Friday, July 25, 2014

北岳バットレスの研究3

甲府は今日も猛暑日で、防災無線で熱中症予防が呼びかけられています・・・

さて、さて、またまた北岳バットレス四尾根アプローチの研究です。

というのも、バットレス四尾根は

 アプローチ核心

と言われているからです。 その意味するところを、私は、混雑が問題なのだ、と思っていました。

が、色々研究して、分かったのですが、半分しか正しくない。これは半分は、道迷いが問題です。

ただ知ってさえいれば問題が何もない道迷いを色々とやらかして、たくさんの人が迷っているようです(汗)。皆が道迷いした踏み跡さえあるみたいです・・・(汗)

つまり、ここは ”知っているか” OR ”知らないか” だけが勝負の場所です。

初見同士だと厳しいです。その”厳しさ”は コンパスが使えるとか、地図が読める、などという技術ではなく、単純に不明瞭であるということです。

また危険についても、アルパインのルートなので落石が多いのは当然視されますが、そこもちょっと当然受け入れなければならない落石とは事情が違います。下部岩壁はなんと ”ルンゼ”とか”ガリー大滝”を登路に選ぶんです。 つまり、良く考えましょう・・・尾根ではなく、谷間、つまり落石の通り道ってことです・・・

 もっとも落石が多い場所=ルンゼやガリー=登りやすい場所=登路

落石を受け入れないといけないというより、落石に進んで突っ込んで行かないといけない(汗)。 これは別にフェイスが登れれば、落石の巣は免れそうですが、そんなことしている人はいません。せいぜい、下部フランケを選ぶ程度。 

なので、落石地帯はさっさと抜けたい = スピード勝負。

それなのに、道迷いしやすい不明瞭なアプローチであり、この不明瞭さが、スピードと相反します・・・。

大体、こちらの方など白峰御池からのアプローチの往復だけ(Bガリー)で5時間かかっている・・・。
(例: 御池~二俣 30分、二俣~バットレス沢出会い(大岩) 30分、大岩~下部岩壁30分 ここまで歩きで1.5H。さらにBガリー登攀で取り付きまで1H。)

こちらのサイト

では、北岳トポの謎1、謎2として、アプローチが本ルートより分かりづらく、また、ピッチ数もかなり飛ばして、記述されていることが書かれています。つまり、トリッキーなんですね。

謎1  下部岩壁上部の記載がない
謎2  4尾根下部の記載がない (あくまで”4尾根の下部”であり、本ルートに入っていない)

アプローチでしかないため記載がなく、軽い扱いなのに、本チャン並みにシビアな登攀のようですが・・・。というか、本ルートは尾根なので、落石の通り道とは言えず、むしろ自分が登ることで岩をはがしてしまい、後続に人為落石を起こす心配がある以外は、ずっと尾根を登るため、ルートを見失うリスクも、自然落石がそこを通ってくるリスクも少ない。少なくとも枯れ木テラス消失で変わってしまった最終の2Pを除いては。

つまりアプローチ核心というのは、こういう話なんですね。

■ アプローチは3つ

バットレス四尾根へのアプローチは現在3つあると思われます。

①バットレス沢 → Bガリー (落石多し、道間違い多し)
②C沢 → Dガリー  (落石多しのため、多くの人がBガリーを使うようになってしまった)
③五尾根支稜 → Dガリー → ヒドンガリー (一番易しく、落石の危険がすくない)

■ 装備

雪渓がどうなっているか?が核心で、

 ・アイゼン
 ・ミニバイル(なければピッケル)

を必要とする場合もあり、それはその時々よりけりのようです。偵察が必要。 アイゼンがいるなら、登山靴かもしくは、登山靴に近い機能をもつアプローチシューズが必要になります。

登攀中の荷物が大きく重いと後ろに引かれて危険なので、登攀中の装備はできるだけ、身軽にしていきたいですが(だってフリークライミングなんてザックなしで登るくらいなんですよ・・・)、雪渓の状態いかんでは、登山靴やむなし・・・ 

ピッケルではなく、ミニバイルにすれば、少し装備は小型化できます。が、要るかイラナイか・・・は、現場次第。

前回、北岳に行った時に隣のテントだった知り合いのパーティは、ミニバイルがないと登れないと言っていました。

■ コースタイム

四尾根は下部岩壁から終了点まで 6時間 です。御池小屋から下部岩壁まで1.5H。さらに、終了点から、北岳肩の小屋まで0.5H。ここで行動終了とするパーティが多いですが、テントを御池小屋に張っていると御池小屋まで下らないといけません。さらに草すべりを経由で御池小屋まで1Hです。

  6+1.5+0.5+1=9H (休憩含まず)

だから、2時起き3時出発でも、御池小屋に到着は13時になります。これもスムーズに言っての場合で、前回であった隣のテントのパーティは、北岳肩の小屋で13時でした。

最終のバスは、16時代です。北岳肩の小屋で13時だと、下りはダッシュです。草すべり1時間、御池から広河原まで、健脚者で1.5時間です。3時間弱で下れますが、テント撤収の時間などは含みません。

スピードを出せるかどうか?というのは、ザックの重さとの兼ね合いもあります。登攀具やロープは重いので。 私の場合は、今の時点であれば、14、5kgまでの負担なら、下山ならスピード出せそうです。(登りは前回18kgくらい背負って3時間かかりました。)

別の学生パーティが、16時ごろに御池小屋に到着していましたが、その日に下山となると、林道歩きを甘受しないといけなくなります・・・(汗)

つまり、スピードも重要、ということです。 

テント泊装備も盛夏なら、シュラフカバーとダウンで寝るなど軽量化コンパクト化が計れますので、そのほうが良いかもしれません。

■ 初日登攀か? 翌日登攀か?

北岳入りした当日に登攀予定なら、肩の小屋泊という視点も必要かもしれません。このようにコースタイムが長いからです。

一方多くのパーティが現状採用している、初日御池小屋泊であれば、ギリギリなんとか御池小屋まで戻ってこれると思います。が、帰りがバスの時刻に追われるように下山することになり、結構しんどいですね。また、渋滞など、不測の事態には対応できません。 かといって山で2泊するなら、稜線で、と思うのが、人情です・・・。四尾根にはビバーク適地もあるようですが。

しかし、四尾根のツアーはほとんどが一泊二日ですので、一泊二日での日程でこなせない、ということは四尾根登攀の資格なし、とも読み取れます。

まぁ、道迷いで貴重な時間を無駄にする、ということがない場合のことですが。

時間がシビアということは、道に迷っている時間はないということです。

ここまで来て、やっと各アプローチの検証に入ります。

■ Bガリーのケース

Bガリーへはバットレス沢の右岸を詰めます。(Bガリー大滝とある記述もありますが大滝を省いて書いています。水がないらしいのに大滝らしいので…水流があるのはC沢だけ。つまりC沢が目印になります)

バットレス沢は、水流があるC沢の手前の大岩がある沢です。この右岸を行くと、下部岩壁に着き、そこからBガリーを詰めます。 沢やガリーと言うものは尾根ではないので、落石が多い。

これがBガリー取り付きです。(http://uriunohomepage.nomaki.jp/tozan10/0827/tozan100827.html より引用)
Bガリー大滝取り付き

 
















ACの代表も一回道を間違えて、クライムダウンしたそうなので、おススメ度は”?”です。

■ Dガリーのケース

下部岸壁の目印はピラミッドフェースです。ピラミッドフェースを登る人もいます。が四尾根は初心者むきということで、これを登りに来ているんではないので、ピラミッドフェースをみたら、C沢を詰め終った、という理解で良いはずです。

これがDガリー取り付き。(http://yamanotecho.web.fc2.com/01choivari/doc3/2013/06kitadake_buttress_4ridge/2013_08_02.html より引用)



取り付きはハング超えです。Ⅲ級+。 カムは#1と#0.3。

ここまで行ったら、登りすぎ。

これに行くと下部フランケに行ってしまう。


ちなみに登攀のグレードがまとめてある表がネットにあった。
























Ⅲ級でも、ピッチグレードはV級。 エイドがある場合もあり、なかなかスリリングです。ちなみに山岳でのV級と言うのは、フリーでいうならば5.10Aくらいに当たります。それも、決して落ちない、というグレードで、です。

たとえば、こちらのガイドさんの記述では、”体力さえあれば2、3回ボルジムに行ったことがあるくらいでOK”とあり、一体?!という感じです。 ガイドについたとしても、登るのは本人なので、V級は、ボルジムに2、3回行ったくらいのレベルの人にはいくら健脚でも無理と思います。

まして、このルート、大変持久力と言う意味の、体力がいるルート、です。

■ 五尾根支稜~のケース

というわけで、①~③の中では、もっとも有力視されるアプローチが5尾根支稜を使うアプローチです。

もっとも、易しく、安全とあり、こちらのサイトの記述でも、有望な書き方がされています。

ただ、私はこのルートにあるヒドンガリーがどれのことなのか分からないのです・・・

概念図には、ヒドンガリーはバットレス沢のうんと手前にあったり、別の場所にあったりしますし・・・よって、この五尾根支稜を使うルートの研究は、それだけで一つの記事にしたいと思います。

C沢を詰めたところにあるはずですが、このヒドンガリーってどこのよ・・・という謎が深まるばかりだからです。

少なくとも概念図には乗っていませんが・・・

ヒドンガリーって一般名称???

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