Wednesday, October 2, 2013

帰宅厳守登山!!

甲府は朝晩冷えるようになりました。 内陸部なので寒暖差が激しくて、うっかりしていると風邪をひきそうです。

■ 危険な単独行 vs 危険でない単独行 

登山の常識では、単独行は禁止です。

それはなぜか? 単独で山に入って誰にも会わなかったら、遭難した時、誰が気が付くでしょう?

遭難者の内訳でも、単独者は生還率が低いほうに入ります。

その理由は、特に家族にも行き先を残さないで単独で人のいない山に入ってしまうから。
目撃者もおらず、遭難した場合見つけ出すのは不可能です。

だから単独がアブナイか、危なくないかを決めるのは

・登山届の有無
・目撃者の有無

です。 

なので、頼まなくても登山口から人がうようよいるような混雑した山では、単独は別に危険でもなんでもありませんん。夏山の一般ルートで単独は危ないって言われても、はぁ?って感じですね。

そもそも、単独と呼ぶにさえ、ふさわしくないかもしれない…。単独ってなんとなく、孤高なイメージがあり、ちょっと難しいイメージがありますから… 夏のアルプスの一般道なんて、単独っていうより、ソロという言葉がふさわしいです。

だって、危険がほとんどないです。ソロは自由です。

■ 里山はアブナイ・・・

山はウィルダネスなのですが、日本の山の問題は、標高が高いから自然度が高いわけでも、遠いから自然度が高いわけでもなく、里山でも人が通らなければ、自然が回復していって勝手に自然度が高くなることです。

昨今は人間の里山離れが始まってから久しく、里山はウィルダネス化進行中です。

なので、登山道の整備された高山より、里山の方がウィルダネス度が高かったりします。

で、ウィルダネス度が高いところは、

①場所としてそもそも危険 (崖、沢、滝、ヤブ)
②獣 (熊、猪)
③道迷い

の危険があります。

私は、正直言うと、道迷いについてはそんなに不安はないのですが(地図も読めるし)、何が不安って①と②です。

登山道ってホントに素晴らしい先人の遺産なんですよね。人の踏み跡ってホントにありがたいものです。すごく歩きやすいのですから。

たとえば、後立の縦走路はそれだけでも結構難易度は高いですが、それでもそこを先人は歩いて大丈夫だったという実績がある。もう何万人、何十万人と歩いているでしょう。その過程で動く石は取り払われ、なんとなく足が置きやすいところにはくぼみができ、取り囲むハイ松の枝も短くなり…ただの岩の上を歩いているようでも、過去の実績に裏打ちされた道。

でも道なき道だと、そこを歩いた実績があるのは、・・・・ うーん、獣?!って感じです。 

まぁ日本は歴史が長い国なので、どんな尾根にも踏み跡くらいありそうですが。

歩きづらい道で怖いのは、転滑落と怪我です。

浮き石を踏んでしまって、あ!と思ったらもう転倒…で、誰も来ないような尾根だったり、携帯も入らないようでは、救助の求めようがありません…こわ~い。

私は転んでコロコロと転がって行く人を見かけたことが一回だけあります。途中で止まったからいいけど、そのまま谷や崖に墜ちてしまったら、どこに落ちたか探すのも一苦労です。そんな時一人だったら?

夏の高山なら、パトロールが回っていますが里山ではだれもパトロールしていません。


■ 熊・・・5月は奥山、10月は里山

そして、一人で歩いていて、怖いのは②の獣もです。 

熊に合うのは熊のほうで人間を避けているから難しそうですが、一人だと、おしゃべりをしないので、存在感が薄い。

リスやキジくらいには一人で歩いているとしょっちゅう会います・・・ならば、より大きな動物だってその辺に居て不思議はありませんよね。

一般道でもそうなのに、その上、あまり人が通らない場所を歩くとか、道なき道・・・って、野生動物のテリトリー内に侵入していること(汗)

出会う確率としては、うんと高まってしまいます。特にきのこ狩りなど日ごろ人が入らない登山道でないところではぐれてしまうと怖いですね。山菜ときのこは遭難率が高いアクティビティです。用心すべし。

熊は、5月は奥山で、10月は里山で出会いやすいと言われています。

具合の悪いことにこれって登山者の行きたい場所と同じなんですよね(^^;) 5月は雪の高山でも気温が高くて過ごしやすいですし、10月は高山はもう終わりでやっと低山の里山歩きがいい季節…

熊は人間の女性の肉が好きらしいという記事を紹介されました。え”?!

実はこれは曲解で、熊は一度仕留めそこなった獲物に強い執着を示す、というのが正しい理解のようです。

熊の被害は毎年報告されていますよね。でも、人が襲われた、という話で、人が喰われた、という話ではありませんよね。

ところが実際は、事故報告の中に食害あり、と書かれているものは、平たく言えば、人食い熊って意味です。つまり人の味を覚えてしまったってこと。

一度覚えた味には執着をするのが熊の習性のようですから、熊が出て食害があれば、その熊は打ち殺す以外ありません。

なので熊と人の一番良い関係は、単純に出会わないこと。 熊に人間が弱くて、そして容易に食べ物になる、ということを学ばせてはいけないのです。

三毛別熊事件
福岡大ワンゲル部・ヒグマ事件

図書館で『クマは眠れない』米田 一彦 (著)を読みましたが、この本は今まで読んだ熊の本の中では
ダントツに視点が公平でおススメできる本でした。

米田一彦さんはこちらにもHPを持っていて、大変おススメです。

日本ツキノワグマ研究所

ガイドの眼  熊に出会ったら・・・対策と熊のフィールドサインが充実しています

というわけで、単独行は、人目につかない山では、あんまりおススメできるものではありません。

とはいっても、そうそう自分の暇な時に、都合よく登山相手がいるわけではありませんから、一人で出かけざるを得ない場合に、おススメは

・山小屋がある山
・日本百名山で人が季節を問わずよく通う山

です。

山梨だと、易しい順に

三ツ峠、大菩薩、茅ヶ岳、金峰山、甲武信岳、鳳凰山、甲斐駒…それくらいでしょうか。ちょっと足を延ばして良ければ、八ヶ岳も登山口まで1時間くらいです。

これ以外だと、どうしてもマイナーになってしまって、ちょっと一人では歩きづらいですね。

単独はダメ!と一律禁止するのもおかしいですが、かといってどこにでも単独で出かけられるものではありません。


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