Monday, May 12, 2014

春山での雪崩 復習

ここしばらく雪崩のことを調べています。 なかなかチャレンジングです。

せっかく今年は雪崩講習も受けたのですが、その知識を自分の身を守ることに生かせるか?というと、なかなか難しいです・・・。

■ 春山の雪崩

春山の雪崩は、危険があるものとして、誰もが第一に思いつくのは、全層雪崩です。 全般的な気温上昇で緩くなった雪が大地を削る、雪崩です。

雪崩れには

 ・点発生 vs 面発生

 ・全層 vs 表層

 ・乾いた雪 vs 湿った雪 

の区別があります。 

春の雪は、湿った雪です。そして、怖いのは、点発生より、面発生の雪崩。さらに表層雪崩より、もちろん雪の量が多い全層が怖いです。

今年の春山では、いくつかのタイプの雪崩を見ました。鹿島槍鎌尾根では、ちょっと判断に悩む雪しわや雪割れがありました。

それらを考察します。

■ 点発生表層湿雪雪崩




この写真は、リッジを歩いた刺激で、点発生の雪崩が起った後を示しています。この日の雪はぐずぐずの湿り雪です。冬靴の中まで ぐちょぐちょ。

この日は、予報での気温が 6時で-1度、12時で5度と気温が高いです。(実際の気温って山では計りにくく、一応温度計はあるのですが、体温などを拾ってしまって相対的目安くらいにしかならない・・・)

ちなみに この日前後の予報での気温はこんな感じです。 

 5/1 0:00 0℃  6:00 -1℃ 12:00 0℃  18:00 0℃
 5/2 0:00 -1℃ 6:00 -1℃ 12:00 5℃  18:00 2℃

実際、入山した5/1の夜は、取り付きの幕営地では、夜半は雨でした。山頂付近は雪だったようです。おそらくこのくさび型にきれいにはがれているのは、前日降った雪です。

実際とっても雪が緩く、完全に濡れた雪でした。 手袋が雪で濡れ、絞ると水が絞れるくらいです。

登りでも、かなり雪が緩く、自分が歩いたところから、点発生の、雪崩の支流が起き、それが谷に向かって、本流になって雪崩れていきます。でも、速度は遅く、スローモーションな雪崩でした。

ただ結論から言うと、この雪崩は危険性は小さかったのでは?と思います。 こちらのサイトから考えました。

参考サイト: http://nadare.jp/knowledge/index2.html

≪点発生ではどうか?≫

・点発生雪崩の場合、警戒すべき場合は、乾雪の雪崩。今回は湿り雪。
・点発生雪崩でも、地形の罠が組み合わさることで雪崩リスクは増大するが、今回は地形が扇状に広がる地形で、追い込まれる地形ではない。

≪表層雪崩はどうか?≫
・表層雪崩で危険があるのは、雪の量と重さの問題。湿雪でかつ、量が多いと、大変危険。
・今回は、表層雪崩が起っているものの、量が少ないため、危険の量としてはそれほど大きくない。
・ただし、夜半に気温がゼロ度を超える場合は、要警戒。
夜間を通して0℃以上の気温、強い日射やまとまった降雨は、湿雪雪崩に関係する典型的な気象状況。

今回はこれに当てはまるようです。強い日射と高い気温。

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●湿雪の点発生表層雪崩

 降雪や吹雪の直後に、強い日射が当たった場合に起こりやすい。 急激な温度上昇や降雨の場合にも起こりやすい。 これは新雪が水分を含むと、粒子同士の結合が日射によって選択的に溶かされて、効率良く「ざらめ雪」(=雪の粒子の球形化)が作られる理由による。 

更に新雪は多くの水分を保持できる為に、「濡れざらめ雪」に変態して、流動性が高まって崩れやすい。 ゆえに急斜面やルンゼに陽が当たり出すと、起り始めることになる。  このパターンは、寒い夜間や早朝は寒気で融雪が完全に止まっており、比較的安全と言える。 

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http://www011.upp.so-net.ne.jp/CAC/soshiki/koushuu/nadarekiso.htm より引用。



■ 怖い!雪割れ、雪しわ…全層雪崩の予兆

私がこの雪崩より怖いなと思ったのは、雪割れです…












































全層雪崩は大規模で大きく、地表までごっそりはがれる雪崩です。

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全層雪崩

 表面まで、一度に積雪の全てが崩れ落ちるタイプである。 湿雪雪崩が大半で、通常は発生域にクラックと、下方ではコブ状の「雪しわ」と呼ばれる前兆現象が現われる場合が多い。 最初はゆっくりと動き始める為に、避難することは可能である。 その為なのか、全層雪崩による大規模な山岳遭難の事例は少ない。

=雪温は0℃、気温はプラス



特に狭い谷筋では逃げ場が得られず危険となる。 このパターンも、寒い夜間や早朝は寒気で融雪が完全に止まっており、比較的安全

全層雪崩は、気温の最も上がる12:00~15:00が最多で、次いで9:00~12:00が多いという特徴を持っている。

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総合すると、5/2の、雪崩れリスクは比較的、低かった、といえそうな気がするのですが・・・。

岳沢も、鹿島槍大冷沢も比較的、広い沢で逃げ場があるので。

■ 全層雪崩?

実は、岳沢で見ています。 西穂高沢の隣の、間ノ岳沢が今年は全層雪崩をしており・・・すっかり土色です。



































両隣の沢はどちらもしっかり雪が付いているのに・・・ 一番右は天狗沢、土が見えているのが間ノ岳沢、その隣の隣が西穂高沢。

私はこういうのを見ると、全部詰めてみたくなるのですが・・・みんなはならないかなぁ・・・。

しかし、なんで間ノ岳沢だけが全層なのか? よく分かりません。

しかし、まとまった降雨の後などは、積雪層がすべて雪崩れる面発生湿雪全層雪崩に注意。

要するに春はまとまった雨に最大に警戒しろということですね。

■ 雪崩On雪崩れ

さらにこれは雪崩の上を湿雪の重い雪崩が通った跡と思われます。




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