Monday, May 27, 2013

山の極意は歩くこと

■ フラットフッティング と キックステップ

「歩行の基本はキックステップ」 と、講習会では講師から教わりました。

一方で 「歩行の基本はフラットフィッティングだよ」と別のリーダーから教わりました。

どちらが本当か?

実はそれは同じことを言っているんです。

登山は歩行が基本。 

結局この両者は、正反対のことを言っているようで、歩行すること、歩くことについて、意識的になれ、と言っているのです。

キックステップとフラットフゥテングは、もちろん違う歩行スタイルです。

キックステップは、斜面にけりこみ、かかとをつけないで鉛直に下ろす。フラット…は、フリクションをフルに利用するため、斜面と平行に足を置き、かかとはくっつきます。

フラットフィッテングは当然ですが、フリクションが利く斜面でしか使えません。それと、アキレス腱の柔らかさ&ハムストリングスという脚の裏側、背面側の筋肉の柔軟性に制限されます。傾斜がきつくなればなるほど、ひざ裏が延ばされるからです。

余談ですがアキレス腱の柔軟性はほぼ生まれつきのもので生涯変わることがありません。ハムスのほうはストレッチにより伸びます。

こういう事情から、ハムスとアキレス腱の限界が早い人は、キックステップに早めに移行することになります。キックステップでは足の蹴りこみが重要です。しっかりけりこむ。一発で決める。

■ 私の発見

私が思うには、キックステップは前の太ももを良く使うので、大腿四頭筋を長持ちさせるためには、上体の重心が正しいことが重要です。上体の強さ、というのは体幹の力です。具体的には脊柱起立筋。

上体が曲がっていると猫背になります。猫背で山に登っている人のなんと多いことでしょう。しかし、スクワットの姿勢が長く続くので、上体位置が悪いと、すぐ太ももに来ます。

また、バレエでは常識ですが、大腿四頭筋のパワーセーブに使うのは脚の内転筋です。内転筋はガニマタだと働かないことは常識。なので、膝と足の向きは非常に重要になると思います。 
健脚者の人たちの歩き方をみても膝がそろっている人が多いので、決してガニマタは登山の歩き方ではないと思います。

私は歩荷散歩をしていて、正しく荷重がかかっているときは、重さは仙骨の上に乗り、太もものパワーはそんなに使わないで脊柱で支えられるような気がします。

仙骨に荷重が乗れば、あとは脚の骨を伝って地面に荷重が降りるだけですから、大腿四頭筋は
足を前に曲げる用途だけに使え、荷重を持ち上げるのには使われず、前方移動する、という使い方になります。もちろん、これは歩幅が小さいことが前提です。大きな歩幅だったり段差が大きいとクアド(大腿四頭筋)が使われます。大腿四頭筋を使わないためには、膝を腰より高く上げないことです。

逆にトレーニングでは階段は一段おきにしないと大腿四頭筋だけでなく腸腰筋も活性化しませんのでご注意。

フラットフッティングが基本だと言ったリーダーは、かかとを斜面に降ろさないで歩いているのだそうです。「自分の歩き方を大事にした方がいい」と言っていました。カラダが固い方のそうなので、ハムスやアキレス腱が固いということなんでしょう。

私は逆に脚の筋肉の柔軟性が高く、非常に反り返っている足なので(バレエをやる人に多い)、フラットフッティング大得意かもしれません。ただやりすぎて、ひざ裏の腱が伸びすぎます。

キックステップで伸ばす腱は、太ももの付け根の腱で、この腱は人体の中で最も強い腱ですので、
フラットフッテイングで頑張りすぎてひざ裏の腱を伸ばすより、さっさと股関節に荷重を任せたほうが良い作戦だと思います。

脚の付け根が伸びきるまで、骨盤に乗るのは重要なポイントだと思います。

■ 極意の伝え方は難しい

今回のキックステップとフラットフッテングでは、2人のリーダーから二つの意見を聞きましたが、
要するに、極意を伝える方法はたくさんある、ということです。表現の仕方が色々と違う。

それは、バレエの”引き上げ”ヨガの”プラーナ”などと同じかもしれません。武術では昔から丹田を体得するように言われますよね?

こういう極意を伝えようとすると、当然極意なので表現の仕方が個人によって違うことは良くある現象です。

要するに、登山の極意は歩くことです。

そして、歩くということについて、無造作にやるな、ということです。

さらに言ってしまえば、歩くということについて瞑想しろ、ということです。考えろ、と。

さらに言えば、歩くことに習熟し、困難度をアップして行け、ということです。 

歩くことの困難度をアップしていく、ということは、傾斜がきつくなっていくということです。

だから、上手な人の登り(クライミング)は、歩いているように見えるんですよね(笑)


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