Wednesday, February 15, 2012

アイゼンの話 アイゼンころりん事件

アイゼンころりん事件を受けて、山帰りに石井スポーツに立ち寄り、12本歯アイゼンをさらに購入しました。

私の冬靴、スカルパのサミットライトGTXには、かかとにコバがついているので、コバを生かし、グリベルのニューマティックにしました。コレで装着スピードはアップしそう。

■ 山屋で聞いたモンスター消費者の話

アイゼンには 装着方法で大きく分けて、

ベルト式と
ワンタッチ式

の2つがあるそうです。ところが、

 ワンタッチ式 → 「外れる」と苦情。
 ベルト式   → 「めんどくさい」「時間がかかる」 と苦情。

いや~、登山者の皆さんを満足させるのはタイヘンそうですね。

結果、セミ・ワンタッチ式 という折衷案が出て今に至るのだそうな。というわけで、現在アイゼンは3タイプです。

 ワンタッチ式 → つま先側もかかと側も金属のひっかけ棒つき

 セミ・ワンタッチ式 → かかとのみ金属で固定 つま先はベルト

 ベルト式 → 両方ベルト。 かかとはプラスチックのもある

ワンタッチ式だと、どこまでメーカー側が 「外れないこと」を保障するのか?という、人間くさい問題が出てくるのだそうです。何しろ訴訟問題になったりするのだそうな。うーん…。自分のミスの可能性は棚上げして靴のせい? 

メーカーがそれを回避して、前のコバがない靴、ワンタッチ式をつけようにもつけられない靴、というのが、現在の冬靴には多く出回っているのだそうです。

その背景には、登山者の「そこまで本格的に雪山しないので」という、遠慮とも自信のなさとも取れるメンタリティと、だけど登れないのは「靴のせい」という少々倒錯した感情があるのだそうです。

そうなのか。なるほどね~。山道具屋さんもタイヘンだ。 

■ アイゼンの話

いや~ 外れましたけどね、エバニューのラチェット式のは(笑)。まぁ我々のは笑い話です。何しろ外れて立ち往生になるような場所にはいきませんから。 

シビアな局面で外れたら涙でしょうが、そういう人はそもそもこの製品をつけて歩いていることはないので問題なし。

私が今回雪山でスカルパに、ブラックダイヤモンドのコンタクトストラップをつけて歩いたのですが、雪面がアイゼン効きやすかったこともあってまったく問題なし。

このコンタクトストラップは、つま先もかかともプラスチックの輪のようなものがついていて、それにベルトをまわす仕様なのですが、靴底が固くない登山靴につけても緩みにくいよう、底部がしなるのだそうで冬靴を買う前に購入したのでした。

ただ実際つけて歩いてみた感触ではアイゼンが効くという意味ではまったく問題ないのですが、どうも、緩んでくるというか、つけ方が悪いのでしょうか。かかと部分で靴とアイゼンの密着度がイマイチ。

靴との一体感がもう少しほしいところでした。 

スカルパのサミットライトとブラックダイヤモンドのコンタクトストラップでは装着したところは見た目問題なさそうですが、歩いているとつま先が出てくるんです。うーん。つけ方かと思い、つま先の出っ張りはストックでたたいて引っ込めてから、思いっきりストラップを引っ張ってつけていたんですが。

そこで、せっかくのブラックダイヤモンドは、冬靴とはいえない夫のローバー タホにつけることに。

ローバーのタホGTXは冬靴というわけでなく、アルパインと言うよりトレッキング向けモデルを日本人の足型で出しているものです。でもこれで冬の雪山もOKだということでした。なんでだろう。

よく分かりませんがとりあえず夫によると足は冷たくならないそうです。

価格は私のスカルパとそんなに変わらず、38000円台。でも、真夏以外はオールシーズンいけそうです。

カラーも冬用の変に明るいカラーではなく、ダークブラウンでステキです。私も最初からローバーに

していれば、今のシリオとスカルパの2本立てでいく必要はなかったのですが。

このローバータホのような靴底が多少しなる靴にも装着可能なアイゼンということで、私が好日山荘で買ったブラックダイヤモンドのコンタクトストラップは相性もバッチリです。

■ 相互不信

去年、私たちはオールシーズン用軽登山靴&軽アイゼンでアチコチでかけました。3月初旬の真冬の天狗岳も特に問題なく登れたのです。

山道具屋さんと消費者の間には、なんとなく、相互不信 が存在していそうです(^^;)

その不信感・・・

山屋さんの側から見ると、「初心者が充分な装備もなくホイホイ出かけていって命知らずめ!」という、親心から発したもの。

一方の消費者のほうからみると「なんだ?!この値段は?価格破壊の世の中にあってなんと高額な!」(高性能すぎる製品を売らんかなの精神で売りつけられているのでは?)

というもの。何が必要かもわかる前から道具屋さんが不必要に脅して高額商品を買わせるから、たぶん財布の紐が緩まないんです。

私なんて「あなたの装備では死にます」とまで言われました。生きてますけどねぇ。

以前、サッカー観戦に行きました。知人はいつものいでたちで、ロングのダウン。

寒風吹きすさぶスタジアムでも快適そのもの。一方の私は着膨れてまるまるしていました。かっこ悪。

でも1回しか行かないからそれでよかったのです。

それと山も同じです。

最初の山 → 間に合わせでOK ともかく行ってみなくては何が必要かもわからない

趣味として定着 → 快適性を追求 何度も行くんだから快適でいようよ

初めての人に快適性を追求した製品を進めても良さなんて分かるはずがありません。

最初の1回で懲りてしまわないように、という配慮が必要以上の装備を買わせる背景にあるのでしょうが

そんな配慮は、装備の高額さで打ち消されてしまいますから、やっぱり無理に買わせないほうがいいのです。

それにまた山道具が高いのは、ほぼ服と靴だけです。服が高いのはオシャレブランドと化しているから。

なら見た目には金を払わなければ、安く上げられます。靴が高いのは関税です。自由化されれば安くなるでしょう。

ピッケルなんて1万円切る価格、安い~。アイゼンと靴は節約するところではないようです。