Thursday, January 30, 2014

雪山でのルートファインディング

■ 雪崩れについてよくまとまっている冊子

雪崩れについて、よくまとまっている冊子を持っているので、ご紹介します。

これはたぶん、どこかの山道具屋で拾ってきた、小さな無料の冊子ですが、知識としては必要なことが十分にまとめてあって好感しました。

Ortovoxというドイツのアバランチギアの会社が出している“Safety Academy”と題されたガイドブック。

全部翻訳したいくらいでしたが、同じのがネットにないかなぁと探しましたが、ネットのは同じ題でも、見づらく、この冊子の方が優秀でした。





唯一、おすすめの画像はコレです。面発生雪崩れ(スラブ雪崩れ)の発生機序が分かります。



他の動画も見ましたが、どうもドイツ語をしゃべっているだけなのを英語字幕で見ても日本人の視聴者にはイマイチでした。

■ どこを歩くべきでしょう?

私はケーススタディが、山の知識を得るには一番いいと常日頃思っているのですが・・・こんなケースが載っています。

(設問) バツ印から十字のピークに行くまで、どこを歩くのが最も安全でしょう?
      また予想できる危険エリアを当ててください。

 (答え) こちらです。

どうですかできましたか? ずっと尾根ですよね。

左から、

 ・Compacted Snow = 吹き溜まり
 ・クレバス
 ・ガリー
 ・Cornice =雪庇 (コーニスと言えば建築用語で”ふち飾り”ですが、山では雪庇)
 ・急斜面
 ・40度以上のモレーン
 
です。



1)ガリーやルンゼ、急斜面を避ける。

2) 吹き溜まりを避ける

3) 危険を示すシグナルに警戒する。たとえば、非対称な積雪。

4) 地形をよく見つつ、ルートミスがないか地図を見ることを怠らない

5)斜面の角度が 危険斜面の範囲に入るか入らないかを常に考えておく
 30度を超えたら分かるようにしておく

6)30度を超える斜面は、一人ずつ歩き、間隔を5~10m開ける

7)雪崩痕は、明瞭な雪崩リスクのあかし。十分間隔をあける。


■ 最近のスキーヤーは雪崩を受け入れている?

こちらのビデオは雪崩エアバッグのプロモーションビデオです。 

これを見ると、雪崩を誘発しつつ、雪崩と競争で滑っているのですが・・・(汗) 

 

YouTubeには同じようなビデオで、ガンガンとカッコよく挑発的な音楽をバックにして、雪崩を引き起こしつつ滑っている画像が一杯あります。

そうした画像を見てしまうと、それがかっこいいこと、と言う風にプロモーションしてしまっているような・・・??? ・・・うーん、どうなんだろう???

カッコ良さそうに見えても、真似してやると、一巻の終わりではないかと・・・(^^;)

この動画も、FBで回ってきたのですが、いいね!を押していいのかどうか、かなり迷う画像でした・・・

スタントですねぇ(汗)

このように命知らずなことをしないための、アバランチ(雪崩)知識でありたいものです・・・。

■ 一般登山者の雪崩と遭遇レベルが違うのではないか・・・

これを見ていて思うのですが、一般の冬山登山での雪崩と、バックカントリースキーでの雪崩を同一レベルで考えることは、ちょっと無理が発生しつつあるかもしれませんね。

登山者はこのような斜面を駆け下りることはまずありません。

谷地形も登山では避けます。尾根なので雪庇があるところを歩く危険はありますが、雪庇を乗り越えて、反対側の斜面に降りると言うことは少ないです。基本的には尾根の直登で自分の頭上には斜面はないのが登山です。

なので、同じ自然を相手にしていても、雪崩を受容する感性がバックカントリースキーヤーには生まれつつある、という印象を受けます。

これと同じレベルで登山者がリスクを受け入れているか?というと、決して受け入れていないと思います・・・が、思ったのは、バックカントリースキーヤーが上部にいるときに、下部にある直登の登山道にいて、上で誘発して起こした雪崩に巻き込まれたら、目も当てられない・・・バックカントリーの人たちが入るのとは違う山に行きたいな、ってことでした(^^;)

12月の立山は登山の山ではなくて、バックカントリースキーヤーの山のようですので、スキーヤーの行きたい山をチェックして、登山者は外したほうがいいかもしれません。

バックカントリーというカテゴリーは円熟して、雪崩を受け入れつつ、スレスレで避けながら行動するのが上級者の証し・・・そういう方向に進化しているような気がします。



1 comment:

  1. 渓流釣り師 と 沢屋 と その両方をしてる人 の話を思い出しました。

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