいて、誰デモはよろしくない。

また、

 ・アルパインを目指すような人は誰であれ絶滅危惧種

です。ハッキリ言って、アルパインにも色々あります。先鋭(ピン)のから、初級(キリ)のまで。

私は女性でも平均的な体力なので、男性の体力と釣り合わず、初級のルートを愉しむ気でいます。

が、それでも、アルパインに行こう!という人はそれだけでも、絶滅危惧種ですので、体力が合わないとか、なんだかんだと、つべこべ言わず協力しあわないとますます絶滅する、ということです。

登れなかろうが、体力がなかろうが、年が大きく離れていようが、そういうことはまったく問題ではありません。行ける山が限れようと・・・。

あとは、

 ・アルパインじゃない人はどう転んでも違う種だ

と言うことです。

これは相当に誤解が深く、登山をしていてもアルパイン好みじゃない人は最初から無理なようです。

山が好きなんじゃなくて、山に登っている自分が好きな人や、山ブームにあこがれている人、ということは多いです。

もちろん、入り口は色々で良いのですが、結局山が好きかどうか?というのは、山のネガティブな要素も楽しめるかどうか?ということかもしれません。


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