Wednesday, December 12, 2012

御坂黒岳 偵察

■ 偵察

今日は偵察モードのお山でした・・・平日に出かける山というのは、あまり欲張らず、

こんな調子で下見でいいのかもしれません… 今日はとりあえずどこかを歩きたい!と出かけたのでしたが、最初から負け含みだったのは少々反省。


■イケテないスタート


朝起きると、”例の”12月12日は快晴だった。例の、というのは、2012年はマヤ暦でアセンションの年と言われ、12月12日、あるいは21日は何かが起こる、という風に言われているから。
少しお腹も痛い。生理が始まろうとしているらしい。夫は寒い中7時回る前に家を出てしまう。

私は6時ごろにはいつもベッドの中で目が覚めてしまう・・・夫はまだ寝ている。起こすのも可哀想かしらといつもそのままベッドに入っていて、夫と入れ替わるように眠気が襲ってきてしまうのだ。

今日は本当は少したっぷり目に運動量がある山に出かけたいと思っていた。ところがこんな調子に二度寝してしまい、北側の窓から入る強い日差しが励ますように快晴の空を告げていたけれど、
なんとなく遅れたこと自体を分かっているので気が進まなくなってしまった。


■ 冬におススメのエリア

とはいえ、富士山側の山(御坂山塊)は冬に歩くのがおススメだ。というのも、空気が澄んで富士山がきれいに見えるから。

御坂の山は峠越えの道がついているくらいだから、実は稜線までラクラクアクセス。登り口を選べば、普段着の散策も可能だし、湖がある湖畔から歩けば結構な急登を味わうこともできる。

そう、ルートの取り方次第で、どういう風にでもなるのが山なのだ。だから、○○山に登ったからってすごーい!とは言えない。どんなルートで登ったか、それがその人のすごさを示すのだ。

それは、やっぱり山だけでなく、なんだってそうではないだろうか?

何を達成するかではない。いかに達成したか?が重要なのだ。

御坂の山は要するに富士山を外輪山のようにグルリとめぐっている。だから、麓から歩く=直登。 

今日は、そういう道を選んで、急な登りを歩いてみたいな~ということで、昨夜は西湖からの鍵掛峠で稜線に登り、右か左か気分で好きなほうに行こうかな~くらいの計画だった。この辺りは観光で来ていて登っている人を見かけたから。

でも前述のように、今朝は12月12日という特殊な日付であることに気がついて、もしや家にいたほうがいいかしら?と躊躇したため、遅い出発になってしまった(><) 出発9時半。

というわけで車の中で頭を働かせる。時間が掛かりそうな場所は没決定。でもどこかから直登をしたい、ということで、始発終点が温泉の、天水からの黒岳にしよう!と思う。ここならトンネルを抜けてすぐだから、アクセスも近い。

行きくらい持つかな、とガソリンを入れるか、このまま急いで進行するかで急ぐほうを選択したら、それは大いに失敗で、結局行きでもガソリンを結構食ったので、帰りの用心のため、湖の反対のガソリンスタンドまで行く羽目になり、20分ほど時間のロス… 失敗その②というわけで、10:50になんとか天水前の登山口についた・・・



登山開始口。ウォーキングラリーの人向けらしい張り紙がしてあったけれど登山口の標識が無いのが不安。

温泉天水は閉まっていた…11時オープンらしい。車はここに置いて叱られないのかしら…?とりあえず紙にメモ書きを残して出たが、少し歩くと上にも少し駐車できるスペースがあったので移動した。が誰もいない(汗)。

車は私1人… なんとなく、嫌な感じ。

あまり人気がない登山道らしい…。それでも山の空気はおいしくて、気を取り直し、橋を渡る。ガイドブックにあるとおり・・・少し登るとものすごい廃屋。本当にこの道なのだろうか?という思いが駆け巡る・・・ というのもわだちが少しある。 車が入ってきたらしいのだ。


本当に荒れ果てているけど、一体どうしたんだろう? 気味が悪い。





一体何が起こったの?という荒れ具合…それでも、今日は歩きにきたんじゃない登りに来たんだと
思い返し、少し頑張ってみる…も思いなおしました。

私のアメリカ暮らしの経験では、少しでも犯罪の予感があるところには近づくべきでない。
少しのミスが大きな痛手になるのがアメリカだったから、ものすごく用心深くなってしまったのだ。

雰囲気的にこの道は女性が1人で歩いて良い道ではない! 

と思い返し、出発時間も遅いことだからどうせ山頂は狙えないのだし…と車まで戻る。
 
敗因その③です・・・ でも柔軟なのは良いともいえるから敗因ともいえないか。

というわけで、別のルートを考えなくてはいけないのだが、考えている間に午後になってしまったら
何をしに来たんだということになるので、ラクラクルートに再設定だ。

車まで戻り、天下茶屋から行くことにする。天下茶屋からなら、新道峠と同じようなことでほとんど
歩かないで稜線まですぐだ。御坂の山は富士山を片手に、反対側に八ケ岳や甲府盆地、あるいは南アルプスなどを見ながら歩く稜線歩きが持ち味なのだから!

とっとと 天下茶屋まで走りなおし、登山口についたら、既に11:37でした(汗)。もう山登りじゃないね…この時間(汗)

とりあえず天下茶屋に「登山者ですがお手洗いお借りしていいですか?」と声をかけ、トイレを借ります。

この日の富士山、天下茶屋から。

こういう風にお願いしておけば、事故や事件に巻き込まれても「11時半ごろ黒い服の女性が通りかかりましたよ」ってことになる。「また帰りにコーヒー飲みによります!」と言って出る。私なりの保険のかけ方なんだけど、保険代はコーヒー代ってわけで店もハッピーだし私もハッピーで、Win:Winとはこういうことを言うんではないだろうか?

天下茶屋の前では、富士山のベストショットを狙う数人のカメラマンのおじさんがいた。私はおじさんたちに見られて安心しつつ…とっとと登る。

登山道に入ると誰もいない。さっきの道とは打ってかわって明るい。冬枯れの快適な道だ。こっち側の山は、みんな雰囲気が似ている。 でも、急いだのでストックを車に置いてきてしまった・・・。この峠まで登るまでの道はつづら折の道で、急なトラバースが多い枯葉の道だった。

ストックがあったら心理的に気分がいい。無くても困らないけど。こういうときのためにストックは
本当はザックにつけてきたらいいんだろうな。

そういうことを考えていたせいか、九十九折の道を曲がりそこね、10mほど無造作に選んだ
道に進んでしまった。木の根が丸い輪を作っていて、くぐれるようになっており、それを見て
そのままそっちに行ってしまったのだ。でも明らかに急すぎる斜面をトラバースしていて、
おかしいときがつきすぐに引き返した。 こういう冒険ちっくな道は、冒険好きな性格だと、どんどん進んでしまいやすい・・・おかしいなと思ったらすぐ引き返さないとダメだ。

ロスはせいぜい5分だったけれど、引き帰したらすぐに自分が90度曲がるべきところで
曲がっていなかったことに気がついた。先輩に叱られちゃうな。でもこんなの地図読みには入らない。稜線に出るまでは上に行くはずだから、トラバースが続けばすぐにおかしいなと気がつくはずだ、誰でも。

稜線に出たところ。


お腹が空いたので、稜線に出たところですぐに一本。休憩のことを登山では一本と言う。なんでだろうと思っていたら、昔は休憩では座ることが許されず、杖の上に腰掛けていたんだそうだ。それで杖一本の一本らしい。 来る途中にコンビニで買ったクリームパンを食べる。もっとヘルシーで健康的なものが本当は良いと思うのだけれど、高カロリーという面で菓子パンは山に向いている。

お腹も満たされ、先を急ぐ。この尾根は明るくて、とても快適。でもさっきまで南面を登ったから気がつかなかったけれど、稜線に乗ると、すごい風だ。

今日は、ハイクアップがメインの山のつもりだったから、ラン用のすごく軽いジャケットしか着ていない。むろん下にR2のベストをレイヤリングしているけれど、登って少し汗ばんでいるけれどとても脱げない、強い風だった…。とはいえ、ダウンを出すほどではない。

ただやはり素手では指がかじかんだのですぐにニットの手袋を出した。今日はおニューのグラブバッグを使ってみているけれどコレはザックを取り外すとき、ウエストベルト、チェストベルト、それ以外にもバックルを外さなくてはならなくなり、その分面倒だと気がついた。うーん・・・。

稜線は小さなピークが連続していて飽きることが無く歩ける。 途中、危険そうな箇所もない。
こういう道をみるとトレランもありだよなぁと思う。走ったって大丈夫なんじゃないかって道なのだ。
緩やかなアップダウンと踏み固められた道。ほんの少しところどころに注意して歩く箇所があるだけ。

小さなアップダウンを繰り返すたび、コルってホントに風が強いんだなぁって思う。

そして、その強い風に乗ると飛行が楽なのか、小鳥たちが前方も確認せずに横断している。そういう鳥の何羽かが、人が歩いているのにびっくりしたようにきびすを返すのを見ると笑ってしまう。
むこうもビックリしているみたいなんだな。

この山は鳥が一杯で、シジュウカラは確実に見たし、胸が黄色くて青っぽい鳥もみた。双眼鏡を持っていたらもっと良く見えたかもしれない。

それにしても風が強く、毛糸の帽子の粗い網目を通してすごく頭が冷えるので、フードを被った。
下はウールのロングTとR2ベスト。とりあえず今日はこのレイヤリングは正解だったみたいだった。

でも風に弱いローゲージのニットハットだったからそれはもっと編み目の細かい風を通しにくいやつのほうが良かったなと思う。このニット棒、去年はずいぶん活躍したけれど、被りすぎて伸びてしまい今ではフードと重ねるとまぶたの上までずり落ちてきてしまう。誰もいないからいいんだけど。

そんなこんなしつつ、いくつかのピークをまたぐとすぐに御坂山頂へ。そして御坂峠に出た。

峠には、古いうち捨てられた小屋があった。御坂茶屋跡らしい。ここも昔は南北に往来があった
場所なのだ。 道路が通った峠にある茶屋には未だに人が富士山を眺めにくるけれど、
道路がない茶屋は打ち捨てられる。時代の取捨選択。それを思うと天下茶屋はとてもラッキーな茶屋なのだろう・・・

そして、ここで、ぜんぜん納得行かない案内板を見てしまう。

御坂峠の分岐にある案内板には、「黒岳まで1時間10分」とあった。黒岳は見る限りではピーク一つ先で そんなに時間が掛かりそうに思えない。けれど、ここから1時間10分もかかるなら、
往復で2時間20分掛かることになってしまう。現在13:00. 遅すぎるだろうけれど、本当にそんなにあったっけ?

とりあえず、まだ日は高いし、特に危険も感じないので、時間一杯まで歩こうと思い、1646のピークまで行った。

途中でおじさんの登山者とすれ違う。おじさんも私が始めてのすれ違いだそうだった。
よく歩いている人らしく装備が質素だった。1646のピークで、13:30。陽の光が作る影がすこし傾いた。

あと一登りなんだけどなぁ…。なんだか1時間も掛かる道には思えない・・・と、納得行かない思いを残しつつ、別に黒岳登頂が目的ではないので、次回のために取っておいて下山。

下山はなぜか行きよりもいつも足取りが軽くなる。 え?こんなにちょっとしか歩かなかったっけ?
と思いつつ・・・15:00きっかりに天下茶屋に下山してきた。

行きはこのピークまで、約2時間。帰りは1時間半。トータル3時間半の稜線歩きだった。

行き交った人はおじさん1人だけ。あとは山独占。 結局、私は1人で歩くこういう時間が好きなのだ。

今日は歩きながら、緩やかなところではずっとGreensleevesを歌っていた。そして、少し傾斜が強くなるとベートーベンが・・・どうも歩きやすいメロディみたいなのだ。

距離は片道3.2km、累積標高423m…。うーん…。まぁ今日は偵察だからいいけど…。なんかすごく納得行かない標識。一体どうして1時間10分なんだろう? どう考えてもあと残り30分以上は掛かりそうに思えなかった…

とりあえず、往復6.4kmを3時間半で歩いたら時速1.8km。御坂峠から黒岳までは1.5kmしかないので小一時間くらいしか掛からないんではないかと思う。





この日は風が強いだけに、景色が素晴らしく、山を歩くという目的は達成してできた。

歩きながら考えるのはいつも、「人は自然の一部だ」ということ。もし人が自然の一部なら、人の自然ってどういう自然なんだろう? 蜂たちが、蜂の巣を作っても誰も不自然だとは思わない。

それと同じように人が人工物を作っても神様は不自然とは思わないらしい。人間の作る構造物、それも被創造物の一部なのだ。

だとすると人間が作る一体何がどう自然との一体になり、自然と共生していくことを妨げているんだろう? 

帰りも天下茶屋に寄る。もうランチの客はみんな居なくなってしまって誰もいない。

私が甘酒(500円)を注文して外の縁側に座ると、おじさんはビックリして、「寒くないの?」

中ではガンガン、ストーブが炊かれている。体を動かせば、ぜんぜん寒くないのだけど・・・ 縁側のほうが外の空気でおいしい。今日は日差しも温かいし。いただいた甘酒は、ちゃんと麹から作ってある、家で飲むのと同じヤツで嬉しかった。たまに甘酒って書いてあっても酒かすを溶いたものを出してくれる店もあるから用心が必要だ。

甘酒はアミノ酸が豊富なので、登山にはもってこいの栄養飲料ではないかと思う。

甘酒で体もあったまったし、夕方の渋滞が始まる前に、と帰路に着く。途中御坂道でウリコを連れたイノシシ親子を見かけた。 

イノシシだって生きているんだよなぁと思いつつのろのろ運転でイノシシ親子に道をあけてもらう。
ここは普通に道路だからいいけど、上の稜線でイノシシとかにはあいたくないなぁ。人間の歩く道に来ないとは思うけど。 イノシシ親子は明らかに母イノシシが、子イノシシに「早く行きなさいってば」って言っていた。車より、写真を撮られるほうがキライみたいだった。

山の神様はイノシシだって生きる権利がある、と言うと思う。でもそれだったら食肉になる運命の牛だって同じなんじゃないだろうか?食べられるためだけに生まれてくる命というのは、神が望むことなのだろうか?

帰りは少し渋滞が始まっていて、20号はところどころダラダラ運転だった。このまま帰るのは
勿体ないと、馴染みの山道具屋さんのストローハットに寄っておいしいコーヒーを飲みなおし、
頼んでいた冬のシュラフの収納サイズを見せてもらった。冴子さんと漬物の話題で人盛り上がり。
冴子さんはとってもお料理好きなのだ。私は料理は嫌いじゃないけど好きでもない。料理より多分山のほうが好きみたい。

今日は、ちゃんとこの山域も研究しておかねば、ポイっといきたくなったときにいけないなと思ったのだけど、基本的にガイドブックの書き方が私は嫌いなんだと思った。山域全体を説明して欲しいのに、部分的にしか見せないからどこからどう歩くのが無理ない歩き方なのか分からないのだ。
もうすこし全体像をつかませるような書き方をしてくれたらいいのに。

《備忘録》

天下茶屋 11:37
尾根 12:10
御坂山 12:43
鉄塔 13:00
御坂分岐 13:10
最終地点 13:30

鉄塔 13:58
帰着 15:00

■ 写真集

 こんな面白い木がありました。

 自分の影が稜線に映る。まだ日が高い。


東西に走る稜線の北側はこんな風に雪がついて光が青い。

縦走路はこんな風に快適。歩きやすい。

尾根から北は雪がついている。稜線上の登山道は快適な道。雪なし。ごくたまに霜柱。
 御坂山山頂。

 鉄塔にて富士山。電線が・・・(汗)


冬枯れかとおもったら南側に突き出ている山肌にはまだ笹が青かった。




御坂峠分岐。ここから下ることもできる。

分岐には廃屋(旧御坂茶屋)。ここに例の納得行かない分岐のコースタイムがあった。ここから黒岳まで1時間10分とあった。歩いていないからわからないけれど、ホントにそんなに掛かるのだろうか?

 最終地点から黒岳さん。下るのが面倒だから今日はここでお終い。

 影もお帰り中。


 この鉄塔付近から八ケ岳方面や南アもきれいに見えた。すこし木の枝が視界に入って邪魔だけど。ただ、雲の動きはとても早くて風が強そうなのが伺えた。

 最後の展望地点。


 終わり。天下茶屋前より。

 甘酒500円。

天下茶屋のおじさんによると、富士山の姿は本社が丸のほうが良いそうだ。 先に言ってくれたらそっちに行ったのに(笑)。


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