Sunday, September 15, 2013

おススメ☆ 日本山岳ルーツ大辞典






昨日は、とっても直観力が優れた日だったようで、図書館でぶら~っと歩いていたら、こんな本を発見しました。




『日本山岳ルーツ大辞典』




山の本・・・って発見するのは結構難しくて、山岳というカテゴリーは単純にスポーツとされていて、結果、たいていの図書館の登山関係の書架は、大変乏しいものになってしまっています。




自然化科学的視点も、文学的視点も、ゼロ。スポーツ登山=征服、です。探す人のテクがひつようとなるのですね。




この素晴らしいリファレンスも例にもれず・・・ 大型書籍、リファレンスのところにありました・・・(汗)ので、普通の人はたぶん、めったに行かないエリアだと思います。




この本の素晴らしいのは、山の名前の由来が非常によく分かることです。

山岳の地名は、実は結構安直なものが多いです。横岳とか、横に長いから横岳。 とはいえ、山の場合、名は体を表している、ということが多く、編笠山は本当に笠のような、キレイな三角錐をしていますよね。




私が山名で知りたかったのは、地形語です。 地形語、というのは、地形を表す言葉。




たとえば、ホトと言えば”山のくぼんだ所”という意味です。 (別の意味もあります(笑)) 保土ヶ谷が有名ですね。  




こういう知識はたとえば、土地を売買する人などには有力な情報になり、地勢の強弱、低地、湿地、丘陵地かそうでないか、などを理解する助けになります。




基本的には古い地名は土地の性質にあった地名が付いているみたい。古い地図など見ると、たとえば、淀屋橋には本当に橋があり、道頓堀は本当に堀です、あ、これは現代もか(笑)




不動産屋さんは詳しそうな知識エリアですが、一般現代人にとっては、なじみが薄く、土地を売買するときくらいしか知識としては必要ではないかもしれません。




この本はその知識不足を補う良書でした。 この本にはその山にまつわる伝承や、舞台となった小説なども紹介されています。 これもすごく助かりますね。




■ お勉強♪




以下、私が小一時間でパラパラとめくった備忘録です。




青 = 湿地を表す。 山肌が水浸し。




易老 = 石廊 = 石の廊下がある




空木 = 卯木 = 卯木がいっぱいある山




仙丈= 千丈(高い) 千畳(広い) 千枚畳が敷けるほど広い平地が高いところにある、の意。




タル = 垂る = コル




遠見 = 眺望のよい




ひかげ = 古語で、日の光、のこと。 反対語 影待ち




洞 = 洞窟。 山体に洞窟がある




大峰 = 大は美称。 美しい峰、の意。 見るからに美しい、ということ。




霞 = 地形的に 霧が立ち込める山、の意。




金沢= 鉱脈がある地に流れる沢 の意。 渋い水。




かまなし= 釜=かま=滝。 滝がない山。




金峰山 = 黄金浄土としてあがめられる山











確かに・・・


五竜 = りょう は地元の方言で断崖。 岩肌に何本もの岩稜が走っている、の意。 

更科 = 更=サラ = 崖崩れ。 科=シナ=段丘状。 




伏 = 傾斜地




蛇 =蛇崩れ がけ崩れ




蛇抜け = 山抜け = 崖崩れ




ソバ = 崖が切り立ったところ




高千穂 = 高 =高いところ、千=高いところ、穂=高いところ。




たつば = 立つ場 = 猟師が獲物を待ち伏せている場所




七倉 = くら = 崖・岩場 たくさんの岩場の意




ノロ = 淀んだ、砂泥地、  ex.野呂川




薬師 =薬師如来の意。信仰登山。




アベ = 低湿地




甘利 = 余り = 余り部  小さい集落の意。




石丸 = 石まら = 魔羅    古代の子孫繁栄やエネルギーのシンボル 




乙女 = お止め = 入ってはいけない の意




九鬼 = くき = 小高いところ、の 意。




黒 = 山肌が真っ黒、の意。 金鉱を有している。




節刀=せっちゅう = ホオジロのこと。 ホオジロが多い山。




先頭星 = 千頭 = 房、峰だらけの山。 ピークが多い山。




転付 = でんつく = カミナリの音、の意。落雷が多い、の意。




木賊 = とくさ =砥草 = シダ植物が多い の意。




ドノコヤ峠 = 「どの小屋?」 と聞くほど小屋が多い の意




ボーコン沢= 亡魂 




瑞牆=神城の垣松 洞窟の中に大日如来の梵字(サンスクリット語)がある。




アサヨ= 浅夜 = 日の出が早い山 の意。




■ 小説など




白馬岳: 新田次郎 『強力伝』

八ヶ岳: 新田次郎 『縦走路』 堀辰雄 『風立ちぬ』

赤岳: 新田次郎 『疲労凍死』

上高地: 芥川龍之介 『河童』

 Kindle版無料


槍ヶ岳: 森村誠一 『日本アルプス殺人事件』 近藤信行『小島鳥水』




■ 山の神=妻?




そういえば、妻のことを山の神と言いますよね。 山の神は、口うるさい、のだそうです(笑)

日本では山の神様は、女性なんですね。 そして、多産で、嫉妬深いのだとか・・・山の神はオコゼのお供え物を喜ぶのだとか・・・ 自分より醜いものを喜ぶのだそうです。なんか屈折してるなぁ・・・




芥川の河童を読んでみましたが、これは河童の国に人間が旅した世界の話でした。人間界の風刺。

とりあえず、カッパ界では、男性河童は女性の河童に追いかけられ、かじられているようでした(笑)




山梨県と長野県の山をさらっと見ただけですが、崖、岩場、崩落地を示す言葉が多いといことが分かりました。”ひかげ”が現代では真逆の、日の当たる場所を指す、なんて・・・




キレイな山名のところはやっぱり出かけて行って風光明媚なようですね。 




行きたい山、おもしろい山は山名で選ぶ、というのもアリですね。 




たとえば、空木岳に登るなら、卯木の木がどんな木か知ってから行きたいもの。







■付録




おススメ山の本  外部リンク いっぱい♪

http://homer.pro.tok2.com/sub10-3(hakingtrails-5yamanobook).htm



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