Tuesday, March 19, 2013

引率登山と自主登山の判断の差


■ 引率登山と自主登山

岳人の2012年10月号は「リーダー考」と言う特集。

その一部に法律的観点から引率者の意思決定を論じたものがあります。

 1)引率登山
 2)自主登山

・通常の登山では、ロープを使用しない箇所でも引率登山では使用する場合がある。

・自主登山では、下山時にヘッドランプを使用することは多いが、通常の引率登山では、そのような事態は避けなくてはならない。

引率登山では、「リスクを冒さない」という姿勢が必要であり、自主登山では多少の悪天候でも行動することがあるが、引率登山では、天候が悪ければ原則として登山を中止すべきである。

・引率登山でも参加者がリスクを承認していれば、ある程度のリスクを伴う登山を行うことができる。 例: 少人数のガイド登山、冬山登攀など。

・しかし、日本では「リスクの承認」を受け入れる文化的基盤が弱く、リスクの承認は(法律の場で)認められにくい。

・ガイド登山中の事故についてガイドの損害賠償責任を広く認定する傾向がある。

以上が引用です。


■ 日の出と日の入り

私が夫と行く登山はもちろん、自主登山なのですが、判断としては

 ・決してヘッドランプを持ち出すような羽目には陥るまい(笑) 

と判断しています。

それは企画段階からです。

私たちは、ピークを踏むか踏まないか?ではなく、時間で判断しています。

ので、ポイントは、日の出と日の入り。 

最近は、日の出は5:46、日の入りは17:52とかなり昼間の時間が長いです。

この知識は、ロングルートで多少困難な(時間がかかる)ルートを狙おうとしたときに、重要な知識かもしれません。

     日の出         日の入り      行動可能時間
冬山 6:30~7:00   16:30ごろ         9時間
春山 5:00~6:00   17:30~18:30     10時間
夏山 4:30ごろ      18:30~19:00     11時間
秋山 6:30~7:00   16:30ごろ         9時間

つまり、春山は、雪山なのに夏並みに行動時間が長い!

日暮れ1時間前に下山口、もしくは小屋に入る、と言う計画で行くと、
   
   日暮れ1時間前    最大延長
冬  およそ15時       16時
春  およそ16時         17時
夏  およそ17時       18時
秋  およそ15時       16時

・夏と冬では2時間違う。
・春は冬より1時間は多く使える。
・秋山は行動時間が短い。

■ 引率登山と自己責任の矛盾

私は実は引率登山が苦手です…というのは、”山は自己責任”なのに、自己決定権がない!

もしお正月の悪天候時に自分たちのパーティが北アに行こうとしていて、リーダーが行くと言えば、ついて行かなくてはならないのです!!

え~やだ~って感じです…(汗) 結局、自分の命を守るのは自分なので、そういう風になると
私みたいな人は絶対に離脱すると思います…。

保守的な判断をするほうなので…基本怖がりなのです。

たぶん、歩荷に入れている重さが12kgしかないことからも、保守的(弱気)判断だと思う人は
多いと思います…

…が…、山の事故の大半は、過信、が招くものです。

勝算が6割の時に行くか行かないか?では、大半の人が行くという意思決定をすると思います。

でも5対5だったら?

私は行かない方です。日本では文化的に行かない、という方が多数ではないかと思います。

その辺の力加減は、西洋人と仕事をしても、「わたしは日本人だなぁ」と思います。


■ 勝率を高める工夫をすることが大事

ただ私はその際、1割の勝算を高めるために、何か保険をかけます。

たとえば、ザックを軽くする。
あるいは、フォーストビバークに備える。


さらに、根拠には合理性を求めます。 

たとえば、この冬の鳳凰三山は初日が悪天候でしたが、夫は天候の”気分”に引きずられていましたが、私はあまり気分やムードで判断するほうではありません。

・気温が高いこと、
・樹林帯であること、
・翌日は回復傾向であること

などは合理的に客観性のある事実ですから、これらから判断と、

・ビバークに備えたこと、
・過去の経験で体力的には大丈夫だとわかっていること、

の決断で、行く、という判断になり、それは正解でした。(でも、同じ天候でも北アは行かない。)

・ムードで意思決定しない、

というのは、重要ではないかと思います。

ヤル気になるのを待っていたら、ヤル気なんて一生湧いてきませんからね(笑)





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