Thursday, October 3, 2013

現代登山全集5 『北岳 甲斐駒 赤石』 

■ 『現代登山全集5 北岳 甲斐駒 赤石』

うーん。”現代”と言っても昭和36年の刊行なんですが(汗)…

でも、この本は、「これから南アルプスでも…」という人にとってぜひおススメです☆




『日本登山大系』と双耳峰を成す、『現代登山全集』…日本登山大系が古書としての地位が確定しており、価格が高い(アマゾンで19000円!)のと比べ、『現代…』のほうは神田の古書店でも800円くらいで投げ売りで売っています。

実は・・・この『北岳…』は、ずいぶん昔に神田で見かけたのに、八ヶ岳を買うか、こっちを買うかで、ひとしきり、うーん、と悩んだ後、八ヶ岳のほうを買ったのでした。

その後、同じ書店を訪ねても同じ本はおいておらず…「しまった…」とひそかに思っていたのですが、どちらにしても、南アは山の初心者にはとっても近寄りがたい山域なので…(笑)、八ヶ岳の気軽さとは正反対です。

実際、今年は南ア、まだ行っていない…いやゴールデンウィークに仙丈ヶ岳に登ったんでしたっけ…。

そうそう、この本がおすすめなワケは、南アを紹介する日本登山大系が、岩と沢ばかりを取り上げており、一般登山者が足で歩ける一般ルートの紹介や紀行文がほぼ皆無だったからです。一般登山者には全く何の関係もない本が日本登山大系の南アでした(汗)。

関連記事 読了 南アルプス

こちらは、こんな感じです

≪目次≫
・南アルプス概説
  小島鳥水、百瀬舜太郎、浜野正男、式正英
・紀行・記録・ガイド
  鳳凰、甲斐駒、仙丈、北岳
  塩見、赤石、聖

・南アルプスの岩と谷
  甲斐駒のバリエーションルート(黄連谷、赤石沢奥壁、摩利支天峰、など)
  北岳バットレス
  赤石岳・聖岳周辺の谷
・随想(平賀文男他)

南アルプス 概念図






■ 地元は劣勢?

執筆者が興味深いのは地元の山岳会の記録が非常に少ないことです。

南アの開拓者というのは、地元よりも 東京白稜会、独評登高会、明峰山岳会で、わずかに昭和山岳会積雪期南ア全山縦走を果たした梨大山岳部があるのみ…昭和山岳会も甲府昭和かどうか分かりません。東京のほうのかもしれない。

うーん。地元はあまり登山と言う感じではないのかもですね。もしかして、生活と密着しすぎていたのかもしれません。でも、名案内人は出てくるのですが・・・

北アが山を薪や山菜取りの生活資源の山から、派手で傍目にも目立つ観光資源の山、という形に活路を見出したのに対し、南アは同じように生活の糧を、水資源の採取先に見出したのかもしれません。というのも、山梨県は、ミネラルウォーター生産量は全国の4分の1を上回る、26.5%、約204億円の出荷額を誇り、日本一です。http://www.pref.yamanashi.jp/toukei/nippon_ichi.html#a7

余談ですが、一方、長野の観光市場規模は4000億円を目指しているところのようです。


”郷土の山岳会”と人々という項目に、山梨の山岳会の事情が述べられていますが、山梨師範学校(現、梨大?)の山岳部を起点に、甲斐山岳会 ⇒ 一高OB会、南嶺会、白鳳会、と3つに分派したのだそうです。この3つが伝統のある山岳会ですね。

今ではたくさんの会があるようですが、HPがないところも多いので、あまり活動が活発なような様子はうかがえません。若々しいくて頼もしい感じの会も見かけました。
私は岩登りはあまり興味がないのですが、岩登り好きな人にはよさそうです。

山梨メープルクラブは『山梨百名山』というガイドブックで有名です。



■ 南アの特徴

『現代登山全集5』によると・・・南アの特徴

・アプローチが長い
・マスコミ式に山頂に立てない
・山が深い
・岩稜の魅力はくらい
・駆け出しの登山者には不向きで、山の姿や地形を良く読める人でないと、尾根や谷を間違ったりする
・一日中他の人の顔を見ないで、静かな味のある山歩きができる
・2700から下は原生林
・細いリッジは少ない
・山小屋も少ない
・頂上付近に水場が少ない
・徒渉が多い
・体力を要する
・危険(雪稜、岩稜)は少ない(岩登り技術、雪渓技術はほとんどイラナイ)

・体力をつけ、かつ、山の見方を覚える点から新人の訓練に適している
・生活の場とするのに最適

といくつか拾ってみました。 装備は、徒渉に備えてザイル&地下足袋、だそうです。

現代登山全集 5 の中身の様子
面白かったのは積雪期の案内があったことです。やっぱりアイゼンピッケルの出番はほとんどないと書いてありました。

やっぱり~去年鳳凰三山にお正月に行ったのですが、アイゼン要らなかったんですよね。ピッケルも…山頂付近は雪が少ない上、花崗岩で全然滑らないので… むしろ11月の燕岳のほうがアイゼンの出番があったくらいでした。

というわけで、この本、買ってよかったな~って感じです。愛読できそうです♪






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